タワマン節税はもう使えない?節税対策にアパマン経営が良い4大理由
タワマン節税は、相続税対策として大きく節税ができることで注目されています。数年前から規制が入ると言われており、現在は、2024年1月施行を予定に、法改正が行われている最中です。
詳細は未定ですが、法改正が行われることによってタワマン節税がどう変わっていくのかがわからないと、これから先の節税を検討している方にとっては、動きようがありません。そこで今回は、タワマン節税の仕組みや、ルール改正後の予想などを含め、2024年度以降の節税対策についてまとめています。
この記事の内容
1.タワマン節税とは
タワマン節税(タワーマンション節税)とは、マンションの購入金額と、不動産評価額との差を利用した節税方法です。相続税の対象となる土地の評価額は、国税庁が発表する路線価を基準にします。この路線価は、原則として1つのマンションに1つの価格(1物1価)しかありません。
高層階のマンションと低層階のマンションで価格が大きく違ったとしても、物件の広さが同じであれば相続税の土地の評価額は同じになります。例えば、5,000万円で購入した低層階の部屋と、2億円で購入した最上階の部屋は、相続税評価額が同じです。
つまり、同じ棟(タワー)の中であれば、高層階の部屋を買う方が、相続税が少なく済むので節税になるし、買い物としてもお得であるという考え方です。これは、法律ができた当時には、20~60階建てなどの超高層階に人が住むことを、まったく想定していなかったことが要因となっています。
タワマン節税は法律を遵守はしているものの、制度上の抜け穴を衝いたものであり、あきらかに不公平感があると言えます。そのため、このタワマン節税に対しては、2017年(平成29年)に法改正が行われています。ただし、この時の改正は固定資産税に対するものであり、相続税は手付かずのままでしたので、現在までタワマン節税による節税対策は続きました。
1-1.誰が何のためにタワマン節税をしたのか
タワーマンションを含むマンションは、高層階になるほど値段が高く設定される傾向にあります。そのため、現在のような大規模なタワーマンションができる前から、マンションの高層階を購入して節税をする方法は、富裕層の間では珍しいことではありませんでした。
もともと富裕層の方は、相続の際に資産が減らないようにするため、現金を不動産などの別の資産に変えて、次世代へと遺していく手法をいくつも持っています。土地活用としてマンションやアパートを建てておく・高額なマンションを購入するなどで、現金を資産価値の落ちにくい不動産へ変えておくのは、適切な相続税対策の一つです。
しかし、いくら富裕層と言っても、地価の高いエリアに広い土地や家を持つのはカンタンなことではありません。例えば、東京の都心部の一等地では10億円を出しても大した豪邸は建てられませんし、そもそも、都心部の宅地として良い場所は、売っていないことの方が多いと言えます。
また、土地活用をすればその先には長い年月の経営管理が待っていますし、相続後の経営リスクによる、未来の資産縮小の心配もしなければなりません。しかし、完成したタワーマンションであれば都心の一等地にかなりの広い部屋を購入でき、一等地であるがゆえに資産価値も落ちにくく、そこに住む・貸す・売却するなどの活用もしやすい傾向にあります。
そのため、タワーマンションを含めた高層階の超高額マンションを使った節税は、手軽で確実に節税対策ができる方法として、一部の富裕層の間で、税理士の管理もと適切に節税が行われてきました。
近年になって、30階建て以上のタワーマンションを建てる技術ができ、同じエリアにタワーマンションが乱立するようなことになりました。その結果、適切な節税管理に不慣れな一部の資産家の横行によって、看過できないほどの節税が行われ、国税が本格的に乗り出すことになりました。
2.「タワマン節税」4つのしくみを解き明かす
本章では、タワマン節税がなぜそんなに大きく節税できるのか、その4つのしくみを解き明かします。基本的には超富裕層や富裕層向けの節税方法ですが、手持ちの現金を不動産という形に変えて安全に保有しながら、適切なタイミングで節税をするという点では、一般の土地活用にも大いに参考になるところがあると言えます。
- 固定資産評価額が小さい
- 相続税評価額が低くなる
- 小規模宅地の特例が使える
- 貸家建付地の評価を適用できる
2-1.固定資産税評価額が小さい
