地方でもアパート経営は成功する!成功要因と守るべきチェックポイント
所有の遊休地が地方にある場合、アパート経営をしても大丈夫なのか気になっている方は多いのではないでしょうか。地方都市は都心部と違って情報も少なく、判断材料が少ない傾向にあります。
本記事では、地方でのアパート経営を検討している方に向けて、まずは、ご所有の土地がアパート経営に成功しやすい要因が備えているかどうか、そして、経営をした場合のメリットとデメリットなど、さまざまな角度からシミュレーションをしています。
この記事を読むと、
- 地方でのアパート経営は立地要素がそろえば失敗しない
- 地方でのアパート経営は高利回りが期待できる
- アパート経営プランの検討には一括プラン請求活用がおすすめ
といったことがわかります。
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「所有地でアパート経営はできる?」「いくら儲かるのか知りたい」という方はご活用ください。
1.地方でも成功する アパート経営の5大成功要因
活用予定地のあるエリアが、首都圏・大都市圏以外の地域または郊外にあり、その土地でアパート経営をご検討の方向けに、地方都市でアパート経営を成功させるために、確認しておくべき5つの要素をまとめています。
仮に活用予定地が現在お住まいのエリアから離れていて、エリア情報について詳しくない場合でも、アパート経営に踏み出しても良いかどうかの判断材料として参考にできます。
- 人口
- 中核企業の多さ
- 商業施設の多さ
- 都市機能の良さ
- 暮らしやすさ
田舎のアパート経営を成功させたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
1-1.人口
活用予定地のある自治体の人口を確認します。人口が多ければ多いほど、潜在的な入居希望者の分母は大きくなり、アパート経営は安定しやすくなります。首都圏や大都市圏でアパートやマンションが星の数ほど多くても、不動産投資や賃貸経営が成り立っているのは、人口が多く入居希望者数が常に存在するためです。
自治体の人口の調べ方はいろいろありますが、一番シンプルなのは政府統計の窓口を使う方法です。活用予定地のエリアを選択し、市区町村レベルまで細かく調べられます。以下のサンプルは、静岡県での土地活用を想定した画像です。
静岡県のいくつかの主要な自治体を選択し、さらに男女で15歳以上(就業可能な年齢)、未来の人口推移位予想など、ご自身が知りたいことにチェックをして「確定」ボタンで進めていきます。
【サンプル画像1 静岡県の市を選択 中核地を選択】
【画像2 各市の総人口 就業年齢などを選択】
【画像3 データ結果の表示画面】
※表示されるのは政府統計のデータとして調査結果が出ているものだけですので、選択をしても全てのデータがわかるわけではありません。
サンプルとして出した静岡県の場合、最も人口が多いのは浜松市であり、浜松市に住む方の半分以上が15歳以上の就業者人口であることから、潜在的入居者候補は相当数いることがわかります。さらに、未婚者割合は26%ですので、まだマイホーム所有者ではない層も少なくないことがわかります。
このようなデータをもとに、ご所有の活用予定地がある市区町村を細かく見ていくことで、「うちはA市よりは人口が少ないが、独身者割合が多いのでワンルームの需要ならありそうだ」などの予測をつけることができます。
さらに、隣り合っている近隣の市や区を選択肢に入れておくことで、参考にできるデータが増え、比較もしやすくなります。活用予定地がゆかりがなく、あまりエリアに詳しくない場合でも、人口データで予測できることもあります。
【参照:政府統計の総合窓口 市区町村データ】
1-2.中核企業の多さ
前項の人口の多さとほぼ比例しますが、エリアに中核企業があるかどうかを調べます。中核企業とは、大きな会社ではなくても、そのエリア全体の経済を盛り上げるための中心となっている会社などのことです。
わかりやすい例で言えば、愛知県豊田市にあるトヨタ自動車株式会社のように、メイン企業を中心に関連子会社やグループ企業、下請工場などが豊田市とその近隣エリアに広がっているような企業のことです。
活用予定地があるエリアに、このような中核会社があると、その会社に勤める方やパートアルバイトなどを含めて人が集まりますので、自然と賃貸需要が増えて経営がしやすくなります。調べ方としてはネットの検索窓に「○○県 地元企業」などと入れると、企業名がずらっと出てきます。
