自宅や賃貸に出している不動産を所有している場合、「空き家リスク」に注意が必要です。
空き家リスクとは、不動産に誰も住まない「空き家」となって、放置されてしまうことです。昨今は、こうした空き家が増えて、「空き家問題」として社会に取り上げられるようになっています。
もし、所有している不動産が空き家になってしまうとさまざまな問題が発生して、子どもたちなど相続人に迷惑をかけてしまうおそれが出てきてしまいます。
今回は、空き家問題の概要と、今所有している不動産を空き家にしないための対処方法をご紹介します。
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1.「空き家問題」が社会問題となっている現状とは
そもそも、空き家問題とはどのようなことなのでしょうか?
建物を空き家になってしまい放置することによって、老朽化し倒壊する危険が生じます。また、管理する人がいないことを理由に、犯罪や放火などのリスクが高まります。現在、全国でこのような空き家が増えており、「空き家問題」と呼ばれ社会問題にもなっております。
日本では、少子高齢化が進んでおり、人口は減少しております。都市部には人が集中する傾向がありますが、地方では過疎化が進み、高齢になった方が自宅の管理を適切にできなくなるケースも多く見られます。
地方の高齢者が死亡したとき、子どもたちは相続した田舎の不動産に関心がなく、放置してしまうパターンも多いです。それだけではなく、都市部のマンションなどでも空き家問題は発生しています。
かつてニュータウンなどでは精力的にマンション建設が行われ、多くの方が入居しました。しかし、子どもたちが独立して、親世帯の高齢化が進み、入居者が亡くなったり出ていったりしたまま次の入居者が入らず、閑散としている物件が多く見られるのです。
総務省の統計資料によると、全国の空き家は増加の一途をたどります。平成5年には448万戸であったものが、年々増え続けて平成25年には820万戸となっており、空き家率は、13.5%にのぼります。
空き家問題は、どのような人にとっても、決して他人事ではありません。
2. 空き家にする問題点
もしも所有している不動産が空き家になったら、どのような問題があるのでしょうか?
具体的に見てみましょう。
2-1. 荒れて周囲に迷惑をかける
まず、空き家になると、家が荒れます。建物は、人が住んで管理しているときれいに保たれるものですが、人がいなくなったら、一気に朽廃が進むものだからです。
たとえば、壁や屋根などが朽ちてきたりして、周囲の景観も害されますし、治安が悪くなって周囲に迷惑をかけることになります。
2-2. 害虫、害獣が発生する
空き家として放置すると、害虫や害獣が発生しやすくなります。衛生状態が悪くなり周辺環境も悪化します。
すると建物の有効活用が難しくなるのでさらに放置してしまうという悪循環に陥ります。
2-3. 危険を発生させる
たとえば、壁や屋根が崩れ落ちて近くを通った人に危険を及ぼすおそれがあります。またゴミの不法投棄などをされて、異臭が発生する可能性もあります。
空き家によって第三者に損害を与えた場合には、空き家の「所有者」に責任が発生します。もしも子どもたちが空き家を相続していたら、子どもたちが損害賠償をしなければなりません。
2-4. 犯罪に利用される
空き家を放置していると、犯罪に利用される可能性も高くなります。
たとえば、住宅の中で勝手に大麻草を栽培されてしまったという事件も過去にありました。そのような事件に巻き込まれたら、空き家の所有者も「共犯ではないか」と疑われる可能性があります。
また、放火被害に合うリスクも考えられます。
2-5. 固定資産税が上がる可能性がある
現在、宅地上に建物が建っている場合、特例によって「固定資産税」や「都市計画税」が大幅に軽減されています(減額率は固定資産税で最大6分の1、都市計画税で最大3分の1)。
ところが、空き家を放置していて、周辺に危険を及ぼす可能性のある「特定空き家」に指定されると、この税金の特例が適用されなくなるので、固定資産税と都市計画税が大幅に増額される可能性があります。
また、特定空き家に指定されたときに、所有者が改善のための適切な対応を怠っていると、自治体が強制的に空き家を取り壊して、その費用を所有者に請求してくる可能性があります。
つまり、空き家を放置していると、固定資産税や都市計画税が何倍にも増額されるだけではなく、空き家を強制的に取り壊されて、その費用負担が発生するということです。これは、増え続ける空き家対策のために策定された「空き家対策特別措置法」による措置です。
そのようなことになったら大変ですから、特定空き家に指定されないように、適切に住居を管理しなければなりません。特定空き家に指定されるのは、空き家を放置して倒壊の危険性が発生したり、朽ちて周辺環境に深刻な被害をもたらすおそれがある場合ですから、きちんと管理しておけば、回避できます。
特定空き家とは、以下のような状態の空き家です。
(イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
(ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
(ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
(ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
出典:国土交通省「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針
2-6. 本来得られるはずの利益を得られない
もう1つ、空き家を放置する場合の重要な問題があります。それは、本来得られるはずの利益を得られなくなることです。
不動産を所有している場合には、工夫次第でさまざまなメリットが得られます。ところが、活用せずに放置すると1円の利益にもなりませんし、固定資産税や都市計画税などの税金だけがかさんでしまい、経済的に損失となります。
このようなことは非常にもったいないので、不動産を所有しているのであれば、是非とも活用しましょう。
3. 空き家にしないための対処方法
それでは、具体的に不動産を「空き家」にしないためには、どのような対処方法をとれば良いのでしょうか?
