【初心者向け】不動産登記簿謄本の見方・読み方|実際の書面を元にわかり易く解説
本記事では、不動産登記簿の見方や読み方について解説しています。
この記事を読むと
- 不動産登記簿謄本の見方・読み方、種類について
- 「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」それぞれの見方・読み方
といったことがわかります。
1.不動産登記簿謄本とは
不動産登記簿謄本とは、土地・建物に関する権利関係が記載された公の証明書のことです。
不動産の所有者や所有権などの情報が記載されていて、記載情報から誰が所有していて、抵当権が設定されているのかなども読みとれます。
新しく不動産を登記する場合や不動産の所有者が変更になる場合には、登記手続きが行われ、情報が更新されます。
また、不動産登記簿謄本は安全な不動産取引が行われることを目的としているため、所定の手続きを踏めば、誰でも登記情報を確認することが可能です。
1-1.「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じ
登記簿謄本 = 登記事項証明書
登記情報をデジタルで管理している登記所では、その登記情報をプリントアウトしたものが「登記事項証明書」として提供されます。
一方で、デジタル管理を行っていない登記所の場合は、登記情報が直接登記用紙に記載されます。その登記用紙を複写したものが「登記簿謄本」と呼ばれます。
厳密に言うと「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は異なりますが、同じ意味合いで使われることが多いです。
登記簿謄本・登記事項証明書の請求の仕方は、下記記事をご覧ください。
2.不動産登記簿謄本は4種類 | 中身が違うので注意
不動産登記簿は取得できる証明書として4種類に分類され、それぞれで記載内容が異なります。
種類 | 内容 |
---|---|
全部事項 証明書 |
不動産登記簿謄本に記載されている全事項が表示された証明書 |
現在事項 証明書 |
不動産登記簿謄本に記載されている事項で、現在有効な内容が表示された証明書 |
一部事項 証明書 |
不動産登記簿に記載されている内容の一部を抜き出した証明書 |
閉鎖事項 証明書 |
現在、存在しない不動産の登記情報が記載された証明書 |
上表のように、不動産登記簿の種類ごとに記載内容に違いがあるため、請求時は取得したい内容に応じて選びましょう。
なお、不動産登記簿謄本には有効期限がありません。
ただし、何かしらの手続き等で必要な場合は、一定期間内(3か月以内に取得したものなど)に発行された証明書を求められることがあるので、提出先の指示に従う必要があります。
3.不動産登記簿謄本の見方・読み方
不動産登記簿謄本にはさまざまな情報が記載されており、以下のように「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の4つに分かれています。
ただし、不動産登記は、
- 表題部
- 権利部(甲区)
- 権利部(乙区)
の順に登記されます。
そのため、不動産によっては記載されている情報が「表題部のみの登記簿謄本」や、「表題部と権利部(甲区)の登記簿謄本」も存在します。
それぞれのパートに何が記載されているのか、読み方や見方を解説します。
3-1.表題部の見方|不動産の基本情報
不動産登記簿謄本の表題部には、不動産の基本情報が記載されています。
例えば不動産の所有者や所在地、面積、構造などの情報です。
また、「土地」「建物」「マンション」では、それぞれ表題部に記載される項目が異なります。
3-1-1.土地の場合
- ①地図番号:土地について地図が整備されている場合の番号
- ②筆界特定:土地の範囲を示す区画を示した線(筆界)が特定された場合にその旨を記載
- ③所在:土地の場所(何丁目まで)
- ④地番:不動産登記の際に土地に与えられる番号
- ⑤地目:土地の用途
- ⑥地積:土地の面積
- ⑦登記の日付:登記された日付
- ⑧所有者:所有者の氏名と住所
土地の場合、表題部では所在や地番などの情報がわかります。
なお、所在と地番を合わせると土地の正確な所在地となります。
3-1-2.建物の場合
- ①所在図番号:建物所在図(建物の位置や家屋番号を示す図面)が備えられている場合の番号
- ②所在:建物の場所(番地まで)
- ③家屋番号:不動産登記の際に与えられる番号
- ④種類:居宅、事務所などの種類
- ⑤構造:構成材料・屋根の種類・階層が記載(見本での「木造かわらぶき屋根2階建て」など)
- ⑥床面積:建物の床面積
- ⑦登記の日付:登記された日付
- ⑧所有者:所有者の氏名と住所
建物の場合も表題部で所在や家屋番号、種類などの幅広い情報がわかります。
また、主となる建物の他に付属の建物がある場合は、その情報も記載されています。
