【初心者向け】マンション構造・工法のメリデメ一覧|構造・工法選びのポイントまとめ
本記事ではマンションの構造や工法を解説しています。また、マンションを建築する際の構造や工法の選び方もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、
- マンションの構造の種類
- マンションの構造・工法別のメリット・デメリット
- マンションの構造や工法の選び方
といったことがわかります。
この記事の内容
1.マンション構造は建築材料と工法によって異なる
マンションの構造は、骨組みの「材料」とその材料をどう組み立てるかの「工法」によって分かれます。
まずは骨組みの「材料」3つとそれぞれ対応する「工法」2つを一覧にまとめました。
建築材料/工法 | S造 (鉄骨造) |
RC造 (鉄筋コンクリート造) |
SRC造 (鉄骨鉄筋コンクリート造) |
---|---|---|---|
建物の主要構造部に鉄を用いた建築構造 | 建物の主要構造部を鉄筋とコンクリートで構築する建物構造 | 建物の主要構造部を鉄骨・鉄筋とコンクリートで構築する建物構造 | |
壁式構造 | × | 〇 | × |
柱や梁、耐力壁、床といった面で建物を支える工法 | |||
ラーメン構造 | 〇 | 〇 | 〇 |
柱と梁で建物を支える工法 |
建築材料による違いは、主に耐震性や耐久性といった建物の強度に関係します。
S造(鉄骨造)→RC造(鉄筋コンクリート造)→SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の順に強度が高くなり、その分建築費も高額になります。
2022年全国の共同住宅(賃貸・分譲住宅)の建築戸数をみると、RC造が最も多くなっています。
近年は建築技術の進歩により、中低層だけでなく高層の建物までRC造で建築可能となった事が理由のひとつです。
S造 (鉄骨造) |
RC造 (鉄筋コンクリート造) |
SRC造 (鉄骨鉄筋コンクリート造) |
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建築戸数 | 69,019戸 | 208,541戸 | 3,771戸 |
参考:国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計 表34 共同住宅(貸家・分譲住宅)
また、骨組みを組み立てる「工法」は大きく2種類あり、「壁式構造」はRC造のみに対応、「ラーメン構造」はすべての建材に対応した工法です。
2.マンション構造(建築材料)のメリット・デメリット
マンション構造(建築材料)についてその特徴やメリット・デメリットを解説します。
構造 | 特徴 | 坪単価 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
S造 (鉄骨造) |
建物の主要構造部に鉄を用いた建築構造
80万~120万円 |
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RC造 (鉄筋コンクリート造) |
建物の主要構造部を鉄筋とコンクリートで構築する建物構造 | 85万~120万円 | 耐火性・耐震性、メンテナンス性、デザイン性などが高い |
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SRC造 (鉄骨鉄筋コンクリート造) |
建物の主要構造部を鉄骨、鉄筋とコンクリートで構築する建物構造 | 120万~130万円 |
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それぞれの構造について、詳しく解説していきます。
2-1.S造(鉄骨造)
S造(鉄骨造)とは、柱や梁などの建物の主要部分に鉄骨を使用する構造です。
使用する鉄骨の厚さの違いにより「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分類されます。
マンション建築に採用されるのは主に重量鉄骨造であり、鉄骨の厚さが6㎜以上とされています。
S造はRC造やSRC造と比べて工期が短く、材料費も安いため建築費を抑える事ができる点がメリットです。
しかし、S造は建物の主要部分以外は木造住宅と同じ構造であるため、RC造やSRC造に比べると遮音性、耐火性、耐震性が劣ってしまうのがデメリットです。
またS造(鉄骨造)は初期費用を抑える事ができるため、マンション経営において理想の利回りを実現しやすいでしょう。
S造(鉄骨造)については下記記事で詳しく解説していますので、是非ご参考ください。
2-2.RC造(鉄筋コンクリート造)
RC造(鉄筋コンクリート造)とは、鉄筋を組んでコンクリートを流し込んで固める構造で、様々な規模のマンションに用いられています。