考えられる代表的な方策を、以下に示します。
- 建て替えて二世帯住宅
- 建て替えて賃貸併用住宅
- リフォーム
- 売却
- 資産の組み替え
- 等価交換
- そのまま貸す
それぞれがどのような方法でどのようなメリット・デメリットがあるのか、順番に見ていきましょう。
4. 建て替えて二世帯住宅
まずは、今の家を建て替え二世帯住宅にして、子どもたちと同居する方法があります。
不動産を二世帯住宅に建て替えて子どもたち夫婦と同居していれば、親世代が亡くなっても引き続いて子どもたちの家族が居住するので、家が空き家になることがありません。
子どもたち自身の持ち家がなく、賃貸住宅に居住している場合には、特にお勧めの方法です。
メリット
二世帯住宅にするメリットは、自分たちが住むので、賃貸人を募集したり管理会社を選定したりする手間が省けることです。
また、子どもたちが住宅ローンを組んで新しい家を購入または建築するよりも、経済的負担を軽減できます。二世帯住宅の場合、もともと土地があるので建物の建築費用だけで足りるからです。
デメリット
二世帯住宅にするデメリットは、子どもたちの同意が必要なことです。
子どもたちがすでに持ち家がある場合は実現が難しいでしょう。また、子どもの配偶者が義父母との同居を拒絶することもあります。
また、建て替えが必要になるので、その間は別の賃貸住宅を借りて生活しなければなりません。一時的ですが、身体的にも経済的にも負担が発生します。
二世帯住宅にするときには、どのような新居の形にするのか、子どもたちの世帯とも話し合ってきっちり検討しておく必要があります。また、誰がどのくらいの費用を出すのか、登記名義をどうするのかも話し合うことが必要です。
このあたりのことをきちんとしておかないと、同居した後さまざまなトラブルが発生して、結局同居を解消しなければならない事態も発生するので、事前にしっかり話し合っておきましょう。
5. 建て替えて賃貸併用住宅
次に、建物を建て替えて賃貸併用住宅にする方法を、見てみましょう。
今の不動産に十分な広さがある場合、建て替えにより、賃貸部分と居住部分に分けて、一部を賃貸に出すことができます。
そうすると、賃借人から賃料が入ってきますし、親世代が亡くなったあと、子どもたちが収益物件として活用することができるので、空き家になるリスクが小さくなります。
メリット
賃貸併用住宅にすると、毎月賃料が入ってくるので、生活に余裕が生まれます。また、賃貸部分については相続税の評価額が落ちるので、相続税対策にもつながります。
建て替えをするので、新築の新しい物件を建てることができて、賃料も高めに取ることができますし、自分たちの思うような住みやすい物件を建てやすいこともメリットです。
居住場所が変わらない、引きつづき慣れた土地に住み続けることができる点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
デメリットは、建て替えが必要なため、建築会社と打ち合わせをして綿密な検討が必要になり、手間がかかることです。また、手元に資金がない場合には、ローンを組むことになりますが、高額なローンを組んで建築しても、賃借人が入らなければ赤字になってしまうリスクがあります。
賃貸併用住宅を建築するときには、きちんと収益を得られるのか事前にリサーチすることが重要です。近隣の賃貸物件に入居者が集まっているかどうか、賃料相場がどうなっているか、今後立てる予定の物件はどのくらいの賃料設定ができそうか、しっかりシミュレーションしましょう。
ローンを組むとき、毎月のローン返済金額が賃料収入を超えると赤字になるので、キャッシュフローがプラスになることを確認しておくことが重要です。
6. 売却する
4つ目の方法は、不動産を売却してしまう方法です。売却すると、その不動産は自分のものではなくなるので、空き家問題を心配する必要がなくなります。
メリット
不動産を売却すると、その不動産の管理が不要になりますし、固定資産税や都市計画税などの税金もかからなくなるメリットがあります。
また、手元にまとまった現金資産が入ってくるので、それを元手に好きなことをすることができます。たとえば、旅行に行くのも良いですし、趣味に使うのも良いでしょう。生活費に使うこともできます。
デメリット
売却すると、「不動産」という資産が失われてしまう点がデメリットです。所有していれば、将来値上がりして高値で売却できたり、賃貸住宅にして活用したりできた可能性もありますが、売却すると、その時点で可能性がすべて断たれます。
また、売却して現金資産が入ってくるのは良いのですが、現金や預貯金などの資産は、不動産とは違い相続税評価額を引き下げることができません。
不動産を売ってしまい、現金を持ったまま親世代が死亡すると、相続発生時に多額の相続税が発生してしまう可能性があります。
