この記事の執筆者
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木﨑 海洋
所属 行政書士きざき法務オフィス 代表
きざきFPオフィス(株)代表取締役
職業 行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナー(AFP)ほか
相続専門の行政書士と不動産・FP業務を行う。
同時に「こころ亭久茶」として「落語で学ぶ相続と不動産」などセミナー講師をする。
落語形式の講演は珍しく、難しい話を笑いながら学習できると評判となり全国で年間140回の講演をする。
A氏 : あの、儲かると聞いて……アパート経営をしたいんですけど。
木崎 : やめておきなさい。
A氏 : えっ! どうして?「銀行は融資する」「税理士は節税になる」「建築業者は資産運用になる」って言っているんですよ?
木崎 : そりゃ、皆さん商売ですからそう言いますよ。間違ったことは言っていません。
A氏 : じゃあ、どうして?
木崎 : やってはいけない、と言うことではありません。一人ぐらい「ちょっと待った!」を言う人がいないといけないのです。
やるなら地に足をつけて慎重にやって欲しいのです。
相続増税や低金利、資産運用の機運によりこのような相談が多くなったそうです。知識や経験があり、きちんと考えている人は大丈夫ですが、中には安易に考えていたりメリットばかりに目が向いている人も……。
今回はそんなアパート経営の魅力や留意点などについて、行政書士きざき法務オフィス代表で、相続・不動産取引などを専門とする木崎 海洋先生(※崎はたつざき)にお話を伺いました。
この記事の内容
土地を所有する人が一度は土地活用として検討するであろうアパート経営。投資である以上、リスクはあるものの、アパート経営は安定した家賃収入を見込める魅力的な「資産運用」手段です。さらに「相続税対策」になるという一面もあります。
資産運用についてはイメージしやすいと思います。
アパート経営は通常年3%~10%以上の利回りが期待できます。仮にアパート経営の運用資金が6,000万円の場合、年180万円~600万円の収入が見込めます(費用差引き前)。
また、収入が景気に左右されづらいことも魅力の一つ。例えばワンルームマンションを5万円で学生に貸していた場合、いくら景気がよくなっても10万円で学生は借りてくれません。逆にいくら景気が悪くなっても半分の2万5000円になることもありません。特に不景気のときは安定した資産運用と言えるでしょう。
相続税対策としても有効です。
更地や預貯金で遺すよりアパートを相続させることで相続税評価額を下げられます。土地は路線価(時価の約8割)での評価からさらに「貸家建付地」として評価減をして計算します。
建物は固定資産税評価額(時価の約7割)での評価からさらに「借家権割合」を乗じ評価減をして計算をします。
その他、条件により「小規模宅地の特例」や建物があることによる「固都税の軽減措置」の恩恵も受けられます。具体的な評価額や相続税額は専門家に相談してみましょう。
アパート経営の魅力をお伝えしましたが、ここからは冒頭の会話にもあった「誰がやってもアパート経営が上手くいく時代ではない」というリアルな観点のお話をします。
2008年以降日本は人口が減少しており、今後も人口が増える兆しはありません。当然アパートに入居する絶対数も少なくなる。現に人口減少地域では、アパート経営で苦戦している家主さんも少なくありません。
特に怖いのが「マイナス循環」に陥ること。例えば、「空室が発生 → 収入減少 → リフォーム・設備の新設が困難 → 家賃を下げる → 不良入居者が増える → 滞納・明け渡し訴訟費用が発生」というもの。こうなると資産運用どころか借入金の返済も危ぶまれます。マイナス循環は絶対に避けなければなりません。
では、マイナス循環のリスクを下げ、アパート経営成功の可能性を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
それは、情報収集と勉強による「理論武装」だと私は考えます。アパート経営に限らず、資産運用は知識を得て最新で正しい情報など得られれば少なくとも大失敗は避けられます。
「アパート経営に適した立地か」「誰をターゲットにするか」「ニーズのある設備は」など、情報収集が必要です。
同時にサブリース契約書、賃貸借契約書、管理契約書などはよく読んで理解して欲しいと思います。さらに言えば、民法や借地借家法、アパート経営に関するガイドラインなども知っておいて欲しいのです。
しかし、プロなみに理論武装し法律などすべて理解することは難しいですよね。
その場合は、信頼できる相談相手がいればいいのです。「正しい知識」や「最新の情報」を得て「冷静な判断」ができればリスクをゼロにはできませんが、リスクを最小限に抑え、資産運用がうまくいく可能性が高くなります。