3-1-3.マンションの場合
マンションの登記簿謄本では、大きくマンション全体・土地と専有部の情報が分かれて記載されています。
まずは前半部にある建物1棟の情報を紹介します。
- ①専有部分の家屋番号:建物全体で何戸の専有部分があるかがわかる
- ②所在:建物の場所(番地まで)
- ③建物の名称:マンションやビルの名称
- ④構造:構成材料・屋根の種類・階層が記載
- ⑤床面積:建物の床面積
- ⑥登記の日付:登記された日付
- ⑦土地の符号:土地が何筆あるか記載
- ⑧所在及び地番:一筆ごとの住所と地番
- ⑨地目:土地の用途
- ⑩地積:一筆ごと土地の面積
次に後半部にある専有部の情報になります。
- ①家屋番号:専有部分は独立した建物になり、それぞれに家屋(部屋)番号がある
- ②建物の名称:一般的には部屋番号が記載
- ③種類:居宅、事務所などの種類
- ④構造:構成材料・屋根の種類・階層で表現される
- ⑤床面積:建物の床面積
- ⑥登記の日付:登記された日付
- ⑦敷地権の種類:「所有権」「地上権」「賃借権」の3種類
- ⑧敷地権の割合:専有部分が有している土地の持ち分
- ⑨所有者:最初に登記した氏名や会社名となり、一般的には不動産会社やマンション分譲業者の名称
マンションの場合は土地と建物の情報は共に登記されるため、一つの表題部に土地と建物に関する情報が記載されています。
そのため、マンションの土地と建物に関連する情報を一つの文書で簡単に確認できます。
一方で、一戸建ての場合は土地と建物が別々に登記されるため、マンションのように一つの登記簿謄本で確認できません。
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3-2.権利部(甲区)の見方|所有権の情報
権利部(甲区)に記載されている内容は、所有権に関する情報です。
不動産の現所有者や過去の所有者を、権利部(甲区)で確認できます。
- ①順位番号:登記された順番
- ②登記の目的:登記された目的
- ③受付年月日・受付番号:登記が受け付けられた年月日と受付時の番号
- ④権利者その他の事項:所有者の氏名や住所
例えば上の見本を確認すると
- 甲野太朗さんが平成20年10月15日に当該不動産を登記したこと
- 法務五郎さんが平成20年10月26日に甲野太朗さんから当該不動産を譲り受けていること
が順番どおりに記載されています。
3-3.権利部(乙区)の見方|所有権以外の権利
権利部(乙区)に記載されている内容は、所有権以外の権利に関する内容です。
不動産について誰がどのような権利を持っているのかが、権利部(乙区)を見れば確認できます。
- ①順位番号:登記された順番
- ②登記の目的:所有権以外の権利について記載
- ③受付年月日・受付番号:登記が受け付けられた年月日と受付時の番号
- ④権利者その他の事項:権利者の氏名や所有権以外の権利に関する内容など
例えば見本では「抵当権」が設定されており、「権利者その他の事項」に詳しい記載があります。
抵当権とは土地や建物を担保にすることで、債権者が担保物件から優先的に弁済される権利です。
上の見本では、法務五郎さんと株式会社南北銀行の間に金銭の貸し借りがあり、抵当権が設定されたことが読みとれます。
3-4.共同担保目録の見方|抵当権のリスト
共同担保目録に記載されている内容は、1つの債権に対して複数の不動産が抵当権として設定されている場合、一覧にしてまとめて記載するものです。
- ①記号及び番号:共同担保目録の記号と番号
- ②番号:担保目的の権利についての通し番号
- ③担保の目的である権利の表示:抵当権が設定されている不動産の情報
- ④順位番号:抵当権の順位
共同担保目録によって、複数の不動産が同一の債権に基づいてどのように担保として関連しているかが一目でわかります。
例えば、上の見本では「特別区南都町一丁目 101番地」の土地と建物の2つに抵当権が設定されていることが読みとれます。
不動産登記簿謄本には、不動産の所有者や所有権などの情報が記載されています。
そのため、記載情報から誰が所有していて、抵当権が設定されているのかなども読みとれます。
不動産登記簿は記載内容によって4種類に分けられます。
- 全部事項証明書
- 現在事項証明書
- 一部事項証明書
- 閉鎖事項証明書
詳細は「2.不動産登記簿謄本は4種類 | 中身が違うので注意」にて解説しています。
不動産登記簿謄本は「表題部」「甲区」「乙区」「共同担保目録」に分かれています。
- 表題部の見方
- 権利部(甲区)の見方
- 権利部(乙区)の見方
- 共同担保目録の見方
それぞれの読み方や見方については「3.不動産登記簿謄本の見方・読み方」にて解説しています。
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