7. 資産の組み替え
5つ目の方法は、資産の組み替えです。資産の組み替えとは、今居住している家を売り、新たな不動産を購入することです。
たとえば、今の不動産が老朽化していたり、子どもたちが二世帯住宅を望んでいなかったり、建て替えのためにアパートローンを組むのが嫌だったりする場合には、今の家を売却して、新たに便利な居住用のマンションなどを購入することがお勧めです。
そうすれば、空き家になるリスクはなくなりますし、親世代が死亡したときには、子どもたちは便利なマンションを相続できるので、賃貸活用や売却などの活用が容易になります。
このまま老朽化した不動産を保有していたら、相続時に子どもたちは処分費用を負うことになりますが、資産を組み替えることにより不動産を有効活用できます。
メリット
資産の組み替えのメリットは、ローンを負担しなくて済むことです。また、今居住している不動産を売却してしまうので、空き家とその管理の負担が子どもたちに発生しません。
便利な場所に新たな家を購入すれば、今より快適に生活できるようになり、老後を楽に過ごせるようにもなります。
デメリット
デメリットは、新たな家を探さないといけないことです。良い家がなかったら、「前の家の方がよかった」と後悔することになってしまうかもしれません。
また、売却に失敗して、安い値段で売ってしまうケースもあります。そうなると、新居との差額が発生して、転居後、生活が苦しくなる可能性も出てきます。
8. 等価交換
不動産活用の方法として、「等価交換」という方法もあるので、ご紹介します。
等価交換とは、土地を所有している場合において、土地を建築会社に売却して土地上に新たな不動産(マンションなど)を建築してもらい、売却した土地の値段に相当する部分の建物の区分所有権を取得する方法です。
上記でご紹介した資産の組み替えに似ていますが、この方法によると、売却価格と購入価格の差額が発生することがありません。
親世代が亡くなった後は、子どもたちはマンションの区分所有権を相続するので、活用も容易となり、空き家になるリスクは小さくなります。
メリット
メリットは、ローンを組まなくても良いことです。また、慣れ親しんだ場所に住み続けることができるので、環境が変わらないことも利点となります。さらに、相続税は更地のまま相続するよりも優遇されます。
デメリット
デメリットは、不動産会社に任せきりにすると、予想と異なる物件が建築されてしまうことや、土地という資産を失ってしまうことです。
等価交換をするときには、必ずどのような物件が建築されるのかしっかり理解して、適切な権利を割り当ててもらうことが重要です。
9. そのまま貸す
最後に、今の不動産をそのまま貸す方法もあります。
今活用していない不動産がある場合や、居住中の不動産がある場合、そのまま貸すことができます。ただし、居住中の不動産を貸す場合には、次の住まいを探して移る必要があります。
賃貸すると、入居者が管理をしてくれるので、物件が朽廃することもありませんし、賃料収入を得ることも可能です。
メリット
そのまま貸すメリットは、なんと言っても手軽なことです。リフォームも建て替えも不要なので、ローンを組む必要もありません。簡単なハウスクリーニング等をするだけで済みます。
デメリット
デメリットは、利用できるケースが限られることです。
そのまま貸すためには、相当物件が新しくきれいな状態で維持されていることが必要だからです。立地なども限られるでしょう。
また、居住中の家を貸す場合には、次の住まいも探さねばなりません。高齢者の場合、賃貸物件を探すのは難しい場合もあります。
この方法が向いているのは、今の家が広すぎるので手頃な家に住み替えたいケース、活用していない不動産を所有しているケースなどです。今の家に賃貸需要があるかどうかについても、事前にしっかりと調査しておく必要があります。
まとめ
今回は、家を空き家にしない方法について、解説しました。空き家になるとさまざまなリスクが発生してしまうものです。
今回ご紹介した方法を参考にして、最適な方法で空き家対策を実行しましょう。
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この記事を監修│専門家プロフィール
- 富田 浩司
- ファイナンシャルプランナー
富田FP事務所 代表
ゴールドマンサックス証券などの勤務を経て2007年に富田FP事務所を設立。主に、子育て世帯のマネープランをテーマに、講演、執筆活動などを行い、金融リテラシー向上に努める一方、FP相談では本音で話し、本気でサポートするFPとして、多数の顧客から支持を得ている。
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