地方は車社会であることが多いため、車で通えそうな範囲にある企業にどのようなものがあるかを確認し、人口データとあわせて潜在的な入居希望者数を類推します。具体的な数値にはなりにくい調査方法ですが「あたりをつける」という意味では、確度の高い方法です。
1-3.商業施設の多さ
活用予定地があるエリアに、どのくらいの商業施設があるかを確認します。商業施設とは、生活に便利な大型ショッピングモール以外にもテーマパークや遊技場などのエンターテイメント施設、海や山などのレジャーを楽しめる場所も含みます。
さらに、エリア全体を代表するような観光スポットとして、古い町並みや遺跡、寺院仏閣なども商圏の一部としてカウントしてよいでしょう。このような場所には、人がたくさん集まりますので、サービスを提供する施設や店舗が集まりやすくなり、そこでの働き手が同エリアに賃貸住宅を求める傾向があります。
1-4.都市機能の良さ
都市機能とは、エリア全体のライフラインが行き届いていることや、エリア内を移動するための便利な交通手段がそろっていること、そのようなエリアで災害・事故・犯罪などのトラブルが起きないような配慮がされた街づくりができていることです。
例えば、プロパンガスしかないエリアよりも、都市ガスが通っているほうが都市機能は良いといえます。携帯電話の電波がエリア内のどこでも届くことや、電気のひっ迫需要の際に停電をしないなども重要です。また、人と車の安全性が保たれている、豪雨や豪雪などの自然災害時にも、最小限のトラブル済むように街が整備されていれるなどです。
このようなエリアの人口と環境レベルに沿って、適切にインフラ整備されているところは、住環境として優れているといえるでしょう。
1-5.暮らしやすさ
暮らしやすさとは、基本的には生活の利便性が高いことを指します。住み心地が良い、暮らしやすいと感じるためには、商業施設の充実や都市機能の充実のほかに、エリアの安心度・利便度・快適度・富裕度なども影響してきます。
- ・安心度
- 子供を安心して育てられる、女性が1人でも安全に暮らせるなどの、治安の良さのことです。また、安心して歩行できる広い道幅がある、清潔なトイレなどがある、ゆっくりできる公園や公民館などがあるなど、子どもや高齢者にやさしいエリアであるかどうかも含まれます。
- ・利便度
- 車社会の場合は大通りが近い、高速道路やインターチェンジから近いなど移動のしやすいエリアであること。電車利用の場合は、通勤や通学に必要な朝晩の特急列車や新幹線停車駅であることなども、利便性のひとつです。
- ・快適度
- 生活の快適さとは、商業施設やインフラが整っている上で、さらに風光明媚であるなど、心理的にプラスの影響を持つものが近隣エリアにあることです。例えば、富士山が見える、海が見える、美しい公園がある、観光名所があるなどです。
- ・富裕度
- 富裕度の高いエリアほど、高額商品でも売れやすくなります。そのため、富裕度の高いエリアでは、少しくらい家賃が高くなっても設備や仕様の良い賃貸住宅を求める傾向があります。また、富裕度が高いと教育費も多くなる傾向があるため、エリアの住環境も良くなる傾向にあります。
暮らしやすさは、個人の背景によっても感じ方が違いますので、ネットやエリアのフリーペーパーなどにある「暮らしやすい街ランキング」などのデータをいくつか参考にすると、エリアのイメージがつかみやすいでしょう。ネットの検索窓に「暮らしやすい街 ランキング 〇〇県」などと入れると、いろいろなランキングが出てきます。
公的なデータではないため、アンケート集計をした会社によって偏りはありますが、どこの情報にも上位に出てくるのであれば、そのエリアは暮らしやすいと言え、アパート経営もしやすい可能性があります。
今回紹介した5つの要因は、自己調査をすることもできますが、アパート建築プランを請求すると不動産のプロによる調査結果が付いてきます。地方にはそのエリア独特の住環境や生活環境がありますので、地方でのアパート経営を成功させるためには、アパート経営に信頼と実績のあるハウスメーカーや建築会社に、相談すると成功確率が格段に高まります。
複数のプラン請求をすることで、エリアに詳しい企業から、いろいろな切り口でアパートの建築プランと経営プランを比較できますので、ご所有の土地でどのようなアパートを経営すべきなのかが、つかめるようになってきます。
