【2024年更新】アパート経営で使える補助金を紹介。申請の流れと注意点を解説
アパート経営は高額な初期費用が必要なだけでなく、経営を続けていくための経費もかかり続けます。そこで注目したいのがアパート経営で活用できる補助金の存在です。 今回はアパート経営で活用できる補助金を建築時、リフォーム時に分けて紹介します。
この記事を読むと、
- アパート経営では、建築時を中心に経営に利用できる補助金がある
- 自治体によってはアパート建築時に利用できる補助金がある
- アパート経営で補助金を上手に活用するにはハウスメーカー選びが重要
といったことがわかります。
また、アパート経営を始めるにあたって不安や悩みがある方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 土地活用」でプラン請求をしてみることをおすすめします。土地の条件や予算からどんな土地活用会社に依頼すればいいのかが複数社一括で比較できます。
この記事の内容
1.アパート経営開始時に使える補助金と税制優遇
本章ではアパート建築時に使える補助金と経営開始時に受けられる税制優遇について紹介します。
事業・税制優遇 | 概要 | 対象 | 補助金額の一例 |
---|---|---|---|
地域型住宅グリーン化事業 | ZEH、長寿命型などの普及促進を図る事業 | 共同住宅は長寿命型住宅新築が対象 | 1戸100万円 |
認定住宅等新築等特別税額控除 | 認定長期優良住宅を新築(取得)したときに、認定基準に適合するための費用の10%相当額を所得税額から控除する | 長期優良住宅として認定された住宅を新築した場合 | 居住年の所得税額から認定にかかる費用の10% |
子育て支援型共同住宅推進事業 | 子育て環境の整備にかかる費用の一部が補助される事業 | 子どもの安全・安心のための環境整備を施したアパートを新築した場合 | 整備に必要な費用の10分の1 |
LCCM住宅整備推進事業 | 脱炭素化住宅の普及推進を図る事業 | エネルギー消費を基準値から25%削減するなどLCCM住宅化した場合 | 設計費や補助対象工事費用の2分の1 |
1-1.【補助金】地域型住宅グリーン化事業
長寿命化、ゼロエネルギー化などを図る良質な木造住宅の新築を対象に建築費の一部を補助する事業です。国土交通省が中心となって行う補助事業で、補助対象は地域の中小工務店のグループ下で新築される長寿命化、省エネ性能に優れた木造住宅となっています。 アパートの場合、長寿命化住宅にすることによって補助対象となることがあります。
参考:『地域型住宅グリーン化事業』
1-2.【税制優遇】認定住宅等新築等特別税額控除
長期にわたり良好な状態を維持できると認定された長期優良住宅の新築にあたっては、認定を受けるためにかかった費用の10%を所得税額から控除することが可能です。
ただし、対象は新築した個人となっており、住宅の床面積の2分の1以上を自己の居住用として使用していることが要件に含まれます。自宅兼アパートで、自宅の床面積が50%以上とすることが控除を受けられる対象となります。
参考:『国税庁|No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)』
1-3.【補助金】子育て支援型共同住宅推進事業
子どもの安全・安心のための環境整備を施したアパートを新築した場合にその整備にかかる費用の一部が補助される事業です。居住者間の交流を生み出す施設に設置も補助対象となります。 安全確保に関する設備の設置には新築の場合10分の1の費用補助(上限100万円)、交流を促す施設の設置にも同様(上限500万円)に補助が受けられます。また、リフォームに対しての補助額はそれぞれ費用の3分の1です。
参考:『子育て支援型共同住宅推進事業』
1-4.【補助金】LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅とは、ZEHに比べても省二酸化炭素化を進めた先導的な脱炭素化住宅のことです。住宅建築の時の二酸化炭素排出量を抑え、運用時も含めて二酸化炭素の収支マイナスを実現します。 このLCCM住宅整備について、経済産業省・国土交通省・環境省は脱炭素化につながる整備の費用を一部補助しています。この事業について賃貸集合住宅の補助金交付実績はありませんが、大東建託がLCCM賃貸集合住宅を開発・建築しました。また、賃貸併用住宅の場合、助成の対象となる可能性があります。
参考:『LCCM住宅整備推進事業実施支援室』
2.アパート経営開始時に使える自治体の補助金
この章では、アパート建築時に使える自治体独自の補助金について一部を紹介します。自治体によって補助対象となる工事内容が異なり、補助金を受けるための要件が異なるため注意が必要です。 自治体独自の補助金を探すには、以下の方法があります。
- 自治体のホームページで補助金情報を調べる
- 施工会社へ補助金の有無を確認する
ハウスメーカーや建築会社は、その土地の制度や条例に熟知しており、補助金についても情報を持っています。プラン策定の前に補助金について確認することで要件に合ったプランニングに進みやすくなります。
2-1.【東京都】不燃化推進特定整備事業補助金
