【基本を解説】鉄骨(S)造マンションの建築費用とメリット・デメリット
本記事では、鉄骨(S)造マンションの建築費用について解説します。
この記事を読むと、
- 鉄骨(S)造マンションの内訳を含む建築費用
- 鉄骨(S)造マンション建築のメリット
- 鉄骨(S)造マンション建築のデメリット
といったことがわかります。
内訳 | 費用相場 |
---|---|
本体工事費用 | 坪単価80万~120万円 |
別途工事費用 | 本体工事費用の20%程度 |
諸費用 | マンション建築費合計の10%程度 |
1.鉄骨(S)造とは
鉄骨(S)造とは、骨組みに鉄骨を用いる建築構造です。
使用する鉄骨の厚み6mm以下なら「軽量鉄骨」、6mm以上なら「重量鉄骨」に分類され、建築費用にも違いが生じます。
マンション建築の際は、重量鉄骨が使われることがほとんどであり、軽量鉄骨よりも費用がかかります。
マンション建築の構造の選択肢として鉄骨(S)造の他に「RC造(鉄筋コンクリート造)」「SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造」があります。下記は3つの違いを比較した表です。
種類 | 鉄骨(S)造 | RC造 | SRC造 |
---|---|---|---|
構造 | 鉄骨のみを使用 | 鉄筋コンクリートのみ | 鉄骨と鉄筋コンクリートの組み合わせ |
耐震性 | 高い (鉄骨の柔軟性) |
比較的高い | 非常に高い (鉄骨とコンクリートの組み合わせ) |
耐火性 | 一定 (適切な防火措置が必要) |
優れている | 優れている (コンクリートの覆い) |
建築の自由度 | 高い (柔軟な設計が可能) |
工法次第では高い | 高い (鉄骨の利点を活用) |
坪単価 | 80万~120万円 | 85万~120万円 | 120万~130万円/坪 |
主な建築物 |
|
2~5階建ての中低層マンション | タワーマンションを含む7~8階建て以上の中高層マンション |
工期 | 階数+2ヵ月 | 階数+3~4ヵ月 | 階数+4~5ヵ月 |
法定耐用年数 | 重量鉄骨造:34年
軽量鉄骨造:27年 |
47年 | 47年 |
鉄骨(S)造は耐震性や耐火性はRC造、SRC造に劣りますが、その分建築費が安い特徴があります。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた建築構造です。
様々な規模のマンション建築に広く用いられている構造です。詳細は下記記事をご参考ください。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄骨と鉄筋コンクリートの両方を利用する構造です。
最も強度が高く、重量のある高層建築や大規模な建築物に用いられます。詳細は下記記事をご参考ください。
マンション建築のさまざまな構造や工法については次の記事でも解説しているので、併せてご覧ください。
2.鉄骨(S)造の建築費用
マンション建築費は様々な要因で変動しますが、例として100坪の中低層のマンションを重量鉄骨で建築した場合の建築費用は1億2,000万円~1億6,000万円程度が目安となります。
費用の内訳や詳細について、本章で詳しく解説します。
鉄骨(S)造の建築費用は、主に3つの内訳に分けられます。
内訳 | 費用相場 | 概要 | |
---|---|---|---|
本体工事費用 | 軽量鉄骨 | 坪単価80万~120万円 |
|
重量鉄骨 | 坪単価90万~120万円 | ||
別途工事費用 | 本体工事費用の20%程度 |
|
|
諸費用 | マンション建築費合計の10%程度 |
|
この表をもとに、重量鉄骨の4階建てマンション(1LDK全8戸)の建築費用をシミュレーションしてみます。
- 部屋タイプ:1LDK
- 1戸あたりの延床面積:43㎡(約13坪)
- 階数:4階建て
- 戸数:8戸
- 全8戸の延床面積:344㎡(43㎡×8戸)約103坪
- 構造:重量鉄骨
内訳 | 金額 | 計算式 |
---|---|---|
A本体 工事費用 |
9,270万~ 1億2,360万円 |
103坪× 坪単価90万~120万円 |
B別途 工事費用 |
1,854万~2,472万円 | Aの20% |
C諸費用 | 1,112万~1,483万円 | A+Bの10%程度 |
合計 | 1億2,236万~ 1億6,315万円 |
A+B+C |
マンションの構造や使用する材料など、さまざまな要因で建築費用は異なります。マンション建築の費用については、次の記事でも解説しているので、併せてご覧ください。
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3.鉄骨(S)造マンションを建築するメリット
