【初心者向け】「土地の分筆(分割)」にかかる費用と手間について
本記事では、土地の分筆をお考えの方に向けて分筆にかかる費用と手続きの流れについて解説します。
この記事を読むと、
- 土地を分筆する流れ
- 土地の分筆にかかる費用
- 分筆できない土地の特徴
といったことがわかります。
また、以下記事では不動産相続登記に関する詳細を解説しています。
相続登記手続きの流れや費用などは、こちらの記事をご確認ください。
1.土地の分筆をできる人とは?
土地の分筆は
- 相続人
- 土地家屋調査士
上記の人が対応できます。
相続人自らも対応できますが、土地の分筆は測量や境界線の確定など難しい技術・知識を要する場面が多々あるため専門家に任せることが賢明です。
2.土地の分筆にかかる費用
土地の分筆にかかる費用は、大きく分けて以下2種類があります。
費用 | 概要 |
---|---|
土地家屋調査士の報酬 | 5万円〜数百万円
|
登録免許税 | 1筆につき1,000円 (例:分筆後の土地が3筆なら3,000円) |
参考:日本土地家屋調査士会連合会「2022年度アンケートによる 土地家屋調査士 報酬ガイド」
参考:国税庁「登録免許税の税額表」
3.土地を分筆する流れ
土地の分筆は、主に以下の流れで進めます。
- 土地家屋調査士に依頼する
- 土地の境界を調査する
- 境界確認書を作成する
- 法務局へ登記申請を行う
本章では、各工程について詳しく解説します。
3-1.【手順①】土地家屋調査士に依頼する
最初にすべきことは、土地家屋調査士への依頼です。
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記のための調査・測量を行う専門家で、分筆登記の代理申請を独占業務としています。
参考:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士とは」
3-2.【手順②】土地の境界を調査する
次は、土地の境界の調査です。
土地の境界線は、法務局等から地積測量図や確定測量図などの資料を取得したり、実際に土地を測量したりすることで調べられます。
調査により土地の境界が定まっていないことが判明したら、隣地との境界を明らかにするべく確定測量を行います。
3-2-1.土地の境界確定測量を実施する
確定測量では、隣地所有者の立ち会いのもと測量を行い、法務局などから取得した資料と照らし合わせながら土地の境界を明確にします。
なお、確定測量の実施には、隣地所有者へ事前交渉・申請が必要です。
隣地 | 事前交渉・申請先 |
---|---|
私有地の場合 | 隣地所有者 |
道路の場合 | 国道事務所の担当出張所等 |
国有地や公有地(公園等)の場合 | 市・区役所、町役場 |
3-4.【手順③】境界確認書を作成する
隣地の所有者との交渉・確認を経て境界が明らかになったら、境界線となる位置に境界標を設置して境界確認書を作成します。
境界確認書とは、隣地との境界を証明する書類のことです。
なお、境界確認書は隣地にも共有して保管します。
3-5.【手順④】法務局へ登記申請を行う
最後に、登記申請書・地積測量図を作成して法務局へ登記申請を行います
登記の手続きが完了すると、分筆によってできた土地には新しい地番が付与され、登記の記録が作成されます。
なお、分筆登記を行うためには登録免許税の支払いが必要です。
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4.土地の分筆に必要な書類
土地の分筆に必要な書類は以下のとおりです。
書類名 | 概要 |
---|---|
登記申請書 |
|
地積測量図 |
|
境界確定資料 |
|
現地案内図 | 土地や建物の位置を示す図面 |
委任状 | 登記名義人に代わって家屋調査士が申請する際に必要 |
5.土地の分筆にかかる期間
土地の分筆にかかる期間は、土地の規模や隣地との境界によって異なります。
以下表は、土地家屋調査士に依頼してから土地の分筆までにかかる期間の目安です。
境界線確定の有無 | 目安となる期間 |
---|---|
土地の境界線が確定している場合 | 10日程度 |
土地の境界線が定まっていない場合 | 2~3ヶ月程度 |
また、隣地の所有者との交渉がまとまらない場合、分筆までにさらに時間を要することもあります。
6.分筆できない土地の特徴
最後に、分筆できない土地の特徴を紹介します。
分筆できない土地の特徴は、以下のとおりです。
- 分筆後の面積が0.01㎡未満
- 隣地との境界が確認できない
- 不合理分割に該当する
ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。
6-1.【特徴①】分筆後の面積が0.01㎡未満
分筆後の面積が0.01㎡未満になる土地は、分筆登記が禁止されています。
あまりに細かい土地は管理が難しいだけでなく、登記上では0.01㎡未満が切り捨てられることから、正しい面積が記録できない点が主な理由です。
また、市街化調整区域内の土地は一筆の最低面積が決められていることがあるため、分筆を行う際は面積に注意してください。
6-2.【特徴②】隣地との境界が確認できない
分筆登記は、隣地との境界が定まっていないと申請手続きできません。
隣地との境界が確認できない主な理由として、
- 隣地所有者が不明
- 立ち会いを拒否された
- 境界線の合意が得られない
といったケースが挙げられます。
改善される見込みがない場合は、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するか、平成17年に施行された筆界特定制度を利用するのがおすすめです。
筆界特定制度については、法務局のホームページをご参照ください。
参考:法務局「筆界特定制度」
6-3.【特徴③】不合理分割に該当する
分筆後の土地が不合理分割に該当すると判断された場合も、登記申請は認められません。
不合理分割の例として以下のケースが挙げられます。
- 極端な形二分割する
- 分筆後、宅地として活用できなくなる
- 分筆後、接道義務が満たされなくなる
- 実際にない道路をあるように見せかける
また、固定資産税評価額などを意図的に下げるために土地を分筆した場合も不合理分割に該当することがあります。
不合理分割に該当する土地を相続・贈与した場合、分筆前の土地を基準に税額を算定する点に注意してください。
参考:国税庁「第1節 通則」
- 相続人
- 土地家屋調査士
詳しくは「1.土地を分筆できる人とは?」にて解説しています。
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