【詳しく解説】医療施設での土地活用の基本とメリデメを解説
長期的に安定経営をしたいと考えている方に向いているといえます。また、手間をかけることなくまとまった副収入を得たい方にも医療施設での土地活用はぴったりです。
土地活用の選択肢の中でも医療施設は、入居が長期に渡るため、長期的に安定収入を得られます。また、長期の借地となるため相続税対策にも向ている土地活用です。
医療施設を運営する事業者を探すことがデメリットとなり得ます。医療施設は借り手が限定的であるため、マッチングがうまくいかないと借り手が見つからないケースもあります。また、土地の転用も難しく、長期的な運用を念頭におくべきであることもデメリットです。
「クリニック・医療施設の建築を検討している」という方は、以下のボタンから土地情報を入力すれば、建築会社最大10社が、あなたの土地に最適な「建築プラン」を提案してくれます。
この記事の内容
1.医療施設での土地活用の概要&こんな人に向いている
人気度 ◎高い→×低い |
収益性 ◎高い→×低い |
初期費用 ◎低い→×高い |
相続税対策 ◎高い→×低い |
流動性 ◎高い→×低い |
リスクの大きさ ◎小さい→×大きい |
管理の手間 ◎楽→×大変 |
---|---|---|---|---|---|---|
○ | △ | △ | △ | × | ○ | ○ |
医療施設での土地活用はこんな人に向いている
- 土地活用で安定した収益を得たい方
- まとまった自己資金を用意できる方
- 社会貢献に興味がある方
- まとまった広さの所有地がある方
医療施設とは病院(20床以上)、診療所(19床以下)のことを指します。医療施設で土地活用をするには、施設を土地オーナーが用意して建物ごと賃貸する方法が一般的です。医療施設の建設などにかかる費用は通常の貸しテナントより高額になることが多いため、資金繰りに余裕があることが望まれます。
医療施設を対象にした貸しテナントビルを新築することもありますが、新築前に医療関係事業者と賃借契約をして、その医療施設の望む設備を整える方法が主流です。土地と建物の賃料を得ることで土地活用の収入を得ます。
立地的には交通の便がよい場所、住宅街が近い、まとまった広さがある、といった条件の土地が好まれます。
2.メリット・デメリット&注意点一覧
メリット
- 相続税対策や節税対策ができる
- 長期的に安定した収入を得られる
- 社会貢献ができる
デメリット
- 事業者探しが難しい
- 土地の転用は難しい
医療施設での土地活用では賃借契約の相手が医療関係者となるため、長く土地に定着して営業することを望みます。そのため、医療施設での土地活用は長期的に経営を安定させやすいといえるでしょう。
借主と先に賃借契約をして建物を建てた場合、貸しテナントとしての賃料相場より高く設定できます。ただし、長期的な賃借関係で賃料の値下げ交渉が発生することもあるため注意が必要です。
医療施設は性質上転用が難しい土地活用です。一度事業者が退去してしまうと次の借り手を見つけるのが難しくなります。
<医療施設での土地活用の注意点一覧>
- 実績等を鑑みて長期的に貸せる事業者を探す必要がある
- 入院設備がある施設の場合は特殊建築物としての届け出が必要
- 医療施設の規模によって建てられない用途地域がある
3.事業モデル
医療施設での土地活用には大きく分けて3つの始め方があります。
- 医療用施設を建設して土地と建物を貸す
- 事業用定期借地として土地のみを貸す
- 既存の建物を貸す
メリット・デメリットをまとめました。その後それぞれの方式を解説します。
<パターン一覧> | |||
---|---|---|---|
パターン名 | メリット | デメリット | 相談先 |
医療用施設を建設して土地と建物を貸す | ・利回りを高くしやすい ・長期的に安定経営ができる ・管理の手間が少ない |
・初期費用が高い ・建物の固定資産税負担がある |
建築会社、大手ハウスメーカー |
事業用定期借地として土地のみを貸す | ・初期費用がほとんどかからない ・管理の手間がない ・長期的に安定経営ができる |
・収益性は建物貸しに比べて低い ・建物の所有権はない |
デベロッパー |
既存の建物を貸す | ・初期費用が少なく済む ・すぐに収益化できる |