なるべく数多くのハウスメーカーや建設会社からプラン請求をするには、一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができる、NTTデータグループの「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
2.地方でのアパート経営 3つのメリット
本章では、地方でアパート経営した場合の、メリットを3つにまとめています。
- 高利回り経営が期待できる
- ライバル物件が少ない
- 敷地利用で収益アップが期待できる
2-1.高利回り経営が期待できる
土地活用の方はすでに土地をご所有ですので、土地と新築したアパート建物を担保にアパートローンを借りることができます。都心部と比較すれば、建築費も安くなる傾向にあるため、アパート建築コストを抑えられるでしょう。
総建築費が下がればアパートローンで借りる金額も下がります。賃料収入からのローン返済負担額が減ることにより、高利回りの経営が期待できます。
2-2.ライバル物件が少ない
都心部と比べると、地方は不動産投資家が狙ってこないエリアと言えますので、強力なライバル物件が少なくなります。地方はもともと賃貸物件が少ない傾向があるため、都心部ほど集客に力を入れなくても、ある程度の入居者確保が可能だと言われています。
その結果、ライバル物件との価格競争をする必要がなくなりますので、短期間での家賃下落の可能性も少なくなります。また、エリア全体にライバルとなる賃貸物件が少ないということは、築年の古い近隣のアパート経営者が引退・相続によるアパート経営の終了などがあれば、何もしなくても大幅な入居率の改善も期待できます。
2-3.敷地利用で収益アップが期待できる
地方都市でのライフスタイルは、車がないと成立しないことケースが多いでしょう。地方の賃貸住宅物件において駐車場の用意の有無が、入居率に影響します。地方で新築アパートを建てるのであれば、専用の貸し駐車場を用意するのは必須条件です。
家賃プラス駐車場代金が賃料収入になります。戸数分の駐車場を用意してもまだ、敷地面積に余裕があれば、季節家電など(扇風機・BBQセット・テント・スノーボードなど)をしまって置ける有料の貸し物置などを用意しておくことで、アパート入居者だけではなく、近隣アパートやマンションの住民に貸し出すことも可能です。
3.地方でのアパート経営 3つのデメリット
本章では、地方でアパート経営した場合の、デメリットを3つ解説します。
- 空室時のダメージが大きい
- 修繕費などは都心部と同じ
- 自然災害時のリスクが高いことがある
3-1.空室時のダメージが大きい
地方都市は、都心部のように人口の流入・転出が多くはありませんので、人の動きに伴う賃貸需要も少ない傾向です。また、地方は持ち家率も高いため、若いころから定年するまでの期間ずっと賃貸暮らしをする方は、都心部と比べれば多くはありません。
このような理由から、地方でアパート経営は、空室が発生すると、次に入居者が見つかるまでには時間がかかる傾向があり、空室リスクは高いと言えます。
周辺のライバル物件も同じ経営条件ですので、空室を長引かせないためには、家賃を下げて対応することになります。短期間での家賃下落幅が大きい場合には、ローン返済に支障が出る可能性もあるでしょう。
<対策>
検討の段階で、周辺エリアの転入人口・転出人口の推移を過去5~10年で調べておきます。
活用予定地を含んだ同じ生活エリアの範囲で、数年間続いて転入が多ければ、今後も引き続き人口が増えていく可能性がありますので、アパート経営を検討してみる価値があります。
政府統計の総合窓口 市区町村データ で該当エリアをピンポイントで調べることはできますが、複数のハウスメーカーや建設会社へプラン請求をし、不動産のプロが判断する内容もあわせて総合的に判断する必要があります。
3-2.修繕費などは都心部と同じ
アパート設備や建物のメンテナンスにかかる費用は、全国で大きな値段の差がない傾向です。そのため、建築費とは違って、地方だから割安になるなどのメリットがありません。
こうなる理由として、アパートのような賃貸物件の場合、複数の部屋に同じ設備を設置しますので、ハウスメーカーや建築会社はメンテナンスや交換などをスムーズにするために、なるべく商品の欠品などが起きない、全国的に名の通ったメーカーの機材や設備を使用します。
地方のアパート経営では都心ほど賃料を高く設定できません。したがって、修繕費の負担は大きくなるといえるでしょう。
<対策>
複数件のメンテナンスを同時に行う場合には人件費は一回分で済みますので、修理修繕はなるべくまとめて行うようにします。
