ビル建築費・建設費は、階数や構造、用途によって大きく変動するため、初めて計画する方にとっては全体像がつかみにくい費用項目です。 「どのくらいの費用がかかるのか」「どうすれば抑えられるのか」と悩む方も少なくありません。
そこでこの記事では、階数・構造別の建築費シミュレーションをはじめ、坪単価の相場や費用を抑えるための具体的なポイントについて解説します。ビル建築を検討している方は、計画の参考としてぜひご覧ください。
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1. マンションなどの賃貸住宅建設とビル建設はどう違う?
いざビルの建築費について調べようとすると、マンションなどの集合住宅の建築費に関する情報は多く見つかるものの、ビルの建築費に関する情報はあまり見つからないのではないでしょうか。
しかし実際のところ、マンションの建築費とビルの建築費には似たところが多いです。
例えばビルの建築費もマンションの建築費と同じく、坪単価×面積で決まりますし、坪単価についてはSRC造やRC造、鉄骨造など、どの構造を選ぶかで変わります。
このあたりは両者に共通するところです。
一方、ビルの建築費とマンションの建築費とでは異なる点もあります。
ビルの場合だと商業施設を入れることが前提となりますが、商業施設では、マンションのようにキッチンやお風呂を入れる必要はないのが一般的です。スケルトンといって、建物の躯体だけの状態にすることもあります。
ほかにも商業施設を入れるとなると、建物のデザイン面についてもマンションよりこだわったものにする必要もあり、ケースによって建築費は変わってきます。
そうしたことを前提に、次の章でビルの構造ごとの坪単価や、地域ごとの建築費の相場観などを見てみましょう。
なお、マンションの建築費について知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
2. 【階数・構造別】ビル建築費のシミュレーション
ビル建設を検討する際、「結局いくらかかるのか」が一番気になるところですが、建築費は一律ではなく、建物の階数・構造・延床面積・仕様などによって大きく異なります。
特に、どの構造形式を選ぶかによって坪単価(1坪あたりの建築費)が変動し、結果として総費用に大きな差が出てきます。
ここでは、階数(3階・5階・10階)と構造(S造、RC造、SRC造)ごとに、延床面積と坪単価を設定したうえで、実際に「建築費のシミュレーション」を行い、建物本体費用+経費(設計・申請・外構等)を合計した概算金額を試算はあくまで目安ではあるものの、計画初期段階でおおよその予算感をつかむのに役立ちます。
各階数ごとの事例を参考に、自身の土地活用計画に近いケースを想定しながら、イメージを具体化していきましょう。
【階数・構造別】ビル建築費用 早見表 |
階数・構造 |
延床面積(平米) |
坪単価(万円) |
建物本体費 |
諸経費 |
総額 |
3階(S造) |
600 |
100 |
1.8億 |
2000万 |
2億 |
5階(RC造) |
1000 |
120 |
3.6億 |
4000万 |
4億 |
10階(SRC造) |
2000 |
140 |
8.5億 |
1億 |
9.5億 |
2-1. 3階建てビルの建築費
ビルの建築費は、延床面積や階数に加えて、採用する構造によっても大きく異なります。 特に構造形式は、耐震性・耐火性・工期といった要素に直結するため、建築コストに与える影響は小さくありません。
3階建てビルは、テナント併用型の賃貸住宅や小規模オフィスビルとして広く活用されています。
ここでは、鉄骨造(S造)を想定し、延床面積600平米(約181坪)、坪単価100万円で建築費を試算します。
【建築費のシミュレーション】
- 建物本体費:約1億8,000万円(100万円 × 約181坪)
- 諸経費(設計・申請・外構等):2,000万円
- 合計額:約2億円
階数が少ない分、エレベーターや法規制に基づく追加工事が少なく、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。ただし、耐震・断熱性能、用途地域の規制内容によっては費用が上振れする場合もあります。
早い段階から複数社に見積もりを依頼し、仕様とコストのバランスを検討することが重要です。
2-2. 5階建てビルの建築費シミュレーション
5階建てビルの建築には、耐火性や遮音性に優れた鉄筋コンクリート造(RC造)が主に採用されており、賃貸マンションやオフィスビルに適しています。
ここでは、延床面積1,000平米(約302坪)、坪単価120万円を前提に、建築費を試算します。
【建築費の内訳】