タワーマンションを含むマンションは、一戸建てと比べると土地が最大限に活用されているため、区分あたりの土地の所有面積がとても小さくなります。特にタワーマンションのような建物は、仮に敷地全体が5,000坪あったとしても、住戸が1,000戸あれば、単純計算で区分(マンションの1部屋)が所有する土地面積は5坪(約17平米)程度になります。
さらに、固定資産税には200平米以下の住宅用の狭い土地に関しては、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3で良いという住宅用地の特例制度※があります。これらは、もともとは住宅地の税金が高いと、庶民の生活を圧迫する可能性があるために設けられている制度です。
マンションの場合は、マンションの敷地面積を戸数で割ったものが固定資産税の対象額になりますので、この特例制度がほぼ100%適用されます。先に例に出した1物件あたり5坪の土地であれば、固定資産税はわずかな金額であり、さらに固定資産税の建物の部分は、築年が経過するごとに減額されていきますので、経年とともに限りなく0円に近づいていきます。
このように、戸数が多くて高額なマンションを購入すると、同じ金額で土地建物を購入したときと比較して固定資産税は割安となり、相続税だけではなく、毎年の固定資産税額も節税できるようになります。
【参照:東京都主税局 住宅用地の特例措置】
※2017年(平成29年)の法改正では、高層階に行くほど増税されるようにはなりましたが、評価額への変更はありません。
2-2.相続税評価額が低くなる
相続が発生した場合、1億円を現金で遺すと、1億円まるまるが相続税対象額になります。しかし「不動産」として残した場合、土地の部分には路線価を基準にし、建物部分は固定資産評価額を基準にした金額で算定されます。
路線価・固定資産評価額のどちらも、市場価格よりも低めに設定されてており、一般的には7割程度の評価額になっています。この理由は、市場価格より国の評価額が高いと、税金を取りすぎることになるので、あらかじめ低く評価してあるためです。
つまり、相続税の節税を念頭においた場合には、現金は何かしらの不動産に変えておいた方が、相続時に最低でも7割にまで圧縮されることが、あらかじめわかっています。1章で解説したように、相続税評価額は、法律上は1棟1価格(1物1価)ですので、高層階の超高額物件と低層階の物件は、相続税評価額上は同じ金額で査定されます。
そのため、相続税の節税を目的にするのであれば、タワーマンションは高額帯である高層階の部屋を購入したほうが、節税効果が高く、手っ取り早くお得に節税できるということになります。
2-3.小規模宅地等の特例が適用できる
タワーマンションは購入後、「マイホーム」として住むことでも節税になります。相続の際、故人と遺族が同居していた場合に限り、330平米以内の宅地を、死亡した方と同居していた親族が相続するのであれば、相続税の評価額が最大80%まで引き下がる、小規模宅地等の特例が適用されます。
節税の要は全国共通の「330平米以内の宅地」の部分にあります。例えば、宅地の金額がまったく同じだったとしても、東京都心で100平米の宅地を持っていれば特例が適用できますが、地方で3,000平米の宅地を持っていても、この特例は使えません。
そのため、相続税節税のことを第一に考えるのであれば、地方で豪華な戸建てを建てるよりも、都心部で330平米以内の家を持つ方が節税効果は高いことになります。宅地は戸建てでもよいのですが、マンションであれば1区分は330平米以内であることがほとんどですので、必要な分だけ購入すれば即・節税ができる分、富裕層にとっては手軽で確実な節税方法ということになります。
【参照:国税庁 小規模宅地の特例】
2-4.貸家建付地の評価を適用できる
購入したタワーマンションは自分で住んでも良いのですが、賃貸に出して「貸家建付地」にすることでも、相続税評価を下げることもできます。貸家建付地とは「人に貸している不動産は、所有者の自由にできない」ことを理由に、評価額を減額してもらえる制度です。
人に貸している家の相続税評価額の計算方法は、その家を自分で使っていた場合の評価額から、その家屋の借家権の価額を控除した金額です。評価額は路線価図や評価倍率によって変わりますが、借家権割合は全国一律で30%と決まっています。
つまり、タワーマンションの評価額がいくらになろうとも、購入したタワーマンション物件を人に貸しておくだけで、相続税の評価額を確実に3割引き下げることができます。
【参照:国税庁 貸家建付地の評価】
3.ルール改正したタワマン節税はどうなるのか
タワマン節税が、今後どのような展開になるのかを、まとめています。
※2023年夏時点の記事です。
- 実勢価格の4割→6割に変更
