建築資材高騰の理由は? いつまで続くかをグラフの推移予測とともに解説
ここ数年、建築資材の高騰が激しい状況です。
2021年に始まったウッドショックに続き、2022年にはウクライナ情勢も加わったことから、建築費資材の高騰が収まる状況にありません。
建築資材はなぜ高騰し、この高騰状況はいつまで続くのでしょうか。
この記事では「建築資材の高騰」について解説します。
ぜひ最後までおつきあいいただき、土地活用を検討する際の参考にしてください。
また、建築資材が高騰する中、アパートの建築費を抑えるコツは、複数の建築会社の相見積もりを取る事です。
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1.建築資材高騰のグラフ
まずは、建築資材高騰の推移をグラフ化してみます。
以下の2つの視点で見てみましょう。
- 長期的推移
- 短期的推移
それではひとつずつ解説します。
1-1.長期的推移
長期的な建築費の推移を知るため、30年間分の建築工事費デフレーターの動きを示します。
建築工事費デフレーターとは、建築費の値動きを指数化したものです。
出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」
建築費は総じて上昇傾向にありますが、特に2013年度以降から顕著に高騰している状況です。
1-2.短期的推移
短期的な建築費の推移を知るため、2021年からの月別の建築工事費デフレーターの動きを示します。
出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」
建築費は2021年以降も総じて上昇しています。
特に木造住宅の値上がり状況が非木造(鉄骨造等)住宅よりも大きいのが特徴です。
2.建築資材高騰の6つの理由
では、なぜ高騰しているのでしょうか?
建築資材高騰の理由について、以下の6点を解説します。
- 従来から続く慢性的な職人不足
- 新型コロナウイルスによるウッドショック
- 新型コロナウイルスによる給湯器等の不足
- ガソリン代や電気料金の高騰
- 低金利政策による「悪い円安」の継続
- ウクライナ情勢を起因とするロシアへの経済制裁
それではひとつずつ見ていきましょう。
2-1.従来から続く慢性的な職人不足
「資材」に限定せず「建築費」という観点で言うと、ここ数年に始まったものではなく、既に10年近く上がり続けています。
建築費が上がり続けている理由は、職人等の慢性的な人材不足も実は原因なのです。
職人の高齢化により退職する人が増え、若い人の担い手も少ないため、建築業界ではどんどん人手不足となっています。
職人を奪い合うような形になると人件費が高騰することから、近年は建築費の上昇が収まらない状況です。
人手不足に関しては、2019年4月より入管法を改正して外国人労働者を受け入れやすくしましたが、2020年に発生した新型コロナウイルスによって外国人の入国が制限されたことから出鼻をくじかれてしまいました。
建築業界の人手不足に関しては何年も前から常態化していることから、簡単に改善されるものではありません。
たとえウクライナ情勢が短期間で収束したとしても、国内の人手不足はまだまだ続くことが見込まれます。
よって、他の経済要因が改善されたとしても、建築費の高騰は長期化する可能性は十分にあり得ます。
2-2.新型コロナウイルスによるウッドショック
建築費が高騰している理由には、新型コロナウイルスが起因となったウッドショックがあります。
ウッドショックとは、輸入木材価格の高騰のことです。
日本では2021年3月頃から影響が出始めています。
ウッドショックは、アメリカで新型コロナウイルスによって郊外に住宅を建てて移転する人が増えたことがきっかけの一つです。
株高も手伝ったことから、アメリカの富裕層の住宅取得意欲が高まったことも原因となっています。
また、同時期に中国も住宅の取得需要が増えました。
アメリカと中国という2大経済大国に木材需要が一気に増えたことから、輸入木材価格が高騰する結果となってしまったのです。
加えて新型コロナウイルスにより世界的なコンテナ不足も生じ、海上輸送運賃が上昇していることもウッドショックの一因となっています。
2-3.新型コロナウイルスによる給湯器等の不足
2021年の秋頃より、日本では主に給湯器を中心とした住宅設備の供給不足が生じています。
冬にかけて給湯器不足は深刻化したことから、経済産業省では東京五輪の選手村で使用されていた給湯器を一時的に貸し出すという措置まで行いました。
給湯器が不足した理由は、新型コロナウイルスによってベトナムの工場が閉鎖されたためです。