- 建物本体費:約3億6,000万円(120万円 × 約302坪)
- 諸経費(設計・申請・外構など):4,000万円
- 合計額:約4億円
RC造は耐久性・資産価値が高く、長期的な運用に向いていますが、その分初期コストが大きくなりがちです。税制優遇や補助金制度の活用、設計段階での仕様調整を行うと、予算内での建築計画を進めやすくなるでしょう。
複数の建設会社からプランを取り寄せ、慎重に比較検討することが重要です。
2-3.10階建てビルの建築費シミュレーション
10階建ての高層マンションやオフィスビルでは、一般的に鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が採用されています。SRC造は、鉄骨の強度と鉄筋コンクリートの耐震性・耐火性を兼ね備えており、大規模なオフィスビルなどに適した構造です。
ここでは、延床面積2,000平米(約605坪)、坪単価140万円を前提に、建築費を試算します。
【建築費の内訳】
- 建物本体費:約8.5億円(140万円 × 約605坪)
- 諸経費(設計・外構・申請など):1億円
- 合計額:約9.5億円
SRC造は高層建築に適した構造ですが、構造計算や杭工事の必要性から、建築費が高額になりがちです。計画段階から詳細な地盤調査を行い、信頼できる建築会社との連携によって、予算オーバーを防ぐことが重要です。
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上記はあくまで概算です。実際の建築費は、敷地の形状や地盤の状態、用途、設備仕様などによって大きく変動します。正確な建築費を知るには、所有する土地に応じて、複数の建築プランを専門家と比較検討することが不可欠です。
3. ビル建築費の坪単価相場
ビル建築費の見積もりにおいて重要な指標となるのが「坪単価」です。
ここでは、前章のシミュレーションの根拠となった坪単価について、費用に影響を与えるさまざまな要因ごとに詳しく解説します。
ご自身の計画に近い条件を確認し、おおよその坪単価の目安をつかみましょう。
3-1. 【構造別】S・RC・SRC造の坪単価の違い
構造別の平均坪単価は以下のとおりです。
構造 |
坪単価(目安) |
S造(鉄骨造) |
約100万円
|
RC造(鉄筋コンクリート造) |
約120万円
|
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) |
約140万円
|
S造は鉄骨を主材として構成され、工場での部材製造と現場での組立てが中心となるため、工期が短くコストも抑えやすいのが特徴です。ただし、耐火性や遮音性の面では他構造に劣る点もあります。
RC造は鉄筋コンクリートを用いることで、優れた耐震性と遮音性を実現できるため、居住用・業務用どちらの用途にも広く用いられています。
SRC造は鉄骨と鉄筋コンクリートを併用し、高い強度と耐久性を兼ね備える構造です。特に10階建て以上の高層ビルに多く採用されますが、その分、設計・施工の難易度が上がり、工費も高額になる傾向にあります。
建物の階数・用途・予算に応じて、最適な構造を選ぶことが建築コストと資産価値の両立につながります。
RC造とSRC造は建築費に差がありますが、いずれもコンクリートを用いるため、耐火性や遮音性に優れ安心感の高い構造です。違いが出やすいのは耐震性・耐久性で、SRC造は鉄骨の柔軟性とコンクリートの強度を組み合わせているため、RC造に比べて大規模・高層の建物に適しています。RC造は中低層ビルでコストと性能のバランスを取りやすく、SRC造は強度を重視したい超高層ビルで選ばれることが多いです。用途や規模に応じた選択が、無理のない建築計画につながります。
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3-2. 【ビルの種類別】オフィス・テナント・高層ビルの坪単価
ビルの用途によっても坪単価は大きく異なります。必要とされる設備や仕上げのグレードが用途ごとに異なるためです。下表は、ビルの種類別に見た坪単価の目安です。
ビルの種類 |
坪単価(目安) |
オフィスビル |
約85〜125万円
|
テナント・雑居ビル |
約75〜95万円
|
高層オフィスビル |
約105〜165万円
|
例えば、テナントビルでは「スケルトン渡し(内装工事なし)」 という状態で引き渡されることが多く、仕上げ工事の費用が不要な分、建築コストを抑えられる傾向があります。
一方、高層オフィスビルでは、複数のエレベーターの設置や空調・セキュリティ設備の高度化が求められるため、坪単価が高くなります。
建築計画を立てる際には、用途に応じた設備水準とコストのバランスを見極めることが重要です。
