ワンルーム条例とは?賃貸マンション建築を成功させるコツを伝授!
せっかく賃貸マンションに適した土地を持っていても、ワンルーム条例が障害となって高収益の土地活用がしにくくなることがあります。
ワンルーム条例とは暗にワンルームの建築を制限する条例であるため、自治体によってはワンルームマンションの建築が非常に困難な場合もあるでしょう。
地域限定のルールで一般的に知られていない規制なので、いざ土地活用を検討した段階ではじめて存在を知る方も多いものと思われます。
そこでこの記事では、「土地活用で賃貸マンションを建築しようかな…」と検討している方に向けて、
- ワンルーム条例の概要
- 主な規制内容
- 賃貸マンション建築を成功させるための3つのコツ
について解説します。
ぜひ最後までおつきあいいただき、マンション経営で高収益を上げるための礎としてください。
なお、「所有している土地にマンションを建てることができるのか」また「マンションを建設するとしたらいくらかかるのか」を詳しく知りたいときは、「HOME4U 土地活用」で複数の企業の提案を受けてみることをおススメします。
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1.ワンルーム条例とは?
まずは「ワンルーム条例」の概要を解説します。
ワンルーム条例とは、各市区町村とは建築基準法とは別に独自で定めた賃貸マンションの建築制限のことです。
人口の集中している都市部に多く、東京23区や全国の一部の政令指定都市等に存在します。
規制内容も市区町村によって差異があり、特に東京23区内のワンルーム条例は厳しいです。
東京23区は全国から若い世代が多く集まっていることから、放っておくとワンルームマンションだらけとなってしまいます。
街がワンルームマンションだらけにならないように、ワンルームを建てにくくしているのがワンルーム条例なのです。
多くのワンルーム条例は、建築を明確に規制しているわけではなく、様々な負荷をかけることによって賃貸マンションの収益性を圧迫させ、建築する人が増えないようにする仕組みとなっています。
決して「ワンルームを建てさせない条例」というわけではなく、「建てにくくさせている条例」という点が特徴です。
2.ワンルーム条例の主な規制内容
では、具体的な規制内容にはどのようなものがあるのでしょうか?
本章では、ワンルーム条例の主な5つの規制内容を紹介していきます。
- 最低住戸面積
- ファミリー住戸の設置
- 管理人の設置
- 駐車場台数の確保
- その他の規制
それではひとつずつ見ていきましょう。
2-1.最低住戸面積
多くのワンルーム条例では、最低住戸面積が定められていることが一般的です。
最低住戸面積とは、ワンルームの1戸につき最低限確保しなければならない面積になります。
住居系の賃貸物件は、面積を小さくすると賃料単価を上げることができるという点が特徴です。
そのため、理論的には1戸あたりの面積を小さくすれば収益性の高い賃貸経営を行うことができます。
ワンルーム条例は、できるだけワンルームを建たせないための条例であることから、最低住戸面積を設け、収益性を高めることに歯止めをかけています。
東京23区では、多くの区で最低住戸面積を25平米で定めています。
一方で、一部の政令指定都市では最低住戸面積は16平米や18平米としている自治体が多いです。
東京23区内でも最低住戸面積は若干異なります。
都内の多くの区の最低住戸面積は25平米ですが、渋谷区では28平米です。
例えば、都内でも単身者向けのワンルームの家賃は月10万円が一つの目安とされています。
10万円を超えると若いサラリーマンにとっては厳しため、自然と10万円前後が一つのボリュームゾーンとなっています。
25平米で月10万円だと、1平米あたりの賃料単価は4,000円です。
それに対して、28平米で月10万円だと、1平米あたりの賃料単価は約3,571円となってしまいます。
渋谷区は若者に非常に人気の高い住宅地ですが、先述の通り他の区よりも最低住戸面積が広いため、ワンルームを建てにくくなっています。
2-2.ファミリー住戸の設置
東京23区のワンルーム条例では、ファミリー住戸の設置義務があることが最大の特徴です。
ファミリー層は、一般的に借りるよりも買うことを選択するため、単身者よりも賃貸需要が弱くなります。
また、ファミリー住戸は1戸あたりの賃貸面積が広いことから、家賃の総額も高額になりがちです。
そこで、家賃総額を抑えるためにファミリータイプでは賃料単価を下げることが一般的となっています。
賃料単価の低いファミリータイプが増えると収益性が落ちるため、賃貸マンションが建てにくくなります。
ファミリー住戸の設置戸数については、区によって定め方が色々あります。
基本的には戸数が多い物件ほど、ファミリー住戸の設置義務戸数が増える形となっており、大きな賃貸マンションを建てると収益性が落ちる仕組みの規制が多いです。