不燃化特区とは、都内の木造住宅が密集する地域のうち、重点的に改善を図る地区として指定されているエリアです。不燃化特区内の建て替え、住宅の除却に関する費用の一部が助成されます。 令和5年度から建て替えにかかる新築工事費にも助成が行われるよう、支援範囲が広がりました。補助金利用に加えて、建て替え後の土地の固定資産税等の減免があるなど、要件を満たしていればメリットの大きい補助金事業です。
参考:『東京都都市整備局|不燃化特区の制度』
2-2.【宮城県女川町】民間賃貸住宅新築支援金
女川町での居住希望者の住居確保を図る目的の補助金事業です。民間経営のアパートなどに対し、支援金を交付します。アパートが該当する「長屋または共同住宅」では建築費の20%が支援金額です。 要件は、アパートの場合4戸以上の規模であること、1住戸につき1台以上の駐車スペースを設けること、などがあります。また、各戸に玄関、トイレ、浴室、台所を有することが条件であるため、寮やシェアハウスは対象となりません。
参考:『女川町|民間賃貸住宅新築支援金』
2-3.【埼玉県さいたま市】耐震補強等助成事業
さいたま市が地震災害に強いまちづくりを推進する一環として耐震補強や建て替え等に対して助成を行う事業です。 助成を受けるには旧耐震建築物であり、耐震判断を受けた結果基準に該当する、といった要件があります。建て替えでは上記に加えて、建て替え後の建物がエネルギー消費性能の向上に関する法律に規定する建築物エネルギー消費性能基準に適合する要件も加わります。
参考:『さいたま市|【令和5年度】耐震補強等助成事業』
2-4.【千葉県木更津市】木更津市街なか居住マンション建設補助事業
市街地の環境整備の改善と良好な市街地住宅の供給による定住を促進するために実施する事業。都市計画法に基づく商業地域にあり、2人以上が敷地の所有権を持ち、建築する建物が3階以上であることなどの要件があります。 複合施設の中に住戸を設けるケースを想定しています。ただし、建物の延べ床面積に対して2分の1以上が住宅とすることなどが要件に含まれます。 補助対象となるのは、地盤調査費、設計費、建物除却にかかる費用、共同施設整備費などです。
参考:『千葉県木更津市|木更津市街なか居住マンション建設補助事業』
2-5.【大阪府大阪市】建替建設費補助制度
古いアパートや長屋の建て替えに活用できる補助金制度です。大阪市が指定する密集住宅市街地での建て替えが対象で、設計費、解体費、共同施設整備費の一部が補助の対象となっています。 建て替え前の建築物は旧耐震基準で建てたものであることが要件です。また、建て替え後は敷地面積が100平米以上であること、200平米を超える敷地の場合は3階建て以上であることなどが含まれます。 補助率は設計費、解体費、共同施設整備費それぞれで3分の2以内となっています。(限度額あり)
参考:『大阪市|建替建設費補助制度(集合住宅への建替え)』
3.アパート経営時のリフォームで使える補助金
アパート経営では10~15年ごとに大規模修繕が必要です。国や自治体のアパートが対象となる補助金制度はリフォームに対する制度が充実しています。この章では、アパートのリフォームや設備導入で利用できる補助金を紹介します。
3-1.長期優良住宅課リフォーム推進事業
アパートの長寿命化や省エネ設備の導入などにかかるリフォーム費用や子育て世帯向け改修に対して補助する事業です。 補助金制度を利用するには現況調査の実施が必要になります。また、リフォーム後に一定の性能基準を満たすことも必要です。例えば、躯体の劣化対策、省エネにつながる窓や壁などの断熱化、可変性の確保などを図るリフォームが対象となります。 補助金額は補助対象となるリフォームの費用の3分の1で、限度額は100万~200万円です。
参考:『長期優良住宅課リフォーム推進事業』
3-2.セーフティネット登録住宅の改修費支援
住宅確保用配慮者専用賃貸住宅とは、住宅セーフティネット制度に基づいて住宅確保に配慮が必要な入居希望者向けに登録された住宅のことです。住宅セーフティネット制度の創設に合わせ、登録住居を対象にした改修費支援事業が始まりました。 補助対象となる工事は、バリアフリー改修工事、耐震改修工事、間取り変更工事、子育て世帯対応改修工事など多岐にわたります。補助金額は改修工事費の3分の1以内、対象戸数に50万円を乗じた額です。エレベーター設置など例外もあります。
参考:『住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業』
3-3.自治体のリフォーム補助金事業
アパートのリフォームに活用できる補助金制度は、自治体単位でも多くの事業が展開されています。対象となるリフォーム工事に違いがあるものの、省エネ化工事、バリアフリー化改修工事、耐震補強工事などが中心です。一例を紹介します。
自治体 | 事業 |
---|---|
北海道札幌市 | 住宅エコリフォーム補助制度 |
東京都 | 貸主応援事業(補助金) |
神奈川県 | 共同住宅用自家消費型太陽光発電等導入費補助金 |
愛知県名古屋市 | 非木造住宅耐震改修助成 |
福岡県福岡市 | 住宅の耐震改修工事費補助事業 |
東京都の「貸主応援事業(補助金)」は耐震補強やバリアフリー化、見守り機器設置など、各種補助メニューから貸主(アパートオーナー)が必要に応じて自由に選択できる補助金制度です
4.アパート経営に「事業再構築補助金」は利用できる?