3-3. 【地域別】主要都市の坪単価の比較
また、建築費は地域によって差があります。特に都市部では人件費や資材の調達費、施工管理のコストが上昇するため、地方と比べて坪単価が高くなる傾向があります。
下表は、国土交通省の「建築着工統計調査(2025年:令和6年4月~令和6年12月分)」をもとに、主要都市における構造別の平均坪単価を示したものです。
|
S造 |
RC造 |
SRC造 |
東京都 |
約114万円
|
約147万円
|
約184万円
|
神奈川県 |
約126万円
|
約128万円
|
約182万円
|
福岡県 |
約86万円
|
約99万円
|
約130万円
|
出典: 国土交通省「建築着工統計調査(2025年)」年度次2024年6-1都道府県別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額(令和6年4月~令和6年12月分)
都市部である東京都・神奈川県では、全体的に坪単価が高く、特にSRC造は高層対応のためコストが高めです。一方、福岡県では全構造で比較的安価に建築可能であり、地方ならではのコストメリットがあります。
建築費の坪単価は、初期計画や融資額にも大きく影響します。地域ごとの相場を事前に把握し、予算に適した構造と仕様を選択することが重要です。
3-4. 建築費は年々上昇傾向にある
さらに、近年ビル建築費は継続的に上昇しています。主な要因は以下のとおりです。
- 建設資材(鉄骨・セメントなど)の価格高騰
- 建設業界の人手不足による人件費の増加
- 原油高や輸送費の上昇によるエネルギーコストの増大
このような背景から、建設時期を先送りにするとさらにコストが膨らむリスクがあり、以下ような対応が重要になってきます。
- できるだけ早めに建築計画を立てる
- 建築会社と相談し、複数の見積もりを取得する
- 資金計画を確定させ、着工時期を見極める
建築費が上昇基調にある今こそ、タイミングを逃さずに行動することが成功のカギです。

出典:“建設資材価格指数”. 一般財団法人 経済調査会
このグラフは、全国の主要資材の価格動向を指数化したものです。2015年の指数を100として推移を表していますが、2020年以降の指数の上昇率が著しいことが分かります。
最新の2023年2月の建設資材価格指数は全国平均が148.6(建築:156.1、土木:136.6)であり、過去最高の水準に達しています。
なお指数は特定の地域のみ上昇しているわけではなく、全国的な上昇傾向が見られます。
そのため、今後ビルの建築に着工する場合は、建設資材の価格推移に注目しつつ、時期によっては従来の価格相場を大きく超えた坪単価になる可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
所有する土地でビル建築にかかる費用が実際いくらかかるのか、知りたい場合は、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」の一括プラン請求サービスを使えば、無料で建築費の見積もりなど、ビル建築のプランが手に入ります。
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建築費の高止まりには、資材価格だけでなく人件費の上昇も大きく影響しています。特に「建設業界の2025年問題」と呼ばれる熟練技能者の大量引退が控えており、労働力不足による労務単価上昇が続いています。実際に公共工事設計労務単価も毎年引き上げが行われており、今後もこの傾向は避けられないでしょう。建築費を見積もる際は、資材価格の推移だけでなく、人件費動向も合わせて意識することが求められます。
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4. ビル建築費用の内訳
ビル建築には建物本体の工事費だけでなく、さまざまな付帯費用が発生します。ここでは、ビル建築費の主な内訳を解説します。
4-1. 費用の内訳は「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」

費用項目 |
割合(目安) |
本体工事費 |
約60%
|
付帯工事費 |
約25%
|
諸経費 |
約15%
|
それぞれの内容は以下のとおりです。
- 本体工事費:建物本体(構造体、基礎、屋根、外壁、設備工事など)の施工費
- 付帯工事費:駐車場、外構、水道・電気の引込、杭打ちなどの施工費
- 諸経費:設計費、確認申請費、登記費、地盤調査、施工管理費、仮設費、保険料など
