設計施行分離方式とは?それぞれの方式のメリット・デメリットを一括比較
設計施工分離方式とは、建物を建てるときに、設計者と施工者が別の会社になる建築方法のことです。主に建築業界内で使わますが、意味が分かっていると、土地活用プランを選ぶときの参考になります。
ほかには、設計施工一貫方式という方法があり、こちらは設計と施工を1つの会社がすべて請け負う、コストダウンのしやすい建築方法です。本記事では、2つの違いをわかりやすく説明しています。
この記事の内容
1.設計施工分離方式とは
「設計・施工分離方式」とは、設計事務所と工事施工会社とを別々に契約する、建築の注文方法のことです。設計と施工を違う会社にお願いするため、設計事務所ではオーナーの意向を反映した細かな設計作図をしやすくなり、現場では設計図を正確に理解した職人による、手際の良い工事をしやすくなります。
設計者が工事内容の品質管理を行うため、基本的に設計図にないことが起きにくくなります。建築に関わる全員が、それぞれの立場で、設計図に沿って結果を出すことで、建物の品質が向上します。
設計施工が分離していないタイプの注文方法は、「設計・施工一貫方式」といい、1つの会社で設計も施工も請け負う注文方法です。どちらも建築業界用語ですので、詳しく覚える必要はありません。
しかし、違いが分かっていれば、建築プランを絞り込んでいくときに、優先順位をつけやすくなります。2つの方式の細かな比較は次章にまとめてあります。
2.設計施工方式の違いによるメリット・デメリット比較
本章では、設計・施工方式の違いによる、メリット・デメリットを比較しています。各方式の施工の流れを参考にしながら、どのような理由でメリットとデメリットが発生するのかを、ご確認ください。
特徴 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
1.設計施工分離 | 設計事務所と工事施工会社を別々に契約する | 手抜き工事が少ない。オーナーの意向を反映しやすい | 完成までの工期とコストが予測しづらく割高感がある |
2.設計施工一貫 | 建設会社1社で設計施工をすべて管理する | 相談~完成までワンストップ。工期短縮・コスト削減 | 契約した建築会社によってデザインや品質が変わる |
2-1.施工設計分離方式で建築した場合のかんたんな流れ
設計と施工が分離している方法でオーダーをする場合、オーナーは国家資格を持った建築士の在籍する設計事務所(建築事務所)に建築プラン・設計依頼をします。建築士が設計をする際には、予算・材質・構造・デザインや間取りなど、オーナーの希望を丁寧に聞き取り、プランを作っていきます。
最初に提案されるプランは、オーナーの希望が全て盛り込まれた状態になることが多く、ほとんどのケースで予算を大きくオーバーします。ここから、オーナーと建築士とが両者の立場から「できること・できないこと」を振り分けながら、予算に応じてプラン内容をそぎ落としていきます。
ある程度のところで落ち着いたら、建築士は工事で実現できるように、プランを設計図に起こしたものを作り、それをオーナーが施工会社に建築依頼します。施工会社は、設計図通りに施工をします。設計事務所は、施工管理を受け持っているので、建物の品質管理や進行管理を担当します。
このような流れがあるため、設計施工分離方式は基本的に時間がかかります。特に、最初のプラン作成が設計図にまで落とし込まれるためには、オーナーがプラン内容に納得してGOを出す必要があります。長い時間をかけても納得がいかない場合には、再び設計事務所を探してゼロからのやり直しになるケースもあります。
次に、建築士が作った設計図面を現実の建物にするためには、施工会社側に、設計内容を正確に理解して、工事ができるレベルの職人がそろっている必要があります。経験値の高い職人を確保するには、施工会社側にも力量が必要になりますので、工事進行が資材・人材確保の面から、予定通りには進まない可能性があります。
品質管理と進行管理は、設計事務所が行っていますので、設計図面通りになっているかを適宜チェックし、必要な場合は部分または全部が再工事になることもあります。
このように、設計施工分離は、オーナー・設計者・工事者の3者がお互いに、独立した立場で工事が進行していきますので、3者が品質の良い建物を建てるという1つの目的に向かって進みやすくなります。その反面、スタートからあらゆるシーンが機械的に進むことはなく、結果的に、時間がかかりコスト高になる傾向があります。
2-2.施工設計一貫方式で建築した場合のかんたんな流れ
設計施工一貫方式は、1つの会社が設計プランから工事までをすべて請け負う方式です。大手ハウスメーカーや建築会社は、ほとんどがこの方式をとっています。品質管理と施工管理もすべて1社で行いますので、人材・建材・スケジュール管理もしやすくなります。