- 主な対象は20階建て以上のタワマン
- 高層階はねらい撃ちされる
- 駆け込み節税も回避が無難
- 改正後の相続税シミュレーションをしてみよう
3-1.実勢価格の4割→6割に変更
実勢価格というのは実際に売買された金額のことで、時価とも言います。相続税の対象となる土地の価格は路線価が基準とになっていますが、実際には、必ずしも路線価を基準にしなければならないわけではありません。
路線価というのは、全ての土地の時価は把握しきれないことが多く、時価がわからないと相続税の課税ができなくなるので、便宜上、国税庁が時価に代わる基準として作ってあるだけであり、原則的には土地の価格は時価で判断されることになっています。
一般的に考えても、タワマン節税のように、高層階と低層階であきらかに価格が違うにもかかわらず、路線価が同じだからと言って高層階と低層階が同じ評価額になるのはバランスが悪いといえ、税の公平性に欠けると言っても過言ではないでしょう。
昨今問題になったタワマン節税の問題になった複数の判例では、各税務署当局がこのことを強く指摘しており、「明らかに節税の意図がある」と判断されて国税が勝利し、タワマン節税が失敗に終わっているケースが見られます。
今後は、税の公平性のもとに、節税意図の有無に関係なくタワマン節税での申告が税務局側で否認されるようになるか、または評価額を実勢価格に沿って適正に評価される流れに向かっています。現時点では決定ではありませんが、時価の6割程度までには引き揚げられる可能性があります。
3-2.主な対象は20階建て以上のタワマン
タワーマンションは、居住用に建てられた超高層建築のことで、高さが60mを超えて、複数の階に住戸がある建物のことです。タワーマンションと呼ぶための法的な決まりはないのですが、一般的には、地上20階以上あるマンションをタワーマンションと呼んでいます。
現在あるタワーマンションとして有名な建物の例は以下の通りです。同じ棟の中では、20階以上の部屋が高層階という認識になります。
- 虎ノ門ヒルズレジデンス 52階建 (虎ノ門駅)
- アークヒルズ仙石山森タワー 48階建 (六本木一丁目駅)
- ザ・パークハウス 西新宿タワー60 60階建(都庁駅)
- シティタワー札幌大通 41階(北海道 札幌市)
- センターマークスタワー 46階建(福岡県東区)
タワーマンションの全国シェア率は東京が約70%、近畿で約13%であり、福岡・北海道・愛知・宮城などが続いています。2022年以降に完成予定のタワーマンションは約300棟近くあります。
3-3.高層階はねらい撃ちされる
今後の法改正は、2024年1月からを予定しながら、改正案の詳細をまとめている最中です。対象はタワーマンションに限定はせず、マンションの評価方法そのものを見直す方向にあります。そのため、過去に購入したマンションがタワーマンションであるという認識が無くても、購入した階が20階以上の物件であった場合は「高層階」という認識になり、法改正後の増税の対象になる可能性が高くなります。
現在問題となっているタワマン節税に関した問題の根幹は、法改正が現状のマンションの建築状況に沿っていないことが主な原因ですので、法改正後は、購入価格や土地の実勢価格に応じた、適切な税額に修正される可能性が高くなります。
このような法改正は、節税目的のためにマンション購入をした方にとっては打撃ですが、単にその物件を気に入った購入した方にとっては、戸建の税制改革と同じ受け取り方になります。税額に不服があれば所轄の税務署に相談をして、適切な対応をしてもらうなどが考えられます。
3-4.駆け込み節税も回避が無難
法改正が施行されるまでにはまだ時間がありますので、タワーマンション節税のスキームは2023年内であれば、理論上は「有効」になります。では、駆け込み節税はしたほうが良いかというと、答えは、回避が無難というところです。
その理由として、タワマン節税に関した過去の複数の判例を見る限り、国税側は一律にタワマン節税に対してストップをかけているわけではありません。しかし、基本的に財産の評価は、「著しく不公平になるような場合には、国税庁長官の指示によって評価内容を変更できる」という見解が出ています。
そのため、今後のタワマン節税には、この国税庁側からの規定が適用される可能性が高い傾向にあります。明らかに節税の意図があるとされる場合に限られますが、現時点からの駆け込みタワマン購入に対しては、国税側は「何かしらの意図をもって購入した」とみなす可能性があり、その結果、節税の申告は国税(税務署)で否認される可能性が高くなる傾向にあります。