事業再構築補助金とは、コロナ禍をへて変化した経済社会に対応するために行われる中小企業の事業再構築を支援する補助金事業です。幅広い事業での活用が想定できる補助金制度ですが、賃貸住宅経営における新築工事費や改修工事費に関しては対象外となると考えられます。 要綱には「不動産賃貸(寮を含む)、駐車場経営、暗号資産のマイニング等実質的な労働を伴わない事業又は専ら資産運用的性格の強い事業」は「不採択又は交付取消」となるとあります。アパート経営はこれに該当するため、事業再構築補助金は利用できないと考えておいたほうがよいでしょう。
参考:『事業再構築補助金』
5.アパート経営での補助金申請の流れ
国や自治体の補助金利用は、しっかりと流れをつかんでおかないと、最悪補助金申請ができない事態に陥ります。補助金事業によって申請から交付までの流れはさまざまですが、一般的な手順は以下の通りです。 補助金申請には受付期間があります。この期間を逃すと補助対象の工事を行っても補助金申請が受理されず利用できなくなるので注意が必要です。
6.アパート経営での補助金利用の注意点
アパート経営で補助金を活用するには、要件を満たすように計画をする、期間を確認しておくなどの注意が必要なポイントがあります。以下まとめました。
6-1.申請のタイミングがそれぞれ
国や自治体が実施する補助金制度の場合、多くで前年度末に事業内容が決定し、新しい年度に詳しい内容が発表され、申請受付が始まります。補助金事業によっては1期、2期に分けて受付をするものもあります。 また、申請をするタイミングが、計画段階での申請しか受け付けない補助金もあれば、すでに竣工した建物も対象としている補助金もあります。申請のタイミングを逃すと補助金が受けられなくなるため、事前に確認しておくと安心です。
6-2.申請には要件を満たした設計が必要
多くの補助金申請では、どのような建物を建てるかが分かる具体的な設計図面の提出が求められます。記載についても決まりがあるため、詳しくは施工会社もしくは設計会社に確認してもらう必要が出てくるでしょう。 その設計図面をもとに審査し、補助金対象の要件をすべて満たしているかが確認されます。住宅確保の目的での補助金であっても省エネ性能に基準を設けているパターンや耐震性、耐火性について数値の提出を求めるパターンもあります。 補助金要綱に詳しく書かれているので、設計を担当する会社とともに確認するとよいでしょう。
6-3.補助金事業が終了していることがある
補助金事業はほとんどが予算の上限に達した段階で締め切りとなり、事業年度中でも終わってしまいます。申し込みをする予定で設計などを詰めている間にも上限に達した時点で受付してもらえなくなるケースもあるため、動向を確認しておくことをおすすめします。 人気の補助金事業を利用する場合は、補助金申請のタイミングに合わせて工事計画を進めることも必要です。
7.補助金利用でアパート経営するならパートナー選びが大切
補助金利用を検討する際、要件を満たす設計であることが必須です。また、次年度になると同じ補助金事業が行われないことがあるなど、最新の情報を把握していることも重要になってきます。 補助金を利用してアパート経営をするなら、補助金情報に詳しいハウスメーカーを選ぶと安心です。利用可能な補助金を教えてもらえるだけでなく、設計も要件に合わせたものを提案してもらえます。 しかし、要件を合わせたプランであってもハウスメーカーによって内容は全く異なるものです。施工会社を選ぶ際は複数社からプランを取り寄せて比較検討するとよいでしょう。 複数のプラン請求には一括プラン請求サービスの利用が便利です。「HOME4U 土地活用」は大手ハウスメーカー、信頼できる地元密着型の建築会社が多く参画しています。ぜひ、補助金活用の相談と合わせてご利用ください。
- 地域型住宅グリーン化事業
- 子育て支援型共同住宅推進事業
- LCCM住宅整備推進事業
そのほか自治体で独自に行う補助金事業もあります。詳しくは「アパート経営開始時に使える補助金と税制優遇」と「アパート経営開始時に使える自治体の補助金」をご一読ください。
- 申請のタイミングがそれぞれ違う
- 申請には要件を満たした設計が必要
- 補助金事業が終了していることがある
詳しくは「アパート経営でのお補助金利用の注意点」で解説しています。
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