例えば、荒川区と葛飾区のファミリー住戸の設置義務は以下のように定められています。
【荒川区のファミリー住戸の規制】
- 15戸以上30戸未満の場合は、総戸数の3分の1以上を 50平米以上とする
- 30戸以上の場合は、総戸数の2分の1以上を 50平米以上とする
【葛飾区のファミリー住戸の規制】
- 15戸以上29戸以下の場合は、「(住戸数-15戸)×50%以上」を55平米以上とする
- 30戸以上の場合は、上記かつ20%以上を75平米以上とする
荒川区も葛飾区も最低住戸面積は25平米です。
荒川区で21戸の賃貸マンションを建てると、3分の1以上を 50平米以上としなければならないため、7戸は50平米となります。
一方で、葛飾区で21戸の賃貸マンションを建てると、「(21戸-15戸)×50%=3戸」を50平米以上としなければならないため、50平米は3戸だけで足ります。
21戸の賃貸マンションであれば、葛飾区の方が25平米の部屋を多く建てられるということです。
そのため、もし同じ賃料、同じ建築費と仮定したら、21戸の賃貸マンションなら葛飾区の方が収益性は高くなります。
2-3.管理人の設置
ワンルーム条例では、管理人の設置を義務付けている自治体もあります。
基本的には戸数が多い物件ほど、管理人の配置義務が厳しくなり、大きな賃貸マンションを建てると収益性が落ちる仕組みの規制が多いです。
管理人は人件費が発生することから、管理人の設置が義務付けられると賃貸経営の収益性が大きく下がる要因となります。
例えば、東京港区の管理人の配置義務は以下の通りです。
【港区の管理人の配置義務】
- 総戸数が30戸以上の場合:ごみ収集日を含む週5日以上、日中8時間以上の駐在
- 総戸数が30戸未満の場合:ごみ収集日を含む週5日以上、日中4時間以上の駐在
港区では、管理人の駐在時間まで決められています。
総戸数が30戸以上の場合、日中8時間以上駐在する管理人を週5日以上雇わなければなりません。
29戸までなら日中4時間以上駐在する管理人を週5日以上で雇えば良いですが、30戸になった途端、人件費が2倍に膨らむ形です。
管理人は、区によっては駐在まで求められておらず、一定戸数以下であれば定期巡回だけでも良いとしている区もあります。
2-4.駐車場台数の確保
ワンルーム条例では、駐車場台数の確保を定めている条例も多いです。
敷地が狭い場合、駐車場の附置義務台数が多くなると、敷地内に平置きの駐車場を設けることができません。
そのため、狭い敷地で無理矢理駐車場を確保しようとすると、建物内に機械式駐車場を設けることになります。
機械式駐車場の建築費用はコストアップ要因となり、賃貸マンションの収益性が落ちる要因の一つです。
例えば、世田谷区のワンルーム条例による駐車場の規制は以下のようになっています。
【世田谷区の駐車場規制】
- 40平米未満の戸数に対して戸数の1/10以上
- 40平米以上の戸数に対して3/10以上
2-5.その他の規制
その他、ワンルーム条例では自治体によって以下のような規制を加えているところもあります。
- 一定面積の緑地の確保
- 壁面後退距離
- 集会室または多目的室の設置
- バリアフリー仕様
- 防災備蓄倉庫の設置
いずれも設計プランに負荷をかける内容であり、賃貸面積の減少や建築費の増加につながる規制が多いです。
~ワンルーム条例の存在は土地持ちの人にとってはメリット~
ワンルーム条例は、ワンルームマンションを建てにくくしている条例であることから、不動産ディベロッパーの大きな参入障壁になっています。
不動産ディベロッパーが土地を購入して賃貸マンションを建てようとすると、ワンルーム条例によって収益性の低い賃貸マンションしか建てられず、ワンルームの建築を断念しているケースがほとんどです。
厳しいワンルーム条例がある自治体は、元々土地を持っているような人しか投資採算性が合わないため、外部から土地を購入して賃貸マンションを建てようとする人は少なくなっています。
新規の供給は少ない形となっており、元々土地を持っているような人にとっては競合物件が現れにくいという状況です。
よって、都内でマンション適地を元々持っている人にとっては、ワンルーム条例があることで逆に安心して賃貸マンションが建てられるともいえます。
3. 賃貸マンション建築を成功させるための3つのコツ
ワンルーム条例の概要をご理解いただいたところで、次に「実際に賃貸マンションを建てる場合、成功させるにはどうしたら良いのか」についてお話ししていきましょう。
成功のコツは、以下の3つです。
- 建てる前に複数の建築プランを比較する
- ファミリータイプの間取りは上層階に配置する
- 小規模なマンションは条例を回避するサイズも検討してみる
それではひとつずつ見ていきましょう。