このようにさまざまな費用がかかるため、建物本体の工事費だけでなく、周辺整備や手続き費用も含めた「総額」で予算を把握することが重要です。費用の内訳を正確に理解しておくことで、後の見積もりや資金計画をスムーズに進められます。
5.建築費用を安く抑える3つのコツ
ビルの建設には多額の費用がかかるため、できるだけ無駄を省き、予算内で最適な建物を実現するための工夫が求められます。建築費は建物本体以外にも付帯設備や設計経費など多くの要素で構成されており、それぞれの判断が総額に影響します。
ここでは、コストを抑えながらも品質や収益性を確保するための実践的な3つのコツを解説します。
5-1. 複数の建築会社からプランを比較検討する
ビル建築費を抑えるうえで、最も効果的かつ基本となる方法が「複数の建築会社からプランと見積もりを取り寄せて比較すること」です。
同じ建物の規模・構造・仕様であっても、建築会社ごとに設計方針や資材の仕入れルート、下請け業者の管理体制が異なり、見積額が数千万円単位で変わるケースも珍しくありません。
特に高層ビルのような大型建築では、1社の見積もりだけで判断するとコストを大きく見誤る可能性があります。複数社のプランを一括で請求し、設計内容や工法、金額を総合的に比較することが、コスト削減の第一歩です。
また、各社の見積もりを比較することで、単価の妥当性を把握でき、交渉の際の材料としても有効に活用できます。
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5-2. ビルの構造や設計を最適化する
ビル建築費を抑えるには、構造や設計の見直しが効果的です。
例えば、鉄骨造(S造)を採用すれば、鉄筋コンクリート造(RC造)よりも工期が短くなり、結果的に人件費や仮設費を削減できる可能性があります。また、複雑な形状や凝った意匠は施工難易度が上がり、無駄なコストの原因となることもあります。
そのため、土地の建ぺい率・容積率は最大限に活用しつつ、過剰な設備やデザインを避け、シンプルで効率的な設計を心がけることが経済的です。 柱の配置や床構成などの基本設計もコストに影響するため、経験豊富な設計者と早期に協議し、施工性とコストのバランスをとることが重要です。
5-3. 「スケルトン渡し」で内装・設備費用を抑える
テナント向けビルを建設する場合、初期投資を抑える方法として有効なのが「スケルトン渡し」です。これは内装や空調設備などを設置せず、コンクリート打ち放しの状態でテナントに引き渡す方式を指します。
内装工事をテナント側に委ねることで、オーナーは内装・設備にかかる工事費を大幅に削減できます。さらにテナント側にとっても、自社の業態に合わせた自由な空間設計が可能になるという利点があります。
事前にテナント契約で内装負担の範囲を明確にしておけば、トラブルを避けながら初期費用を抑えられ、ビル経営のリスク低減にもつながります。
ビル建築費は、建物本体の工事だけでなく、外構や設備、設計や申請にかかる費用まで含めて考える必要があります。実際には思った以上に細かな出費が重なることもあるため、内訳を把握しておくと安心です。コストを抑える方法は一つではなく、設計や構造を工夫したり、仕上げや設備の水準を調整したりすることで無理なく削減できます。全体を見渡して計画を立てれば、ビル建築をスムーズに進められます。
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6. 【自社ビル・アパート経営と比較】ビル経営のメリット・注意点
ビル経営を検討する際には、メリットとリスクの両面を把握することが不可欠です。
ここでは収益性や資産性、相続税対策といった代表的なメリットとともに、注意しておきたい運用面の課題についても整理します。さらに、自社ビルやアパート経営といった他の土地活用手段との違いにも触れ、各選択肢の特徴や向いているケースを比較解説します。
6-1. ビル経営の3つのメリット(収益性・節税効果)
ビル経営には、以下のような代表的なメリットがあります。
- 複数テナントからの賃料収入による高い収益性
- 土地付き建物としての高い資産評価
- 評価額を抑えられることによる節税対策
複数のテナントに貸し出すことで高い収益性が見込め、金融機関からの融資にも有利に働きます。 また土地と建物がセットで所有されているビルは資産評価が高く、将来の売却時にも有利です。
相続時には、不動産の評価額は「相続税路線価」や「固定資産税評価額」に基づいて算出され、現金より2~3割低く評価されるのが一般的なため税金の負担が軽減されます。さらに、第三者に貸し出しているビルの土地は「貸家建付地」として扱われ、評価額がもう2~3割程度減額されます。