管理委託をしている会社に修理修繕の部署がある場合、管理会社が決めた価格になることが多いので、管理委託先を決める際は、修理費などの見積もりも請求したうえで、複数社を比較するようにしてください。
また、地方でのアパート経営は、エリアの人口が多く、入居者需要がある程度期待できるのであれば、都心部でのアパート経営よりも高利回りになる可能性が高いので、修繕費が都心部と同じだけ発生したとしても、収支バランスが大きく崩れる可能性は低いといえます。
3-3.自然災害時のリスクが高いことがある
同じ地方でも政令指定都市のような大都会に準ずるインフラがしっかり整ったところと、人口が少ないエリアとでは、自然災害時のリスクに大きな差が出ることがあります。とくに、地方の平野部や川や海の近くの場合は、大雨や台風による水害が出やすい可能性があり、賃貸経営にダメージが出る可能性があります。
例えば、床下浸水などがあるとアパートの1階部分は住むことが難しくなります。賃貸の場合、こうした問題があると問題のないエリアに引っ越してしまいます。また、水ハケが悪い場合には地盤が緩み、建物が傾くなどの大きな被害につながる可能性もあります。
さらには、アパートの近くに崖・山などがある場合には、大規模な土砂崩れなどの想定外のことが起きる可能性もあり、人命にかかわるほどのトラブルが発生する可能性もあります。
<対策>
土地活用をする場所のハザードマップを確認し、要注意のエリアだった場合は、住居以外の土地活用を検討するか、より安全な土地に買い替えてからのアパート経営をおすすめします。
どうしてもその場所を売却したくない場合には、多少の工事費がかかったとしても、地盤工事を徹底させてトラブルを未然に防げるだけの対策をしたうえで、保険に入って万が一の場合の対策をします。または、土地のみを企業などに貸す方法であれば、売却をせずに土地からの収益を得ることもできます。
【関連記事:】傾斜地・斜面の有効な土地活用とは?具体例とメリットを解説
4.地方でアパート経営を始める前のチェックポイント10
地方でアパート経営をするには、検討を始めた段階で、以下の10ポイントをチェックしてください。
- エリアニーズを徹底調査
- サブリース契約はなるべく避ける
- 商業施設などの生活利便性の確認
- 特定施設や企業への依存をしない
- 空室対策を万全にする
- 駐車場を作る
- 売却はアパート建築検討段階で試算
- 地方都市部への買い替えも検討する
- 他の土地活用もあわせて検討する
- 複数の建築プランを比較する
4-1.エリアニーズを徹底調査
エリアニーズの調査とは、ご所有の土地がある周辺エリアで賃貸住宅の需要があるかを調べることです。専門的な判断も必要になりますので、まずは、数多くのハウスメーカーや建設会社にアパート建築プランを請求し、対応力とプラン内容をじっくり比較します。
その上で、なるべく活用予定地にまで足を延ばし、ご自分でもエリア状況を確認します。周辺にアパートやマンションなどの賃貸住宅があるのかを見て回ります。もし活用予定地がご自身の実家周辺であり、ある程度のエリア知識があるのであれば、昔と比べてどう変わっているのかを参考にします。
現地に向かう際には、プラン請求をした会社に現地調査もお願いしておけば、地元の情報や賃貸ニーズなどを担当者の言葉で確認できます。
4-2.サブリース契約はなるべく避ける
サブリース契約とは、アパートを建てた後の経営を、アパート経営の専門会社に丸ごと委託するアパートの経営方法です。オーナーは契約時に決めた金額を毎月受け取ることになりますが、契約後は経営に一切口を出せなくなります。また、サブリース会社は経営がうまくいかなかった時を想定した金額設定をしますので、空室が発生しても、満室経営でも、オーナーの手取り額は同一金額になります。
ただし、あらゆる管理を全部お任せできるので、アパート経営に不安がある方にとっては魅力的です。しかし、地方でのアパート経営をする場合には、サブリース契約はあまりおすすめできません。
地方の賃貸経営は、もともとの賃貸需要が多くはないため、賃貸不動産も多くはありません。そのため、入居者は一回入居すると次に転勤やマイホーム購入をするまでは、続けて同じところに住み、都会のように短期間で人が入れ替わらない傾向にあります。
そのため、管理は地元の不動産管理会社にお願しても、サブリース契約にしても、経営状態に大きな変わりがありません。それであれば、管理コストや管理項目の調整が可能で、さらに満室経営の時には最高益の賃料収入が得られる、不動産管理会社への一般的な委託のほうが収益性が良いことになります。