3-1.建てる前に複数のハウスメーカーの建築プランを比較する
ワンルーム条例がある自治体では、複数のハウスメーカーの建築プランを比較することがとても重要となります
厳しい条例がある自治台においては、どのように条例の影響を最小化していくかで賃貸マンションの収益性が異なるからです。
それぞれのハウスメーカーの一級建築士が知恵を絞って提案してくる建築プランをじっくり比較することで、どの提案が最も収益性が高いのか見えてきます。
また、条件によっては無理にワンルームを建てない方が良い場合もあります。
都内で賃貸マンションが建てられる規模の土地であれば、ビジネスホテルやオフィスビルを建てることも可能です。
大手のハウスメーカーであれば、ワンルーム以外の土地活用の提案にも対応しているため、複数社から提案を受けることは収益の最大化に繋がる重要なステップとなります。
そうはいってもどの企業が賃貸マンション建築に長けているのか、一般の方だと判断が難しいこともあるでしょう。
そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」です。
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各社には極めて優秀な一級建築士が在籍しており、無料で彼らの提案を受けることができるのはかなり価値があるといえます。
ぜひ「HOME4U 土地活用」を上手に活用し、様々なハウスメーカーの提案をじっくり比べ、収益を最大化できるプランを見逃さないようにしてください。
3-2.ファミリータイプの間取りは上層階に配置する
23区のワンルーム条例では、一定数のファミリータイプの設置が義務付けられていることが多くなっています。
ファミリータイプの義務付けがある場合、ファミリータイプは上層階に配置することが基本です。
つまり、下層階から中層階までをワンルームとし、上層階はファミリータイプとします。
理由としては、ファミリータイプは賃貸需要が弱く、貸しにくいためです。
一般的に賃貸マンションはセキュリティや眺望が劣るという理由で1~2階の下層階は貸しにくくなります。
ただでさえ貸しにくいファミリータイプを1~2階に配置してしまうことは、空室率を高める原因です。
上層階に配置すれば、眺望が良く、セキュリティも高い住戸となるため、ファミリータイプでも貸しやすくなります。
また、単身者向けのワンルームは、賃貸需要が強いため、1~2階であっても入居者を確保することが可能です。
ファミリータイプをどこに配置するかが竣工後の収益性を決定しますので、図面の提案を受けたら必ずファミリータイプがどこに配置されているかを確認してください。
3-3.小規模なマンションは条例を回避するサイズも検討してみる
小規模なマンションは条例を回避するサイズも検討してみるのも一つです。
一般的に、土地活用ではその土地の容積率を全て消化しきることで収益を最大化できます。
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。
ワンルーム条例の特徴としては、一定規模以上の賃貸マンションになると、ファミリータイプや管理人の設置を求められるようになります。
規模を大きくすればするほど、収益性を下げる規制が付加されていくというのが多くのワンルーム条例の仕組みです。
よって、規模の小さい敷地で賃貸マンションを建てる場合、容積率を最大限に消化するのではなく、あえて容積率を余らせた状態でワンルーム条例を回避した方が投資効率の高い賃貸マンションを建てることができます。
例えば大田区では15戸以上、世田谷区では12戸以上になるとワンルーム条例の規制にかかります。
大田区で14戸以下の賃貸マンションを建てれば、例えば1戸あたり16平米の部屋にして賃料単価をアップさせるようなことも可能です。
小さな土地であれば、あえて規模を小さくしてワンルーム条例を回避した方が、投資効率が上がります。
必ずしも容積率を最大限消化することがベストプランではないので、小さな土地ならあえて規模を抑えたプランも検討してみることをおススメします。
まとめ
いかがでしたか。
「ワンルーム条例」について解説してきました。
ワンルーム条例は、特定の都市部にワンルームが増え過ぎないように暗に建築を規制する条例です。
賃貸マンションを建てる際には、ワンルーム条例の影響を最小限にとどめるアイデアが必要なため、必ず複数のハウスメーカーから建築プランの提示を受け、収益を最大化できる提案を採用するようにしてください。
ぜひ「HOME4U 土地活用」を上手に活用し、賃貸マンション建築に精通した優良ハウスメーカーのアイデアをあますところなく取り入れ、マンション経営成功への第一歩を踏み出していただければと思います。
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