【参照:「タワマン節税」裁判に係る最高裁判決】
3-5.改正後の相続税シミュレーションをしてみよう
タワマン節税の改正内容に関しては、まだ決定事項ではありませんが、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」によれば、市場価格と相続税評価額の乖離率が小さくなるように算出ルールが改正される方針であることはわかっています。
国税庁が案として公表した、評価額の新たな算出ルールの概要は以下になります。
- 築年数や階数などに基づいて、評価額と市場価格の乖離率を計算する
- 乖離率が1.67倍以上の場合、通常の相続税評価額に乖離率と0.6を掛ける
上記を総合すると、今後は同じタワマンの中でも階数によっては市場価格を考慮した評価額を出すことだけはわかります。以下は、改正後のシミュレーション計算をしてみたものです。
【例:東京都中央区勝どき6丁目 58階建タワーマンション 40階を所有していた場合】
専有面積 | 購入時価 | 相続税評価額(路線価) | 乖離率 | |
---|---|---|---|---|
改正前 | 165平米(50坪) | 9億 | 960万×50=4億8千万 | 約1.9倍 |
改正後 | 165平米(50坪) | 4億8千万×1.9乖離率×0.6=約5億5千万 |
※路線価のみ路線価表を参考に所定の場所にあるタワーマンションで計算
上記の通り、今までのタワマン節税の計算であれば、相続税評価額が4億8千万円であったところ、改正後の計算では5億5千万円になっていますので、相続税節税の計算は、今まで通りにはできないことがわかります。
実際には、さまざまな制度の適用がありますので、上記の相続税評価額のままにはなりませんが、計算のもとになる評価額が上がれば、支払う税額も増えることは確実です。
現在、タワマン節税を検討中の方は、ご自身での計算ではなく、税理士などによる税の専門家のアドバイスを参考にしてください。
4.節税対策にはアパートマンション経営が良い4大理由
タワマン節税は、不動産を使った節税方法の一つです。昔から資産家の方は、マンションを買って住むだけではなく、貸しマンションや貸しアパートを建てて節税をすることも行ってきています。つまり、資産のある方にとっては、「マンション経営」「アパート経営」は節税の定番と言えます。
本章では、アパートやマンションの経営をすると、具体的にどこが節税になるのか、またタワマン節税とくらべるとどうなのかを4つの視点でまとめています。
- 不動産評価が適切であれば節税対策も適切だから
- 土地活用が主たる目的になっているから
- タワマンは区分所有・アパマンは一棟所有
- 節税対策としてのアパマン経営は昔からある
4-1.不動産評価が適切であれば節税対策も適切だから
アパートマンション経営での節税には大きくふたつのポイントがあります。ひとつは小規模宅地などの特例を利用した「200平米以下の賃貸用不動産の土地を所有していた場合は、相続税の評価額が50%」という制度を利用するものです。1億の土地を購入してアパート経営をした場合、その土地の評価額は半額の5,000万円になり、相続税の課税対象額を半分ににできます。
ふたつ目は、ローンを組んでアパート建築をすれば、その分がマイナスの資産として相続税の課税対象から減額されます。相続税上の資産価値は路線価を基準にしますので、一般的に、購入価格よりも低く設定されます。つまり、建物の資産価値よりもローン残高が大きければ、相続税も圧縮できます。
これらの節税方法による不動産評価は、適正な法と制度を利用したものであるため、大きな節税ができても、その価格設定も適正の範囲内です。
節税のためにタワーマンションを購入する場合も、基本的な理屈は同じなのですが、今回の改正のように節税対策のベースが変更されてしまうと、想定していた相続税対策は思った通りに運ばなくなります。そればかりか、話題の節税方法であるだけに、税務署に目をつけられる可能性も、あわせて考慮しておく必要があります。
4-2.土地活用が主たる目的になっているから
タワマン節税は購入価格(時価)と評価額の大きな乖離が、大きな節税効果を生み出すという、法の隙間を衝いた節税方法でした。違法ではありませんが、タワーマンションの乱立により、常識の範囲を超えた価格設定が横行したため、司法のメスが入ることになりました。
アパートマンション経営の場合は、昔からある節税手法であることと、土地を購入するか所有していた土地を使った土地活用を主眼としているため、タワーマンションのような価格高騰がしにくく、税務署から見ると想定の範囲内に収まりやすいという特徴があります。