サブリースは、万が一何かあった場合(エリアでの自然災害トラブルや火事など)、確認のために現地に着くまでに半日以上かかるほど遠い場所にある場合のみ、検討してみる価値があります。
【参照:HOME4U賃貸経営】
4-3.商業施設などの生活利便性の確認
活用予定地の生活利便性は、入居者確保に大きな影響を与えます。生活利便性とは、近隣にショッピングモール・スーパーマーケット・医療施設・金融機関・教育機関・公共施設などがそろっていることです。
調べる際は現況とともに今後3年・5年・10年というスパンで、施設が増える可能性も調べます。一般的に、アパート建物は法定耐用年数が22年と長く、多くの場合経営は長期的な見通しが必要です。
長い期間、エリア環境はそのままではありません。変化にともなって賃貸需要も代わっていきます。現在お持ちの活用予定地では、まだ生活利便性が高いとは言えなくても、将来的に増える可能性があるのであれば、アパート経営は前向きに考えても問題はないでしょう。
これらの情報は、自治体の土木課や開発課などの、エリア開発や工事の申請情報を確認できる部署で確認できます。電話で確認することもできますが、自治体まで足を運べば、数十年先の予定や、現在審議中のものも確認できます。調べた情報はメモをとっておき、今すぐ使わない情報であってもまとめておきます。
類似した情報は、アパート建築プランを請求した際にハウスメーカーや建築会社の担当者が調べてくれますので、ご自身の得た情報とつけあわせをしながら、プランを比較していけば、より将来のエリア環境のイメージがハッキリとして、経営判断がしやすくなります。
4-4.特定施設や企業への依存をしない
活用予定地周辺に、人が集まる人気の施設や従業員数の多い企業がある場合は、その影響を除いたケースを想定して経営計画を考えます。特定の施設とは、大型テーマパークなど、そのランドマークを目指して人が集まってくるような施設のことです。
一般的に、このような施設は数十年という単位で経営をしますが、途中で経営破綻をして撤退してしまう可能性は常にあります。その場合には、ランドマークで働いていた従業員やパートアルバイトも、次の職場を求めて引っ越してしまいます。
ランドマーク施設や企業の従業員を頼りにアパート経営計画を立ててしまうと、万が一のケースで、挽回できないほどの大きなダメージを受ける可能性が高くなります。エリア全体の賃貸ニーズをもとに計画を立て、特定施設や企業からの需要が全部消えた状態でも、良好な経営が可能かどうかをシミュレーション計算しておく必要があります。
4-5.空室対策を万全にする
都心部でのアパート経営と比較したときに、最も地方のアパート経営に影響を与えるのが空室リスクです。地方は人口の流入そのものが都心部よりも少なく、さらに持ち家率も高いため、空室が発生した場合に、次の入居者が決まるまでの期間が長引く可能性が高いといえます。
空室を発生させたいためには、入居者の対象間口を広くとり、フレキシブルな入居者イメージで部屋づくりをします。例えば、以下のようなものがあげられます。
- ・リモート対応
- 現在、最も需要が多い設備です。アパート入居者が無料で使える高速WiFiを完備するなど、リモート勤務・リモート通学が可能な環境を用意します。
- ・シェアOK
- 一般的に、アパートはワンルームまたは1~2DKであることが多いのですが、2~3人でのシェア(共同生活)を許可します。社会人や身元保証のある方を代表者で契約をすれば、賃料収入には影響がなくなります。シェア前提で間仕切りが作れる間取りを作ることで、長期安定収入にもつながりやすくなります。
- ・ペットOK
- 小型犬・猫・うさぎ・鳥など、ペットOK物件にします。木造アパートのペットOKは珍しいので、ペットを連れての入居先に困っている方にとっては、一度入ったら出ては行きたくない物件となります。工夫としては、1F部分は犬のみにするなどで、複数種のペットが重なっても入居者同士の問題は起こりにくくなります。
- ただし、どうしても人間だけが住むよりは汚れますので、敷金に相当する金額を通常よりも1ヶ月分多くし、その金額は返却しない前提であれば、退去後のオーナー負担がなくなります。
- ・事務所併用OK
- 一般的に、アパートは住んで生活をするための場所ですが、1人で事業をされている方や、会社員との兼業をしている方向けに、軽い打ち合わせ程度ならばできる、オフィス兼住居として使うことを許可します。