・届け出が必要 ・建物は新しくならない |
土地活用会社 ハウスメーカー |
3-1. 医療用施設を建設して土地と建物を貸す場合
<医療用施設を建設して土地と建物を貸す場合の事業モデル図>
土地に医療用施設を建設して、土地と建物を医療事業者に貸す始め方です。土地の賃料と建物の賃料を得られるため、ほかの始め方に比べて高収益を期待できます。
ただし、初期費用がかかるため、ある程度の自己資金の投入が必要です。また、建物の所有権は土地オーナーにあるため、固定資産税の負担があります。
初期費用が調達できない場合、リースバック方式を採用して医療施設で土地活用することも考えられます。土地のリースバック方式では、借主となる医療事業者に建設費を用立ててもらい、その費用を賃料と相殺して返済していく方式です。
リースバック方式でも建物の所有権は土地オーナーです。返済分があるため、賃料は低い設定になります。
<医療用施設を建設して土地と建物を貸す場合の収益モデル表> | |
---|---|
収入(年額) | 800万円ほど |
固定資産税等 | 物件による |
経費 | ローン返済額(約22万円/月)等 |
キャッシュフロー(収入) | 約520万円 |
上記は50坪程度のクリニック(診療所)を想定しています。クリニック運営にかかる家賃負担は6~8%が適正といわれており、周辺の需要も鑑みて家賃設定を検討する必要があります。
3-2. 事業用定期借地として土地のみを貸す
<事業用定期借地として土地のみを貸す場合の事業モデル図>
事業用定期借地として医療事業者へ土地を更地の状態で貸す方法です。借り受けた土地に事業者が建物を建てて、土地オーナーには地代を払います。
事業用定期借地権は契約の更新ができないため、契約終了時には建物を解体、更地にしてオーナーに変換しなければなりません。
建物は医療事業者が建てるため、土地オーナーが初期費用を用立てることなく土地活用ができます。事業用定期借地の賃料相場は土地の時価の4~5%が相場です。
<事業用定期借地として土地のみを貸す場合の収益モデル表> | |
---|---|
収入(年額) | 700万円ほど |
固定資産税 | 時価×70%×1.4% |
雑費 | 1~2万円 |
キャッシュフロー(収入) | 約680万円 |
建物の所有権は医療事業者にあるため、固定資産税負担は土地のものだけになります。
3-3.既存の建物を貸す
<既存の建物を貸す場合の事業モデル図>
ビルなど、テナント貸しできる建物を持っている場合は医療設備を整えることで、医療事業者を借主としてテナント経営ができます。テナント経営はテナント経営のマネジメントを行うリーシング会社を介して賃借契約をするのが一般的です。
最近は複数のクリニックや薬局をテナントにする医療モールも増えています。医療施設として建設した建物であるため、この場合はテナントの入れ替えがあっても改装費用は少なく済むでしょう。
<既存の建物を貸す場合の収益モデル表> | |
---|---|
売上(年額) | 500万円ほど(1事業者当たり) |
固定資産税等 | 物件による |
経費 | 家賃の15%ほど(リーシング手数料等) |
キャッシュフロー | 410万円ほど |
外の医療モールの1フロア貸しを想定しています。
4.開始するまでの流れ
ここでは医療施設での土地活用を始める流れを解説します。建物を用意して建物と土地を貸す方式です。
<開始するまでの流れの図>
4-1.土地活用を相談する
まずはジャンルを絞ることなくさまざまな可能性を調査することが土地活用成功の秘訣です。医療施設での土地活用を候補に挙げつつ、土地活用の相談を土地活用会社や建築会社、ハウスメーカーに持ち掛けます。
相談先を見つけるには一括プラン請求サービスの利用がおすすめです。さまざまなジャンルの土地活用の実勢が豊富な大手企業がみつかる「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」であれば、最大10社から土地活用プランの提示が受けられます。
4-2.プランの比較検討をする
企業は相談を持ち掛けられると土地の現況や市場の調査を行い、分析結果を反映させたプランを提示してきます。複数の企業からプランを得られたら、比較検討したうえでパートナーとなる施工会社を決めるとよいでしょう。
