【基本を解説】相続放棄手続きのやり方と流れ
相続が発生した際には、相続したことを把握してから3か月以内に相続放棄、限定承認、単純承認の3つの方法からいずれかの方法を選択しなければなりません。
本記事では「相続放棄」の手続きのやり方・流れについて解説します。
この記事の内容
1. 相続放棄の手続きのやり方・流れまとめ
相続放棄の手続きは「相続したことを把握してから3か月以内」に進めなければなりません。
書類を用意し、家庭裁判所に提出・承認を経て正式に受理されることで完了します。
以下が、ざっくりとした相続放棄の手続きの流れです。
「3か月以内」の期間は、申述(書類の提出)までが範囲です。
3か月以内の提出が難しい場合、「財産の調査の進捗が遅れている」などの事情によっては「熟慮期間伸長」の申請をすることが可能です。
また、相続放棄の手続きには主に以下の書類が必要となります。
相続放棄に必要な主要書類 | 取得できる場所 | 取得費用 | 備考 |
---|---|---|---|
被相続人の戸籍謄本 | 本籍地の市町村役場 | 450円/1通 | 死亡まで記載 |
被相続人の住民票除票 または戸籍の附票 |
被相続人が最後に住んでいた場所の市町村役場 | 300円/1通 | |
申述人(相続放棄する人)の 戸籍謄本 |
本籍地の市町村役場 | 450円/1通 | 申述人が被相続人の配偶者、または子の場合 |
相続放棄の申述書 | 裁判所HPにて |
被相続人と申述人の関係により必要な書類が変わります。
詳しくは以下の裁判所公式ページをご確認ください。
参考:裁判所「相続の放棄の申述」
参考:裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
以下、それぞれの手続きについて詳述していきます。
2.遺言書・相続財産・法定相続人等の確認
相続放棄を進めるにあたり、はじめに確認すべきことは、以下の3つです。
- 1.遺言書の有無と内容を確認する
- 2.相続財産を確認する
- 3.法定相続人を確認する
- 4.申述先の家庭裁判所を確認する
2-1.遺言書の有無と内容を確認する
遺言書がある場合は、その内容にしたがって財産分与するため、ご自身が財産や負債を相続するとは限りません。
遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行います。
そして、遺産分割協議書に基づいて相続財産を分配します。
関係者全員の同意があれば、遺言書があった場合でも相続人全員で「遺産分割協議」による相続が可能です。
2-2.相続財産を確認する
相続財産の全容を把握するために、亡くなった人の財産を調査します。
相続財産には、「プラスの財産」と「マイナスの財産」の2種類があります。
マイナスの財産には、借入金や税金の未払い、保証債務などが挙げられ、この調査次第で「相続放棄をするか、しないか」の判断を行う方が多いです。
2-3.法定相続人を確認する
民法では定められた相続人を「法定相続人」とし、遺言書がない場合は法定相続人が相続を行います。
さらに以下のように相続人の範囲と法定相続分が定められています。
相続権の順番 | 相続人の範囲 |
---|---|
第1順位 | 亡くなった人の子供 |
第2順位 | 亡くなった人の直系尊属(父母や祖父母など) |
第3順位 | 亡くなった人の兄弟姉妹 |
法定相続人を確認・確定する際にも、亡くなった人の戸籍謄本などを入手する必要があります。
以下は国税庁が案内している「相続人の範囲と法定相続分」の公式ページです。
詳しくはこちらをご確認ください。
参考:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」
2-4.相続放棄の申述先の家庭裁判所を確認する
申述先の家庭裁判所の管轄は、亡くなった人の最後の住所地により異なります。
以下よりそれぞれの管轄区域をご確認ください。
参考:裁判所「裁判所の管轄区域」
3.相続放棄に必要な書類を準備する
相続放棄の意思決定を行った後は、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する際に必要な書類を準備します。
以下が一般的に必要とされる書類です。
自分で準備することが不安な方は、専門家に相談することをおすすめします。
相続放棄に必要な主要書類 | 取得できる場所 | 取得費用 | 備考 |
---|---|---|---|
被相続人の戸籍謄本 | 本籍地の市町村役場 | 450円/1通 | 死亡まで記載 |
被相続人の住民票除票または戸籍の附票 | 被相続人が最後に住んでいた場所の市町村役場 | 300円/1通 | |
申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本 | 本籍地の市町村役場 | 450円/1通 | 申述人が被相続人の配偶者、または子の場合 |
相続放棄の申述書 | 裁判所HPにて |
以下では裁判所による「申述書の記入例」が公式に提示されています。ぜひご確認ください。
参考:裁判所「相続の放棄の申述書(成人)」
4.相続放棄の申述書を提出する
「相続放棄の申述書」と添付する書類が用意できたら、「直接持参」するか「郵送」のいずれかの方法で、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所へ提出します。
郵送の際には、配達の記録が残る「レターパック」や「特定記録郵便」を使う方法が一般的です。
参考:裁判所「裁判所の管轄区域」
5.裁判所からの「照会書」に回答する
必要書類を提出した後に家庭裁判所から「照会書」が送付されます。
照会書は、「被相続人が亡くなったことを知った経緯」や「相続を放棄する理由」、「相続放棄が自分の意思に基づくものなのか」を確認するための質問状のようなものです。
必要事項を記入して返送することで回答が完了します。
また追加書類を求められた場合は速やかに準備し、提出するようにしましょう。
6. 「相続放棄申述受理通知書」が届く
申述した家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届けば相続放棄の手続きは完了となります。
借金などの「マイナスの財産」を債権者から催促されるケース等に備えて、別途「相続放棄受理証明書」を取得することをおすすめします。
相続放棄をしたことの証明として利用できるため、取得した後は大切に保管しておきましょう。
以下は東京家庭裁判所の「相続放棄受理証明書」の申請書や記載例です。ぜひご参考ください。
参考:裁判所「相続放棄受理証明書の申請書類」
7.相続放棄ができないパターン
以下のような場合、相続放棄ができない場合があります。
- 相続財産の処分行為を行った場合
- 相続人全員が相続放棄をした場合
7-1. 相続財産の処分行為を行った場合
以下のような行為を行うと「相続財産の処分行為」にあたり単純承認したものとみなされ、相続放棄ができない場合があります。
- 生前の医療費や介護費などを亡くなった人の預貯金から支払う
- 亡くなった人の預貯金の解約をする
- 亡くなった人の預貯金から、亡くなった人の住んでいた部屋の契約解除、滞納していた家賃の支払いをする
以上のようなケースはから相続放棄を検討している場合には「亡くなった人の財産に関わらない」ようにしましょう。
7-2. 相続人全員が相続放棄をした場合
マイナスの財産が多いケースなど、法定相続人全員が相続放棄した場合、家庭裁判所に「相続財産清算人の選任」を申し立てる必要があります。
参考:「相続財産清算人の選任」
相続財産清算人は亡くなった方の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
また相続財産清算人の選任が決定するまでは、相続放棄をする前の法定相続人が管理を行います。
相続放棄の手続きを行う際は、専門家へ相談することも視野に入れ、慎重に検討しましょう。
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以下が、ざっくりとした相続放棄の手続きの進め方です。
詳細は各章にて解説しています。
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