RC造のメリットは、耐久性と耐震性、耐火性が高い点と、鉄筋コンクリートが自在に成型しやすいためデザイン性に富んだ建物を建築できる点です。
また、防音性にも優れており、隣接する居室の音が気になることも少ないでしょう。
しかし、RC造は構造上、建築期間が長いのでその分のコストがかかるデメリットもあります。また、建物の重量が重く、地盤強化が必要になる場合があります。
RC造ならではのデザイン性や機能性の高さを活かした建築または集客プランを立てる事で、競合物件との差別化を図って長期的に安定した経営を続ける事が可能です。
RC造(鉄筋コンクリート造)については下記記事で詳しく解説していますので、是非ご参考ください。
2-3.SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、RC造と同様の構造であるものの、支柱として鉄骨を入れて強度を増している構造です。
最も耐震性に優れた構造で、耐火性も高いため災害リスクに強いメリットがあります。
重量のある高層マンションや安全性を求められる建物に採用されています。
しかし、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせることから建築工程が複雑化しやすく、工期も長くなります。
そのため建築費用も高額になるケースが多く、解体費用についても同様です。
SRC造は耐久性が高く適切なリフォーム次第では50年を超えてもマンション経営を続ける事が可能です。
長期運用できる資産として継承者に相続を考えている場合は検討してもよいでしょう。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)については下記記事で詳しく解説していますので、是非ご参考ください。
下記ボタンよりどの構造(建築材料)が適しているか複数の建築会社に一括で相談依頼する事が可能です。
3.マンション構造(工法)のメリット・デメリット
マンション構造(工法)についてその特徴やメリット・デメリットを解説します。
構造 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
壁式構造 | 柱や梁、耐力壁、床で建物を支える工法 |
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ラーメン構造 | 柱と梁で建物を支える工法 |
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3-1.壁式構造
壁式構造とは、耐力壁や床で作る箱で建物を支える構造でRC造のみに対応しています。
そのなかでも5階建て以下の中低層マンションに用いられます。
ラーメン構造のような太い柱がないため、居室に出っ張りがなく空間を広く使える点がメリットです。
配置される壁は厚くて丈夫なため、耐震性の高さもあります。
しかし、建物の主要な構造体が壁であることから、リフォームによる間取りの変更や大きな開口部の設置が難しい場合があります。
また、建物の重量が増加しやすく、場合によっては地盤強化が必要なこともあります。
3-2.ラーメン構造
ラーメン構造とは、柱と梁が一体となって建物を支える構造で、幅広い構造(建築材料)に用いる事ができるためマンション建築のほとんどはラーメン構造を採用しています。
壁式構造に比べるとデザイン性が高く、間取りの設計に自由がきく点がメリットです。
長期的にマンション経営を行う場合、時代のニーズにあわせたリフォームもしやすいでしょう。
しかし、耐震性においては面で支える「壁式構造」と比べて劣ります。
これを補うため、最近では耐震壁を併用して建物の強度を高める「耐震壁付きラーメン構造」の採用が増えています。
またラーメン構造では建物を支えるための柱や梁が居室内に突き出す点から、空間内に凸凹ができやすい点もデメリットですが、下記の様にこのデメリットを解消する工法もあります。
工法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
アウトフレーム工法 | 柱や梁をバルコニー側に出す | 室内空間を広く有効に使えるため家具配置がしやすい |
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逆梁アウトフレーム工法 | 通常とは逆の位置に梁を取り付け、なおかつ柱や梁をバルコニーの外側に設置する |
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詳しくは下記に解説します。
3-2-1.アウトフレーム工法
アウトフレーム工法とは、柱や梁をバルコニー側に出す工法です。
居室内に出っ張っていた柱や梁をバルコニー側に出すことで、居室空間を広く取る事ができます。
ただし、柱や梁をバルコニー側に出すことで、バルコニーが狭くなる点がデメリットです。
また梁はベランダ側の壁の天井部分に出っ張るため高い窓が設置できず、採光があまりとれない問題もあります。