ベトナムでは、日本の大手給湯器メーカーがハーネスと呼ばれる給湯器の部品を作っていましたが、ロックダウンによって生産ができなくなったことから給湯器が作れなくなってしまいました。
海外の生産工場が稼働できなくなり供給不足に陥った製品は、給湯器だけでなく、トイレやシステムキッチン、ユニットバス、ドア等にも及びます。
2021年から始まっている住宅設備の不足は、建築資材の高騰の大きな要因の一つです。
2-4.ガソリン代や電気料金の高騰
ガソリン代や電気料金の高騰も建築費が高くなる要因です。
工事現場には資材を運搬するため、運送費が高くなれば建築費も高くなります。
また、資材や設備を加工する工場では電気を利用するため、電気代が高くなれば建築費も高くなります。
ガソリン代が高くなっている理由は、近年、産油国が産出を抑制していることが理由です。
現在、世界的に地球温暖化対策としてEV車(電気自動車)の普及が推進されています。
EV車が普及すればガソリンが不要となってしまうことから、産油国がガソリン価格の値崩れを警戒して供給量を減らし始めているのです。
電気代に関しても、地球温暖化が要因となっています。
まず、現在の日本は多くの原発が停止していることから、以前よりも火力発電の比重が高まっている状況です。
火力発電を行うには、燃料となる石炭や石油、液化天然ガス(LNG)が必要となり、これらの燃料の多くは輸入に頼らざるを得ません。
石炭や石油、液化天然ガスのうち、最もCO2の発生量が少ないのは液化天然ガスです。
CO2の削減目標は世界各国に課せられており、各国が近年液化天然ガスを多く利用するようになりました。
中でも中国の液化天然ガスの需要は高まっており、昨今の液化天然ガスの価格高騰の原因となっています。
また、地球温暖化によって天候不順になると、自然エネルギーに頼っていた国も火力発電に切り替えざるを得なくなります。
2021年は、風力発電に頼っていたスペインがラニーニャ現象によって風力が弱まったことにより、風力発電の発電量が減ってしまいました。
欧州各国でも液化天然ガスの需要が増えたため、液化天然ガスの価格は昨年より高騰しています。
現在の日本は火力発電の依存度が大きく、CO2の削減を抑えるために液化天然ガスを使わざるを得ないことから、電気代が上がっているのです。
2-5.低金利政策による「悪い円安」の継続
建築資材の多くを輸入に頼っている日本では、円安も高騰の原因の一つです。
ここ1~2年の円安の原因は、日本の低金利政策が原因とされています。
現在、世界の主要国は物価上昇を抑えるために、中央銀行が金利を上げている状況です。
米国は早くから金利を上げる方向に切り替えており、日米の金利差は広がりつつあります。
日本の金利が低く、アメリカの金利が高くなると、円よりもドルで運用した方が有利になります。
そのため、円を売ってドルと買う動きになることから、円の価値が安くなり、円安となってしまうのです。
円安は輸出には有利に働きますが、輸入には不利に働きます。
2022年に入って以降、円安が進んでいることから、建築資材もますます高騰しているのです。
2-6.ウクライナ情勢を起因とするロシアへの経済制裁
ウクライナ情勢を起因とするロシアへの経済制裁も、建築資材高騰の要因になるといえます。
日本は資源の少ない国ですので、資源小国が資源大国に経済制裁をすれば資源小国が疲弊していくことは自明の理です。
世界各国がロシア以外の国から資源を輸入すれば、必然的に世界の資源価格は高騰していきます。
日本は高騰した価格で資源を買わざるを得ないので、全体的に輸入価格が高騰してしまっているのです。
3.いつまで続く?今後の予想
建築資材の要因は、人材不足やウッドショック、新型コロナウイルスによる工場閉鎖、地球温暖化、円安、ウクライナ情勢等の様々な要因が絡んでおり、簡単には解決できないものと思われます。
世界的な要因が複合的に左右しているため、いつまで続くのかは断言できない状況です。
ただし、高騰原因の中で一つだけ日本が単独でコントロールできるものがあります。
それは、「金利」です。
日本が現在行っている低金利政策を転換し、利上げに踏み切れば、とりあえず円安は解消されていくものと見込まれます。
円安が解消されれば、輸入に有利に働くため、建築資材が安くなる見込みが高いです。
現在の日銀の黒田総裁の任期は2023年4月までであるため、総裁が交代すれば日本の金融政策が正常化していく可能性は高いといえます。
政策金利が上がれば、住宅ローンの金利も上がり、住宅需要も減退していきます。
円高となり、住宅需要も冷え込めば、建築資材も相対的に下がっていく可能性は強いです。
よって、2023年度以降に潮目が変わることは予想されます。
ただし、金利が上がったとしても、建築業界の人手不足の解消には繋がりません。