タワーマンションが相続税評価額から大きな乖離ができた理由には、不動産の新しい付加価値として高層階・夜景・都心部一等地などの、今までの不動産ではなしえなかった新しい価値を提供し、またその数が希少であったためです。
今後、どんどん増え続けるタワーマンションにより、希少性も付加価値も摩耗していく傾向にあります。そのため、タワマン節税は時間と共に平板化していく傾向にあり、節税アイテムとしての価値は下がっていく可能性が高いと言えます。
4-3.タワマンは区分所有・アパマンは一棟所有
タワマン節税で購入する物件は、例えその時価が10億20億であっても、結局は一棟の中の区分所有に過ぎません。区分所有の物件というのは、その棟全体の状況に物件価値が大きく左右されます。
例えば、東日本大震災のような大きな地震が起きた場合や、コロナ禍のような未曾有の事態になると、タワーマンションに住んでいる多くの外国人エグゼクティブが帰国し、そこに住んでいた日本人も別の場所に移動してしまうなどが起きます。すると、棟のほとんどが空室になってしまう可能性があります。
そのような状態になると、空室リスク・修繕リスク・家賃下落リスクのほかにも、住人が少ないために修繕積立金が集まらず、適正な時期に大規模修繕が行えなくなるなどの、大きなリスクが生まれる可能性が高くなります。その結果、棟全体の劣化も早まり、それを避けるためには残った住民で修繕費を按分する必要があり、想定よりも高額の修繕費積立金に変更される可能性もあります。
このように、例え超高額な金額で物件を購入したとしても、区分所有は、あくまでご自分の所有権の中でしか決定権がありませんので、万が一のことが起きたときにも、対処できるのはご自分の区分に関してだけになります。
土地活用などでアパート・マンションオーナーになった場合は、土地と建物一棟の所有権はオーナーにありますので、あらゆる決定はオーナー判断で適宜に行うことができます。不動産という価値が長く続くタイプの資産には、長い年月の間にさまざまな想定外のことが起きる前提でシミュレーションをしておけば、不動産を活用した節税方法としてはどれが適切なのかは自明の理だと言えます。
4-4.節税対策としてのアパマン経営は昔からある
節税対策としてのアパートマンション経営は昔からある不動産の活用方法です。長い年月をかけてその時の法に則って適度に洗練されてきており、また手法としても一般的です。
過去には不動産業界全体が高騰するバブル期などがありましたが、その時には路線価も高騰するため、販売価格と不動産評価額の間には大きな乖離が起きにくく、常に税の公平性が適切に保たれていました。
税務署もこのことはよく理解していますので、適切だと思われる範囲の中での節税行為であれば、納税に関する問題も起きにい、安全で確実な節税方法と言えます。
5.これからの節税対策で成功するための4原則
今後、不動産を利用した節税対策で成功したいのであれば、守るべき4つの原則があります。
5-1.所有するなら土地建物を所有する
仮に手元に節税をしたい現金10億があった場合には、同じ所有するのであれば、今後は土地建物が揃った状態で所有することも検討してみてください。例えば、土地活用をしてアパートやマンションを建てる、土地から購入してアパートやマンションを建てる、土地付きのアパートやマンションを一棟購入するなどです。
タワマン節税に比べると、ゼロからアパートやマンションを設計して建てる、またはアパート建物などを探す手間はかかりますが、個人が建てるような一般的なアパートマンションに対しては、今のところ法改正の動きは出ていませんので、今後も長期にわたって、従来通りの手堅い節税対策ができる可能性が高いと言えます。
ただし、アパートマンション経営は賃貸経営がうまくいかなかった場合は、せっかくの節税も無駄になってしまいます。アパートマンション経営をする前には、かならず不動産のプロフェッショナルである、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして、複数のプラン比較とアドバイスの比較をしておくことをおすすめします。
5-2.土地を使って土地活用をする
相続税の節税の場合は、財産を減らさずに次世代に継承していくことが課題となります。そのため、ご所有の土地がある場合はその土地を、まとまった現金がある場合は土地を購入し、土地を使った土地活用で節税を考えるようにしてください。