- 契約内容は「住居」ですが、入居者にとっては寝泊まり可能な事務所になります。例えば、近隣になった企業が引っ越しをしてしまった場合などでも、オフィス利用ができることで、空室リスクを回避できます。最近は、動画配信用の撮影場所として家の近くにオフィス併用で借りるケースも多く、入居者がご自身で防音対策をしながら上手に活用しています。
- ・倉庫利用OK
- 住居として借りてもらいますが、中身を倉庫として使うことを許可します。倉庫といっても、一般の方が家庭で使わなくなった家電や季節家電や季節レジャーグッズなどをしまって置ける場所として貸し出す方法です。
- 倉庫と違って空調がついていますので、温度管理が必要なワインや食品類なども一時保管をする場所として利用できます。本当の倉庫ではありませんので、什器などは構造上の問題から預かりが難しいと言えます。あくまで空室リスクを回避するための方法として参考にしてください。
入居者要件や契約者要件をフレキシブルにすることで、万が一の空室の場合、空室期間を最小限に抑えることができます。
4-6.駐車場を作る
仮に活用予定地が駅前にあっても、地方はメインになる商業施設が車利用の場所にあるケースが多いので、アパート建築をする際には、駐車場併設をします。地方の土地は敷地面積も広いことが多いので、計画段階で駐車場も組み込みます。
駐車場代は家賃に含めるか、別途価格を設定します。近隣に貸し駐車場がある場合でも、入居者からすれば同じ敷地内にマイカーがあれば利便性が高いと感じますので、敷地が余っていれば駐車場スペースを作っておくほうが良いと言えます。入居者による利用が無い場合は、近隣の方に貸し出しが可能です。
4-7.売却はアパート建築検討段階で試算
土地活用の場合は、代々継承していている家の資産であることが多いため、不動産の売却はしないことが前提となりがちです。しかし、アパート経営を検討した段階で売却したときのことも想定しておくことで、アパート経営計画はより確かなものにできます。
アパート経営をしようとご検討中の方の中には、「やってみて、もし経営がうまくいかないときや、気が変わったら、アパートごと売却すればいいや」と考える方もいるでしょう。しかし、新築アパートというのは、1人でも入居者が付いた時点で中古アパートになりますので、不動産市場では中古アパートとして売買されます。
中古アパートの買い手となる方は、不動産投資家の中でも、賃貸物件をいくつも経営しているようなプロです。このような方は利回りを重視しますので、アパートが新しくても、土地条件が良くても、販売価格が高ければ利回りが低くなるため、購入を見送る傾向があります。
仮に買い手が現れたとしても厳しい値引き交渉が入ることが多く、どちらにしても、オーナーの希望買取価格よりもかなり下がった売却価格になる傾向です。アパートローンが残っていた場合には、買取価格では完済できず、アパートも土地もなくなったのに借金だけが残る可能性もあります。
アパート経営をご検討の際には、このような経営の最終段階のことも想定し、売るならばどのタイミングで売るべきなのかをしっかりとシミュレーションをしておいて、経営中にどのような不測の事態が起きても、最低でもプラスマイナスゼロなるように戦略が必要です。検討段階で、どうやっても売った時に赤字になるのであれば、売却はしない前提で計画を立て直すか、アパート経営以外の土地活用に切り替えるなど、柔軟な考え方も必要になります。
4-8.地方都市部への買い替えも検討する
ご所有の土地の土地条件が、あまり賃貸経営向きではない場合には、他の土地活用方法に切り替える以外に、今の土地を売却して、もっと条件の良いところへと買い替える方法があります。
例えば、政令指定都市の外れにある土地よりも、もっと地方に移動した中央部の方が賃貸需要は高くなります。仮に新しい候補地が今の土地面積よりも1~2割減ってしまったとしても、今の場所での相場家賃よりも高く設定でき、さらに賃貸ニーズが高い場所なのであれば、買い替えが土地活用としてはうまくいきます。
土地活用の最大の目的は「土地からの利益を最大化する」ことにありますので、今のご所有の土地の条件で最大化できる方法が限られているであれば、より活用しやすいエリアに移動するというのは検討してみる価値があります。