フローを見るとよくわかりますが、関係性がオーナーと建築会社しかなく、第三者的な立場で、オーナーの代わりにプロとしての意見や提案をしてくれる存在がいません。その結果、実際に良いプランができるか、品質の良い建物が建つのかは、ハウスメーカーや建築会社の経験や実績、会社としての誠実さに頼ることになります。そのため、ハウスメーカーや建築会社選びが、アパート建築の良しあしに大きな影響を与えると言えます。
大手ハウスメーカーや建設会社は、戸建・マンション・アパートの建築実績が多いため、設計施工一貫方式を採用するのであれば、大手企業の中から選ぶのが良いと言えます。ただし、建築プランは各社の個性や得意とする建築技法を使いますので、なるべく数多くの会社を比較して、ご自分の希望するデザインや建築スタイルの中から、より良い一社を選びだす必要があります。
大手ハウスメーカーを比較するときには、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。一度の入力で最大10社にまでプラン請求一度にでき、大変に便利です。気になるプランが見つかったら、無料の現地調査に来てもらうことで、より具体的なプランに落とし込むことができます。
3.建築でコストを抑えるなら「設計施工一貫方式」である5大理由
はじめての土地活用で、設計施工分離か、設計施工一貫のどちらかを選ぶのであれば、相談から竣工まででのスケジュール管理がしやすく、さらにコストダウンが可能な設計施工一貫方式の方が、スムーズに進みやすいと言えます。本章では、なぜ、設計施工一貫方式の方が、土地活用向きなのかを解説します。
1.プラン選びの段階からコスト管理ができる
2.工期短縮が可能でコストダウンしやすい 3.アパート建物の品質向上を追求しやすい 4.オーナーの意向が反映されやすい 5.経営開始後のことまでシミュレーションできる |
3-1.プラン選びの段階からコスト管理ができる
設計施工一貫方式でアパートを建てる場合、大手ハウスメーカーや建築会社に依頼することになります。多くのケースで、はじめは不動産情報サイトを利用して、建築プランを取り寄せます。
たとえば、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」であれば、一回の入力で、日本全国で設計施工一貫方式を採用している、信頼と実績のある大手ハウスメーカー・建築会社に、最大10社にまでプラン請求ができます。
たくさんの建築プランには、間取りや外観デザイン以外にも、プロの調査したエリアデータや施工実績をベースにした、総工費・日程・想定家賃・利回り・返済シミュレーションなどが細かく記載されています。この時点で、あらゆるコストを一律に比較できるので、土地活用の早い段階から費用概算がわかり、合理的にコスト管理を進められます。
さらに、現地調査をしてもらい、担当者に細かな相談をしながら、コストダウンできる建材や設備を比較検討し、ハウスメーカーや建築会社の担当者たちと一緒に、プロの意見を参考にしながら、スリム化した建築プランを作り上げていくことができます。
3-2.工期短縮が可能でコストダウンしやすい
設計施工一貫方式は、契約をした1社がすべての工事の工程を引き受けます。設計施工分離方式のように、オーナーが施工会社を自分で探す必要がありませんので、プランと日程 が決まれば、すぐに工事に取り掛かれるのが特徴です。
工期が最低限で済むように最初から綿密な計画を立てられる上に、設計者と施工者が同じ社内にいるため、工事に関したコミュニケーションがスムーズに進み、全体のスケジュールをさらに短縮 することも可能です。
工期が短縮できると、その分コストを抑えることができますので、建物の品質を維持しながら、総工費を下げられる可能性が高くなります。
3-3.アパート建物の品質向上を追求しやすい
1つの会社内で設計担当と施工担当が緊密に連携をしているため、改善点を共有しやすく、自社の特徴となる工法や構造などが活きる、改善策を追求しやすくなります。同じ社内の人間同士ですので、自社ブランドとしての共通ゴールが明確なため、アパート建物の品質向上への合意も早く、質の良い建物になりやすいと言えます。
また、大手企業は自社に必要な建材を十分に確保できる資金力があり、さらに着工件数が安定していることから、年間を通じて経験豊富な職人を確保しやすいため、常に一定のブランド品質をクリアした建物を提供できるという特徴があります。
3-4.オーナーの意向が反映されやすい
プラン請求を受けた段階から、1社で1担当者がすべての工程を把握していくため、オーナー・担当者・現場責任者・工事施工者間の意思伝達がスムーズです。