鉄骨(S)造マンションを建築するメリットとして、次の3点を解説します。
- RC造やSRC造より建築費用を抑えられる
- 家賃と機能性のバランスが良い
- 自由な間取りを実現できる
以下に建築・経営の両方の目線でみたメリットを詳しく解説します。
3-1.RC造やSRC造より建築費用を抑えられる
鉄骨(S)造はあらかじめ工場で製造された主要な材料を現地で組み立てるため、RC造やSRC造に比べて建築が容易で、その分コストを抑えられます。
また、建築が容易である点から工期が短くなる事も、建築費用の削減になります。
- RC造などに比べ初期費用を抑える事ができるため、比較的利回りのよい経営ができる
- 材料や建築工程で品質にバラつきがなく安定しているため、建築後のトラブルも少ない
3-2.家賃と機能性のバランスが良い
RC造やSRC造より建築費用がかかりにくい分、家賃を低く設定できます。
一方で木造に比べて耐震性や耐火性などの機能性に優れており、総合的に考えると家賃と機能性のバランスの良さがメリットです。
- 家賃を安く設定できるので、機能性が高い分3階建て程度の木造アパートと競合した場合有利
- 適切なメンテナンスを行うことで50年程度居住が可能ため、長期的な経営が可能
- 耐久性の高さから家賃も下がりにくいため、収入が長期的に安定
3-3.自由な間取りを実現できる
重量鉄骨でマンションを建築する場合は強度が高いため、柱の本数を減らせます。
また鉄骨は長さも自在に調整可能なため、居住空間の広さを確保して、自由度の高い間取り設計が可能になります。
- 地域や時代によって変化する間取りのニーズに合わせて建築プランを建てやすい
- 構造上デットスペースが発生しにくく居住空間の㎡数を広くとる事が可能なため、集客時に有利
- 構造がシンプルなため、比較的工数をかけずリフォームできる
4.鉄骨(S)造マンションを建築するデメリット
鉄骨(S)造マンションの建築や経営では、次のデメリットも確認し、対策を考えておきましょう。
- 耐火性があまり高くない
- 建築時に結露対策が必要
- 木造に比べて断熱性が劣る
鉄骨(S)造のデメリットを下記に詳しく解説します。
4-1.耐火性があまり高くない
鉄骨(S)造は木材と比較し、延焼しにくい構造ではありますが、鉄そのものは熱に弱く高温の状態が続くと強度が低下し変形する場合もあります。
建築時には鉄骨を覆う壁や天井などに、防火・耐火性の高い素材を使用する事で火災リスクに備える事ができます。
4-2.建築時に結露対策が必要
鉄骨(S)造は通気性が低いため、建築時に結露対策が必要です。
特に湿度の高い地域での建築を考えている際は、より入念な対策が必要となります。
結露が発生してしまうと、カビの原因にもなり、入居者にとっては懸念材料となってしまいます。
集客で悪影響とならないように、換気システムの導入など結露対策にも気を配りましょう。
4-3.木造に比べて断熱性が劣る
鉄骨(鉄)は木造やコンクリート造と比較し、気密性が低く熱伝導率が高いため、夏に熱く冬に寒くなりやすい点がデメリットです。
建築時には建物の外側と内側から気密性を高める工事をあわせて行いましょう。
適切な工事が行われない場合、居住者にとっては住みにくい環境になってしまい入居率の低下を招きます。
鉄骨(S)造マンションの建築では、デメリットへの対策も含めて対応力のある建築会社を選ぶこともポイントです。
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鉄骨(S)造とは、骨組みに鉄骨を用いる建築構造です。
使用する鉄骨の厚み6mm以下なら「軽量鉄骨」、以上なら「重量鉄骨」に分類されます。マンションは主に重量鉄骨造で建てられます。
詳細は「1.鉄骨(S)造とは」にて解説しています。
鉄骨(S)造マンションの建築費用は、次の3種類の内訳が挙げられます。
- 本体工事費用:坪単価80万~120万円
- 別途工事費用:本体工事費用の20%程度
- 諸費用:マンション建築費合計の10%程度
詳細は「2.鉄骨(S)造の建築費用」にて解説しています。
鉄骨(S)造マンションを建築するメリットは次の3点です。
- RC造やSRC造より建築費用を抑えられる
- 家賃と機能性のバランスが良い
- 自由な間取りを実現できる
詳細は「3.鉄骨(S)造マンションを建築するメリット」にて解説しています。
SRC造マンションを建築するデメリットは次の3点です。
- 耐火性があまり高くない
- 建築時に結露対策が必要
- 木造に比べて断熱性が劣る
詳細は「4.鉄骨(S)造マンションを建築するデメリット」にて解説しています。
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