バルコニーに突き出した梁に子供が乗る危険性もあるため、安全面を考慮した設計が求められます。
3-2-2.逆梁アウトフレーム工法
逆梁アウトフレーム工法の「逆梁」とは、通常居住フロアの下(下の階の天井)に出っ張る梁が、居住フロアの上側に張り出す事です。
なおかつ柱や梁をバルコニーの外側に設置するため「逆梁アウトフレーム工法」と言います。
室内空間を広く取れる点は「アウトフレーム工法」と同じですが、梁をバルコニーの手すり側に持ってくる事で、高い窓を設置する事が可能となり採光性が高くなります。
アウトフレーム工法のデメリットである採光性が低いというデメリットを解消する「逆梁アウトフレーム工法」は、近年のマンションで採用されやすく人気があります。
一方でバルコニーが狭くなる点はアウトフレーム工法と同様です。
さらに手すりと梁を結合させるため、手すりはコンクリートで覆われてしまい室内からの眺望が望みにくいというデメリットがあります。
なお、さまざまな建築工法を比較したい場合は、次のボタンから建築プランを請求してみてください。
4.マンションの構造・工法を選ぶポイント
マンションの構造や工法を選ぶポイントとして、下記3点があげられます。
- 建築するマンションの規模
- 建築費の予算
- マンションの経営期間
これまで解説してきたマンション構造(建築材料)のメリット・デメリットと合わせて下記一覧で比較してみましょう。
また「マンション建築のほとんどはラーメン構造を採用」しています。
ラーメン構造はすべての建築材料で組み立てが可能な工法です。
ラーメン構造によるデメリットを解消する「アウトフレーム工法」「逆梁アウトフレーム工法」のどちら選ぶかは、立地条件や実現したい間取りにあわせ、建築会社とよく相談して決めましょう。
種類 | 鉄骨(S)造 | RC造 | SRC造 |
---|---|---|---|
構造 | 鉄骨のみを使用 | 鉄筋コンクリートのみ | 鉄骨と鉄筋コンクリートの組み合わせ |
耐震性 | 高い (鉄骨の柔軟性) |
比較的高い | 非常に高い (鉄骨とコンクリートの組み合わせ) |
耐火性 | 一定 (適切な防火措置が必要) |
優れている | 優れている (コンクリートの覆い) |
建築の自由度 | 高い (柔軟な設計が可能) |
工法次第では高い | 高い (鉄骨の利点を活用) |
坪単価 | 80万~120万円 | 85万~120万円 | 120万~130万円 |
主な建築物 |
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2~5階建ての中低層マンション | タワーマンションを含む7~8階建て以上の中高層マンション |
工期 | 階数+2ヵ月 | 階数+3~4ヵ月 | 階数+4~5ヵ月 |
法定耐用年数 |
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47年 | 47年 |
マンションの建築プランを比較した場合には、次のボタンから請求してみましょう。
マンションの構造は、骨組みの「材料」とその材料をどう組み立てるかの「工法」によって分かれます。
骨組みの「材料」
- S造(鉄骨造)
- RC造(鉄筋コンクリート造)
- SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
組み立てる「工法」
- 壁式構造
- ラーメン構造
詳細は「1.マンション構造は建築材料と工法によって異なる」にて解説しています。
構造 | メリット | デメリット |
---|---|---|
S造(鉄骨造) |
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RC造(鉄筋コンクリート造) | 耐火性・耐震性、メンテナンス性、デザイン性などが高い |
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SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) |
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詳細は「2.マンション構造(建築材料)のメリット・デメリット」にて解説しています。
構造 | メリット | デメリット |
---|---|---|
壁式構造 |
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ラーメン構造 |
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詳細は「3.マンション構造(工法)のメリット・デメリット」にて解説しています。
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