これらの検討には、おひとりで考えるよりも、不動産経営のプロフェッショナルであるハウスメーカーや建築会社の担当者と一緒に考える方が、参考になる土地やエリア情報をもとに、適切なアドバイスがもらえます。そのためには、複数のハウスメーカーや建設会社へのアパート建築プランを請求し、今の土地条件で十分に検討しておきます。
4-9.他の土地活用もあわせて検討する
多くの方は土地活用というとアパート経営やマンション経営をイメージしますが、実は、土地活用にはたくさんの種類があり、それぞれ適した土地条件があります。土地活用をご検討の際には、アパート経営も含めたたくさんの土地活用候補の中から、最も多くのメリットを生み出せる活用方法を選び出すところからがスタートです。
どのような土地活用方法が適しているのかは、ご自身でお考えになるよりも、不動産と土地活用のプロである、ハウスメーカーや建築会社の担当者と一緒に考えることをおすすめします。
気になるプランがあれば、現地調査をお願いすれば、より具体的な提案がもらえます。さらに、他にも適した土地活用があれば、それも教えてほしいと相談をすれば、担当者が周辺ニーズや土地条件に合わせて、適切な提案をしてくれます。
ひとつ土地活用方法にこだわってしまうと、他にもっと収益を生み出しやすい方法を確認できないまま土地活用が進んでしまいますので、最初は広い候補の中から選び、絞り込んでいくようにしてください。
4-10.複数の建築プランを比較する
アパート経営を検討した段階で、まずはシミュレーションや経営イメージの元になるアパート建築プランを請求します。はじめから会社やプランを決め打ちしてしまうと、他にもっと良いプランを提案してくれる、相性の良い会社に出会えなくなってしまう可能性があります。
検討の段階では、なるべく数多くのハウスメーカーや建設会社へアパート建築プランを請求し、たくさんのプラン候補の中から、ご自分が気に入るものを探します。例えば、デザインが好み、構造が気になる、総工費がオトクであるなど、各社が得意とすることをさまざまな角度からプレゼンテーションしてくれます。
企業側は、お客様が納得いかなければ成約しないことを理解していますので、シミュレーション段階での間取り変更提案や、デザインの相談にも丁寧に対応してくれます。プラン候補が絞り込めて来たら、経営プランもしっかりと比較しながら、予算に合った状態に修正して、パートナーとなるべき会社を総合的に判断します。
このように、プラン選びはなるべくたくさんの候補の中から選ぶようにすれば、地方でのアパート経営でもリスクを回避しながら順調なアパート経営が期待できるようになります。複数のハウスメーカーや建設会社へアパート建築プランを請求する際には、NTTデータグループが運営する日本最老舗の不動産情報サイ「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
一回の入力で最大10社にまで同時に請求ができますので、一度にたくさんの経営プランを比較できます。気になるプランや会社には現地調査をお願いすることで、より周辺の賃貸ニーズや土地条件によるエリアニーズもハッキリしますので、他の土地活用方法と合わせて、担当者に直接相談も可能です。
地方のアパート経営に適しているエリアは以下のような要素で見極める必要があります。
- 人口
- 中核企業の多さ
- 商業施設の多さ
- 都市機能の良さ
- 暮らしやすさ
詳しい解説は「地方でも成功する アパート経営の5大成功要因」をご一読ください。
地方のアパート経営では以下のようなメリットがあります。
- 高利回り経営が期待できる
- ライバル物件が少ない
- 敷地利用で収益アップが期待できる
また、デメリットには以下の3つが挙げられます。
- 空室時のダメージが大きい
- 修繕費は都心部と同じ
- 自然災害時のリスクが高いことがある
詳しくは「地方でのアパート経営 3つのデメリット」をご確認ください。
地方のアパート経営の成功には以下のようなポイントがあります。
- エリアニーズを徹底調査
- サブリース契約はなるべく避ける
- 商業施設などの生活利便性の確認
- 特定施設や企業への依存をしない
- 空室対策を万全にする
- 駐車場を作る
- 売却はアパート建築検討段階で資産
- 地方都市部への買い替えも検討する
- ほかの土地活用もあわせて検討する
- 複数の建築プランを比較する
それぞれのポイントについては「4.地方でアパート経営を始める前のチェックポイント10」で解説しています。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。