根本的な原因は未解決のままであるため、建築費の高騰がまだまだ続く可能性はあります。
建築費の高騰は今に始まったものではなく、10年近く続いているため、簡単に解消できるものではないのです。
4.建築費を抑える方法
建築資材の高騰が続く状況においては、土地活用でアパート経営などを検討している方にとって「建築費をいかに抑えるか」が最重要課題です。
建築費を抑えるには、最初に複数の大手ハウスメーカーから相見積もりを取ることが、必要不可欠となります。
大手ハウスメーカーに絞るべき理由としては、以下の3つがあります。
- 施工に一定の信頼性がある。
- 建築資材を大量に安く購入している。
- 設計施工体制で建築コストを抑えた建物設計ができる。
- (1)施工に一定の信頼性がある。
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大手ハウスメーカーは、社内で独自に定めた品質規定のレベルが高いため、施工品質に一定の信頼性があります。
建築費はコストを抑え過ぎて、すぐに修繕が必要になるような安普請の建物を建てても意味がありません。
建物は建築費を抑えながらも、一定以上の品質を保った状態で建てることが最もコストパフォーマンスを高くできます。
見積もりの比較先が大手ハウスメーカーであれば、既に一定の施工品質は確保されています。大手ハウスメーカーは竣工後のアフターメンテナンス体制もしっかりしていますので、長い目で考えると大手ハウスメーカー同士を比較する方が良いのです。
- (2)建築資材を大量に安く購入している。
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大手ハウスメーカーは、自社の企画商品を有しており、様々な建築資材を大量に安く購入しています。
一度にまとめて購入していることから、仕入れ先に対する購買力があり、小さな工務店よりも資材を安く調達する能力は高いです。
そのため、大手ハウスメーカーから見積もりを取った方が建築費を抑える可能性が高くなります。
- (3)設計施工体制で建築コストを抑えた建物設計ができる。
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大手ハウスメーカーは社内に一級建築士が在籍しているため、設計施工体制を取ることができます。
設計施工とは、設計会社と施行会社が同じであるということです。設計施工の場合、まず、設計料が安くなります。
設計会社と施工会社を分離した場合、設計料は工事費の5~8%程度となりますが、設計施工の場合には設計料は工事費の1~3%程度です。次に、設計施工の場合、その会社が最も得意とする工法を前提に設計をするため、全体的にコストを抑えた設計をすることができます。
設計内容そのものがコストダウンを意識していることから、外部の設計会社に設計を依頼するよりも工事費が安くなるのです。
このことから、「建築費を抑えるのであれば、大手ハウスメーカー同士で見積もりを比較することが必須」となります。
大手ハウスメーカー同士で見積もりを比較するなら、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」がおススメです。
最大10社の大手ハウスメーカーから無料で設計や工事費の見積もり、将来の収益や見込まれる節税効果などをまとめた「建築プラン」を比較することができるようになっています。
提案に参画する企業は国内トップクラスのハウスメーカーであり、建築資材の調達力も高い会社ばかりです。
施工の信頼性も高く、いずれも設計施工が可能なハウスメーカーとなっています。
建築資材が高騰する時期において、コストを抑えるための最適なサービスとなっていますので、ぜひ上手に「HOME4U 土地活用」を活用してみてください。
まとめ
それでは、おさらいです。
建築資材の高騰は、長期的には2013年頃から続いています。
2021年や2022年に入って以降も、新型コロナウイルスやウクライナ情勢を背景にさらに建築資材が高騰している状況です。
建築資材は世界的な要因を背景としていますが、国内でコントロールできる金融政策の正常化は一つのターニングポイントになると予想されます。
2023年4月の日銀総裁交代人事が、今のところ予想できるポイントです。
建築費は、大手ハウスメーカーに依頼した方が抑えやすくなります。
ぜひ上手に「HOME4U 土地活用」を活用し、大手ハウスメーカーの建築プランをしっかり比べ、どの会社が一番コストパフォーマンスが良いのかを見極めるようにしてください。
適正な建築コストにするための、一助にして頂ければと幸いです。
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