医療施設での土地活用の方向性が決まった場合は、医療施設建設の実績が豊富な企業に絞り込むのがおすすめです。
4-3.借主となる医療施設を探す
医療施設での土地活用において、他の活用方法と大きく異なるのは借主を先に選定しておくことが多いことです。計画段階で医療事業者を探しておくことで、施設と需要のミスマッチを防ぎます。
貸す相手に心当たりがない場合は、施工を担当する企業に仲介を依頼します。実績がある企業であれば、安心して事業者選定ができるでしょう。
4-4.契約~設計~施工
借主となる医療事業者が見つかったら、賃借契約を先に結びます。医療施設の土地活用では先に賃借契約を結ぶことで、その後作る施設に借主となる医療事業者の要望を取り入れるのが一般的です。
そのため、契約には通常の賃借契約よりもさまざまな条件が加わります。
契約が完了し、施工プランが固まったら着工です。
4-5.竣工・引き渡し~開業
工事期間中、借主側は開業に向けた手続きを進めて竣工を迎えます。竣工後、検査を経て引き渡しです。
開業後、土地オーナーは管理も特に必要ありません。家賃収入を得て土地活用をします。
5.相談先の選び方
5-1.医療施設経営ができる土地か確認する
医療施設での土地活用は、住宅街や交通の便がよい立地でのニーズが期待できます。しかし、用途地域によっては規制により医療施設を開業できません。
所有地の立地が医療施設経営に向いているかどうか、土地活用のプロに相談することをおすすめします。相談の結果、医療施設以外の選択肢を選ぶケースもあるでしょう。また、複合施設としての提案を受ける可能性もあります。
所有地でどのような土地活用ができるのかを相談したい場合は土地活用の一括プラン請求サービスが便利です。
5-2.複数のプランを比較検討する
同じ医療施設の建設プランであっても、手掛ける企業が異なれば提示されるプランはひとつひとつ異なります。それぞれの企業で得意とする問題点へのアプローチの仕方があります。所有地に合う経営を目指すなら、プランのどの部分を重視するかを自分なりに考え、比較検討するとよいでしょう。
また、医療施設での土地活用の場合、医療事業者とのコネクションも重要な要素です。どのような事業者との連携があるかも確認しておくとよいでしょう。
6.補助金その他活用できる制度一覧
医療施設新設もしくは建て替えなどの整備に際しては、さまざまな種類の補助金・交付金が利用できるケースがあります。主なものをまとめました。
<補助金その他活用できる制度一覧> | ||
---|---|---|
名称 | 内容 | 注意点 |
医療提供体制施設整備交付金 | 医療計画に定める施設整備目標にそくした施設整備の経費の一部を国が交付する。対象となる事業は医療計画等の推進に関する事業、施設環境の改善に関する事業、医療従事者の要請力充実に関する事業、医療連携に相当の効果が期待できる事業など。 | ・交付対象が医療法人等の医療に携わる団体に限られる |
へき地診療所施設整備事業 | へき地保健医療対策等実施要項に基づいて実施される、診療所や医師住宅の新築などにかかる施設の整備事業のための交付金。 | ・利用できる地域が限られる |
このほか、へき地の医療施設整備に利用できる補助金・交付金はこのほかにもあります。また、産科や歯科を対象とした交付金もあります。
7.医療施設で土地活用の成功事例
医療施設での土地活用での事例を紹介します。まずは成功するポイントをまとめました。
- 立地の見極め
- 補助金の活用
- 長期運用収支計画を立てる
前提条件 | 都市郊外の住宅地が近隣にある立地 50坪の更地 クリニック(延床面積50坪)を新築して土地とともに賃借契約 |
---|---|
初期投資 | 合計:約6,000万円(ローン:4,000万円、自己資金:2,000万円) |
利回り・収益 | 年間売上:約800万円 年間経費:約20万円 年間ローン返済額:約264万円(返済期間:20年) 利回り:約9% 年額利益:約536万円 |
成功のポイント | 安定的に収入を得られるよう、ハウスメーカーに仲介された医療法人と賃借契約。要望に合った物件を用意することで、退去リスクも抑えたかたちとなっている。 |
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。