特に、大手ハウスメーカーや建築会社は、建築実績が多く、さらに、経営開始後の不動産管理なども含めた、総合的なデータがそろっているので、オーナーが土地活用として求めているゴールや、希望する経営スタイルなどを含め、オーナーの希望を現実のものにしやすい体制と環境が整っています。
3-5.経営開始後のことまでシミュレーションできる
設計施工一貫方式を採用している大手ハウスメーカーや建築会社は、同じ企業内で不動産管理会社(入居者募集や賃貸管理をする会社)も運営していることが多いため、アパート経営開始後のことも含めた相談に対しても、データに戻づいた的確な回答ができます。
プラン請求の時点で、経営開始後にかかるコスト、5年後10年後に発生するコストなども見越し、土地からの利益を最大化しやすいプラン提案をしてくれます。
4.アパート建築をするなら知っておくべき3つのこと
土地活用として、アパート建築をお考えの方向けに、あらかじめ知っておくとよい3つのことをまとめています。
1.ご所有の土地にあった活用方法を選ぶ
2.設計施工一貫方式は大手ハウスメーカーが得意な建築方式 3.たくさんの建築プランを比較検討する |
4-1.ご所有の土地にあった活用方法を選ぶ
土地活用というと、多くの方はアパート経営をイメージしますが、実は、土地活用にはたくさんの選択肢があります。土地活用で一番大切なのは、ご所有の土地でニーズのある活用方法を選ぶことです。
たとえば、ご所有の土地のあるエリアで単身者向け住居の需要が多ければ、ワンルームの賃貸物件を用意すれば、土地活用はスムーズになります。
どのようなニーズがあるのかは、ご自分で調べるよりも、土地活用と不動産経営のプロである、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして調べてもらう方が、より正確で時流に沿った提案をしてもらえます。最初の段階では、アパート建築以外にも土地活用方法を広く見てみるようにしてください。
【参照:土地活用ランキングベスト10!注目度が高いのはどれ?】
4-2.設計施工一貫方式が得意な大手ハウスメーカーを選ぶ
設計施工一貫方式が得意な会社とは、大手のハウスメーカーや建設会社のことです。大手企業には、工法ごとに、一貫方式で効率よく建築するための完成したノウハウがあります。工法とは、例えば、木造の在来工法、鉄骨を使った2×4(ツーバイフォー工法)、鉄筋コンクリート造などのことです。
それぞれの工法には、自社ブランドとして莫大な研究開発資金を投下した、自信のある建築技術や性能を、多くのお客様に提供してきた経験と実績がありますので、どの会社を選んでも、納得のいく仕上がりが期待できます。
また、大手ハウスメーカーや建築会社は建物の品質保証やアフターサービスも充実しており、長期間の建物のメンテナンスや賃貸管理などに関しても、安心して任せることができます。
4-3.たくさんの建築プランを比較検討する
大手のハウスメーカーや建設会社が、設計施工一括管理が得意だとわかっても、少ない候補の中でパッと決めるのではなく、かならず、たくさんの候補の中から、絞り込んで選ぶようにしてください。
ハウスメーカーや建築会社には、その会社の特徴となるような技術や設備があります。オーナーが希望する建物と相性の良い工法や技術が必要ですので、複数の建築プランを比較して、その中から、じっくりと選び出す必要があります。
コスト面、工期の短さなどから総合的に見て、はじめての土地活用では、設計施工一貫方式が依頼できる、大手ハウスメーカーがベストチョイスになります。大手ハウスメーカーや建築会社の比較には、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」がお役に立ちます。
1度の入力で、最大10社にまで一度にプラン請求ができますので、たくさんの候補の中から、少しずつ絞り込んでいくことができます。はじめての土地活用で「どんなアパートにすればいいのかわからない」という場合でも、たくさんのプランを比較する中で、これなら良さそうだと思えるプランがかならず見つかります。
まとめ
建築方法、建築の依頼方法として、設計施工分離方式と、設計施工一貫方式をまとめてふたつ、説明しました。大手ハウスメーカーや建築会社は「設計施工一貫方式」を採用していますので、それ以外の方法が、分離方式だと覚えておくと、わかりやすいかと思います。
はじめての土地活用や、コストを抑えた土地活用を希望する方は、設計施工一貫方式が適しています。大手ハウスメーカーや建築会社のプラン請求は「HOME4U 土地活用」で出来ますので、ご活用ください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。