加えて、被相続人(亡くなった方)と同居していた方がその不動産を相続する場合、土地について一定面積まで控除を受けられる「小規模宅地等の特例」があります。その控除額は居住用宅地か、事業用宅地かによって異なりますが、オフィスビルの場合200㎡まで50%の減額となります。
この小規模宅地等の特例には適用要件がありますが、適用を受けられた場合、全てを足し合わせるとかなりの額の評価減を受けることができます。
なお、所得税・法人税の節税効果も受けられます。賃貸ビルの建物部分は「減価償却資産」として扱われ、建物の価値を耐用年数に応じて毎年費用計上できます。これにより、帳簿上の利益を圧縮し、所得税・法人税の課税対象額を抑えることができるのです。
特に初期数年は償却額が大きく、税負担を抑えながらキャッシュフローを安定させるという観点でも有効です。
6-2. ビル経営の3つの注意点(ランニングコスト・空室リスク)
メリットだけではなく、ビル経営には以下のような注意点もあります。
- 設備の維持管理や修繕にかかる継続的な費用
- 空室発生時の収益悪化リスク
- テナント対応や契約管理など運営の手間
最も大きな注意点は、ランニングコストの高さです。エレベーターや共用部の照明・空調、定期点検などの維持費が継続的に発生します。RC造やSRC造では大規模修繕の計画も必要となり、長期的な支出が見込まれます。
空室リスクも無視できません。1室あたりの賃料が高いため、空室が長引くと収益への影響が大きくなります。
さらに、テナント対応や契約更新、退去時の原状回復など、管理業務が複雑になりやすいため、不動産管理会社の選定や業務委託の内容も重要なポイントとなります。
こうした注意点に備えるには、事前に長期的な収支計画や運営シミュレーションを立てた上で、無理のない経営プランを心がけましょう。
6-3. 自社ビルやアパート経営との違いと選び方
ビル経営を検討する際は、自社ビルやアパート経営との違いを明確に把握しておくことが重要です。活用方法ごとに目的や収益構造が大きく異なるため、土地の条件や将来的な運用方針に応じた選択が求められます。
自社ビル
自社のオフィスや店舗としてビルを使用するケースです。賃貸収入は発生しないものの、家賃を支払う必要がなくなるため、長期的にはコスト削減につながります。
さらに財務諸表上では固定資産として計上され、金融機関からの信用力向上にも寄与します。
アパート経営
住宅需要の安定性と運営のシンプルさが特徴です。1戸あたりの賃料は低めですが、複数戸あることで空室リスクを分散しやすく、初期費用も比較的抑えられるため、はじめやすい投資手法です。
どの方法が適しているかは、土地の立地・広さ・用途地域・将来の事業展望によって異なります。収益性だけでなく、管理体制や資金計画も含め総合的に判断しましょう。
ビル経営には、複数テナントからの収益や相続対策といった利点がありますが、維持管理費や空室リスクに加えて融資のハードルも考慮が必要です。高額な投資となるため、金融機関は立地条件や事業計画を慎重に評価します。アパート経営と比べると資金調達の難易度は高めです。そのため、計画段階で複数の見積もりを取り、長期の収支シミュレーションや返済計画を丁寧に立てておくことが、安定した経営につながります。
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7. 企画から竣工までのビル建設の流れ
ビル建築には多くの工程があり、高額な資金も必要です。失敗を避けるには、信頼できる相談先を選び、正しい手順で計画を進めることが大切です。
ビル建築は、以下のような流れで進めるのが一般的です。
- 1.土地の調査と条件整理(用途地域・容積率・周辺環境など)
- 2.建築の企画・設計依頼(設計と施工を分ける分離発注なら設計事務所、一括発注なら建築会社)
- 3.建築会社選定と見積もり取得(複数社比較が基本)
- 4.確認申請と着工準備(法令チェック・建築確認の取得)
- 5.施工開始〜竣工(工期管理・定例打ち合わせ)
- 6.引き渡し・テナント募集(完成後の運用開始)
設計や施工の段階で判断を誤ると、コスト増や使い勝手の悪い建物になってしまう可能性があります。各ステップで専門家の助言を受けながら進めることが必要です。
8. ビル建築を成功させるための相談先の見つけ方
ビル建築を成功させるには、まずは信頼できる相談相手を見つけましょう。最初に相談すべき相手は、「土地活用に強い建築会社」または「設計事務所」です。
一括で設計・施工を行う会社もありますが、会社ごとに得意分野や実績が異なるため、慎重な選定が求められます。
相談先を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 希望する構造や階数での設計・建築実績が豊富であること