タワマンを含んだ区分所有のマンションは、資産価値を個人の努力で維持することが難しく、棟全体・地域全体の状況に、その建物の資産価値が大きく依存しています。これに反し、土地の場合は、その土地の最低限の価値は常に国が決めていますので、国が崩壊しない限り、土地の価値も崩壊しにくいと言えます。
例えば、過去の日本には不動産価格が高騰したバブル期から、不動産が塩漬けになったバブル崩壊後の空白期間など、さまざまな状況がありました。しかし、日本の土地は国土として国家が所有しており、地主は土地を割り当てられた見返りに租税を支払うという不動産の成り立ちがあるため、常に日本の状況と連動するという特徴があります。
日本が好景気になれば土地の価格も上がり、日本が低迷すれば土地の価格も下がります。しかし、土地の価格に路線価が付いている以上、よほどの特殊なケースを除いて、その価値が0円になることは起きにくい傾向にあります。
例えば、地震が起きて建物が崩壊しても、水害で家の中が水浸しになっても、近所の火事のもらい火で焼けても、土地の価値は大きくは変わりません。しかし、同じようなことがマンションで起きた場合には、マンション物件の価値も、棟の価値も大きく下がる可能性は高くなります。
そのため、資産をできるだけ恒久的に守り、なおかつ拡大できる可能性を最大限に伸ばすためには、できるだけ土地がある状態での不動産活用が適しているのです。
5-3.節税目的があるなら税理士に相談
現在のタワマン節税は過渡期の状態ですので、節税目的で不動産活用を含んだタワマン節税をお考えの場合には、自己判断をせずに、必ずプロフェッショナルに相談するようにしてください。
税のことは税理士に相談するのが一番ですが、その際には、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして、土地活用プランやアパート建築プランなどを持参して相談をすると、より具体的で適切なアドバイスがもらえる可能性が高くなります。
また、相続税の節税をする予定がある場合には、かなり前の段階で相談と方向づけを済ませておく必要があります。特に、土地活用によるアパートやマンション経営での節税を予定している場合には、最低でも3年以上は経営期間がある必要があります。
特にタワマン節税を視野に入れている場合には、「明らかな節税目的」ではないことを証明するために、最低でも5年間のタワマン在住または賃貸に出していたという事実が必要です。タワマンは購入すればすぐに節税ができるのではなく、一般の土地活用と同様に、税務署が認めてくれるだけの十分で適切な期間が必要になります。これらのタイミングに関しても、税理士に相談をしたうえで判断してください。
5-4.数多くの土地活用プランを比較する
節税を目的に土地活用をする場合には、まずはご所有の土地にどのような土地活用方法があるのかを確認しておく必要があります。また、今現在、現金をご所有で節税対策にお悩みの方も、土地活用の方法を理解しておくことで、最適な現金の節税方法が見えてきます。
その際には、1つのプランや会社に限定するのではなく、なるべく数多くのプランや会社を比較して、良いと思えるものを絞り込んでいく必要があります。
数多くのプランを請求する際には、NTTデータグループの「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができますので、たくさんの候補をじっくり比較することができます。気になるプランをいくつかに絞り込んだら、必ず現地調査を依頼し、実際の土地の状況や周辺エリア環境などを見てもらった上で、より具体的なプランを作ってもらえます。
現金で活用をする予定の方でも、どのような土地活用方法を選び、どんな資金計画で行くのが適切なのかを、プランを比較することで、イメージしやすくなります。また、節税を主とした目的にしている場合には、かならずチェック欄の「相続税対策」「節税対策」などにチェックをいれ、備考欄に詳細を書いておくと、各ハウスメーカーや建築会社の担当者がより適切な対応をしてくれます。
まとめ
今話題のタワマン節税について、節税方法と今後の流れなどをまとめました。2024年1月からの施行を前提に動いていますので、2023年内であれば現行通りのタワマン節税は可能です。ですが、ご所有の資産を確実に守るためには、他の節税方法として土地活用なども、並行して検討しておくことをおすすめします。
土地活用プランの比較には、NTTデータグループが運営する「HOME4U土地活用」の一括プラン請求をご活用いただき、たくさんのプラン候補を比較するところからスタートしてみてください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。