資産運用には
・ハイリスク・ハイリターン
・ミドルリスク・ミドルリターン
・ローリスク・ローリターン
があります。
どれを選ぶかは皆さんの考え方それぞれ。
定期預金など「ローリスク・ローリターン」は長引く低金利から魅力がない。かといって「ハイリスク・ハイリターン」は選びづらい。そこで「ミドルリスク・ミドルリターン」を選ぶ方が増えているのではないか。特に資産運用の初心者はこの傾向が強いと感じています。
株式投資は株価が2倍や5倍にもなればゼロになることもあります。
アパート経営は先述のように家賃は2倍にならないが半分にもならない。これはミドルリターンと言えるでしょう。
他の資産運用に比べアパート経営は初期投資額が大きく安易に始めると「ハイリスク」となり得ます。しかし先述の「理論武装」によって“ハイリスク=大失敗”を回避し「ミドルリスク」にできます。さらなる理論武装や適したアドバイスにより「ローリスク」にすることも可能です。
「資産運用」「相続税対策」という効果に加えアパート経営が選ばれるのはこのような理由があるのではと感じています。
駅から徒歩1分のアパートなら常に満室でしょう。しかしほとんどのアパートがそうではありません。選ばれるアパートにしなければいけないのです。
建てたときは「新築」という特別な魅力により満室になるでしょう。問題は5年、10年を経過したときや隣に新築が建ったとき。隣の新築と同じ間取り、同じ家賃なら選ばれません。
そこで「後出しジャンケン」が大事になってきます。
例えば、隣の新築にはない宅配ボックスを設置すれば築5年のハンデを挽回できます。周辺にインターネット無料のアパートが多ければ、「“高速”インターネット無料」の環境を整えることで差別化を図れます。防犯設備の新設ですぐに入居者が決まった事例もあります。
この「後出しジャンケン」ができることがアパート経営の大きな武器です。
同じ資産運用でも株式投資は他人の動きを見てから買ったのでは遅く、株価が値下がりしてから売っても儲からない…後出しジャンケンができないのです。
株式投資とアパート経営の違いは「目に見える“モノ”がある」こと。ライバルアパートの立地や建物を目で見ることができます。さらに今はネットで周辺のアパートの募集チラシを簡単に入手できます。「家賃は…」「間取りは…」「設備は…」など分かれば後出しジャンケンをしやすいですよね。
そして後出しジャンケンをして負ける人はいません。
後出しジャンケンには「資金」も必要です。新築の際に満室となったからと油断せず、数年後の後出しジャンケンのための資金を準備しておきましょう。
もし資金が準備できなかった時のために金融機関と信頼関係を築いておいて、必要な時に融資を受けられるようにしておきましょう。
「使っていない土地がある」「相続した土地がある」など土地があればアパート経営は有利です。
借入をする場合は建築費だけで済むからです。返済にも余裕があり、空室が出でも安易に家賃を下げる必要もありません。後出しジャンケンの資金も準備できます。
また、最近は一戸建て住宅を建替える際「賃貸併用住宅」を考える人も増えています。子供は独立しており夫婦だけの平屋ではもったいない…うまく資産運用できないか、と。
下階をアパートとして貸し、最上階に夫婦で住む。慣れ親しんだ場所を離れずに資産運用や相続税対策ができます。こちらもすでに土地があるので借入は建築費だけで済みます。
ここで注意することは一つ、アパート経営に適している立地であること。専門家に相談をしながら適正を確認してみましょう。
大学や企業の周辺でアパートが過剰であれば「一戸建て貸家」もいいでしょう。学生や社員対象ではなく、大学教授や企業の役員が借りる需要があります。
最近、アパート家主の2代目3代目と話をしたり相談を受けることも多くなりました。そこで感じることは先代の家主とは意識が違うこと。「相続したアパートに関心がない」「どこにあるか見に行ったこともない」「転勤族で時間を取れない」という方も多いです。
2代目や3代目は自分が建てたのではないため関心も薄いのでしょう。しかし、放ったらかしにしていてはマイナス循環に陥ってしまいます。
では、どうすれば良いのでしょうか。
私は親の「事業を承継させる」意識が必要だと考えます。親が子供へ「アパート経営は事業でありきちんとやらないと負け組になる。事業をする覚悟があるか?」と問えばいい。その子供にやる気がないなら他の子供に相続させることを考えるべきです。
アパートは何もせず利益を生んでくれる資産ではなく、事業なのです。
「理論武装」「後出しジャンケン」をして時には金融機関から借入れもしなければいけません。小さな会社を経営するくらいの意識が必要となります。せっかくの資産、よい形で承継して欲しいものです。
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