- 地元の用途地域や建築制限など、法規制に精通していること
- 資金計画や税務面まで含めてトータルで相談できる体制が整っていること
- 内容が明確で比較しやすい見積書を提示してくれること
事例や口コミだけでなく、「どこまで踏み込んだ相談が可能か」という対応力も重要な判断材料になります。信頼できるパートナーを選ぶことが、計画の精度と安心感につながります。
8-1. HOME4Uで最適な建築プランを見つけよう
相談先を一つひとつ探すのが難しいと感じる場合は、建築一括提案サービスの活用がおすすめです。例えば「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」では、土地の広さや条件に応じて、複数の建築会社が提案する最適なビル建築プランを比較検討できます。
ビル建築計画を始める際には、建築費や収支プランがわかる「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
複数の建築会社から提案を受けることで、予算の目安や建物仕様、収益の見通しが明確になり、より納得のいく計画が立てられます。まずは無料で相談することから始めてみましょう。
9.まとめ
ビル建築には、土地の条件調査から設計、施工、完成後の運用まで、さまざまな段階があります。どこかで判断を誤れば、余計な費用がかかったり、使いにくい建物になったりするおそれがあります。そのため、早い段階で信頼できる相談先を確保することが欠かせません。
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ビル建築費は規模や構造、立地や用途によって大きく変わり、資材や人件費の高騰で当初の想定を上回ることもあります。こうしたリスクを避けるためには、複数社から見積もりを取り、工期や設計内容、維持管理のしやすさ、将来の賃貸需要まで比較検討することが重要です。相談できるパートナーを持ち、長期的な視野で判断することが、安定した土地活用とビル経営につながります。
10. ビル建築費のポイントとよくある質問
ここでは、ビル建築費に関して読者から特に多く寄せられる質問を、Q&A形式でまとめました。費用の目安や抑える工夫が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ビル建築費の最も簡単な目安を知る方法は?
A:ビル建築費の目安を把握するうえで最も基本的な方法は、「坪単価 × 延床面積」で概算を出すことです。
階数や構造に応じた坪単価に延床面積を掛け合わせることで、建物本体のおおよその建築費を概算することができます。例えば、RC造5階建てで坪単価を120万円、延床面積を200坪と想定すると、建物本体の費用は約2.4億円になります。
そこに設計費や外構工事、諸経費などを15〜20%上乗せすることで、より現実的な総建築費が見えてきます。このような試算は、早い段階で予算の方向性をつかむために有効です。
10階建てのオフィスビルはいくらくらいかかりますか?
A:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)を想定した場合、10階建てオフィスビルの建築費の総額は約9億〜10億円前後になるのが一般的です。
10階建てのオフィスビルでは、耐震性・耐久性に優れたSRC造が多く採用されます。坪単価は約140万円が目安で、延床面積を600坪と想定すると、本体工事費は約8億4,000万円にのぼります。
ここに設計料・施工管理費・外構工事・確認申請などの諸経費を約15〜20%加算すると、総額はおよそ9億6,000万円前後になります。実際の費用は建設予定地の地盤条件や地域の施工単価、建築時期などによって変動するため、正確な見積もりは専門家に依頼しましょう。
ビル建築費を安く抑える最も重要なコツは?
A:ビル建築費を安く抑えるためには、複数の建築会社から提案と見積もりを取り寄せ、条件・価格・内容を比較検討することが最も効果的です。
ビル建築は規模が大きいため、会社によって工法や資材調達ルート、下請け構成などが異なり、同じ条件でも費用に大きな差が出ることがあります。数千万円単位の違いが生じることも珍しくないため、1社だけに相談して決めてしまうのはリスクが高いといえます。
「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」のような一括比較サービスを利用すれば、複数社から効率的にプランを集められ、価格の妥当性も把握しやすくなります。納得できる提案を選ぶためにも、早めの情報収集がカギとなります。
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