マンション経営を新築物件でするメリット・デメリットと一棟VS区分のリスク比較
マンション経営には、新築マンションではじめるケースと、中古マンションではじめるケースがあります。本記事では、土地活用・不動産投資に関係なく、はじめてのマンション経営をする方にもわかるように、新築マンション物件の経営についてまとめています。
この記事の内容
1.新築物件でのマンション経営には2種類ある
マンション経営・マンション投資とは、人に貸すことを前提にマンションを購入し、賃料収入を得るタイプの投資方法 です。マンションには一棟建てマンションと、区分マンションの2通りの所有のしかたがあります。
1-1.一棟建て
一棟建てマンションとは、マンション建物一棟を、土地建物ごと所有します。建物のすべての部屋の所有者がオーナー1人になります。一棟建てマンションには、新築と中古があります。
・一棟建てのマンション経営をする方はこんな人物
土地活用でご所有の土地にマンション建物を建てる方。不動産投資としてマンション一棟を購入する方。相続などで経営中のマンション一棟を引き継いだ方。
1-2.区分所有
マンションの一室を所有します。各物件に別々のオーナーが存在します。例えば、100室ある中の201号室を購入すれば、その方が201のオーナーです。おひとりで複数所有することもできます。区分マンションには新築と中古があります。
・区分所有でマンション経営をする方はこんな人物
マンション投資・マンション経営をする方。相続などで区分マンションを引き継いだ方。ご所有のマンションを賃貸に出す方。マンション投資でのリスク分散を考えている方。
2.マンション経営を新築物件でする8つのメリット【一棟・区分共通】
マンション経営をする際に、新築物件でスタートするメリットを8つにまとめています。一棟オーナーと区分所有オーナーのどちらにも共通しているメリットです。
1.入居者が見つかりやすい 2.時代と市場ニーズに合った物件になる 3.家賃設定を高くできる 4.銀行融資がスムーズ 5.施行会社がハッキリしている 6.メンテナンス費用が抑えられる 7.節税対策に使える 8.売却しやすい |
2-1.入居者が見つかりやすい
新築マンションは、建物と設備のすべてが新品であり、その時点でエリア内の最新設備です。たとえば、エントランスのオートロック・モニター付きインターフォン・宅配ボックス設置・オール電化・浴室乾燥・自動風呂機能・床暖房・温水便座などが完備しているなど、周辺のライバル物件よりも設備が整っています。
不動産の賃貸情報を掲載するポータルサイトなどでも、「新築」というチェック項目がありますので、新築のマンションは、物件案内をする不動産仲介会社にとっても紹介しやすい物件です。
一般的に、日本人は新築や新品を好むため、ほぼ同じ家賃とスペックの物件があれば、新築から先に契約が決まっていく傾向があります。そのため、新築マンションの経営は入居者が見つかりやすく、全経営期間中、空室リスクが最も低い状態といえます。
2-2.時代と市場ニーズに合った物件になる
マンション経営は大金をかけた不動産投資方法ですので、施主が個人でも法人でも、事前にしっかりとした市場調査をして、エリアでの需要がある設計を用意しています。そのため、入居者が喜ぶ室内機能が揃っていることが多く、魅力的な物件になります。
建物や室内のデザインなども時代とエリアニーズに合わせて作ってあるため、たとえば、シックハウス対策として天然無垢材を使っている、ウォークインクローゼットが標準装備である、テレワーク用に防音効果の高い壁材であるなど、賃料を支払う入居者にとって、支払う価値があると感じられる魅力ある要素が揃っていることが多いと言えます。
土地活用などで設備をオーナーも選べるのであれば、積極的に時代とエリアニーズに合ったものを取り入れることで、周辺のライバル物件に大きく水をあけることができます。不動産投資で区分マンションを選ぶ際には、土地条件に加えて、最新設備のグレードも比較しておき、より良い設備のある物件を選ぶようにしてください。
良い設備や機能にはコストかかっているため、設備の良いマンションほど高額です。しかし、新しいものは故障トラブルもなく、機材そのもののランニングコストも良いことが多いので、経営そのもので考えるとメリットの方が大きいと言えます。
2-3.家賃設定を高くできる
あくまで相場家賃よりも高く設定できるという意味ですが、新築は賃料を高めに設定しても、入居が決まりやすい傾向 があります。新築は建物と設備のすべてが新品であり、誰も住んだことが無い物件ですので、とてもきれいです。そして、そのこと自体に価値があると感じる方が入居を決めてくれます。
どのくらいまで高くできるのかは、その時のエリアにどのくらいの新築または築浅物件があるかによって違いますが、相場家賃の1~2割高以内で様子見ながら、入居が決まる金額を探っていくことになります。仲介をお願いした不動産会社にも相談をしながら進めるようにして下さい。
ただし、新築の定義は国土交通省によって「建物が完成してから1年以内であること」「未入居(誰も使用したことがない)であること」の両条件を満たすことが決められています。つまり、マンションの場合は竣工から1年以内で未入居の状態が「新築物件」です。未入居であっても1年以上経過した物件は新築とは名乗れないので注意が必要です。
2-4.銀行融資がスムーズ
新築マンションは一棟でも区分でも、建物としての価値が最も高く、さらに設備類なども法定耐用年数がまるまる残っている状態です。そのため、金融機関から見たときに、土地建物の評価額は最大になりますので、融資がスムーズに進みやすい傾向があります。
ただし、融資額は市場価格の7~8割程度までになりますので、マンション経営をする場合は、新築中古、土地活用・不動産投資、一棟・区分に関係なく、マンションの総工費または購入額の2~3割を用意できるのが理想です。新築は、建物と設備の残存価値が高いため、より少ない自己資金でも融資が進む可能性はあります。※金融機関と担当者の考え方によります。
2-5.施工会社がハッキリしている
新築ならではですが、その建物をどの会社が施工したのかが、ハッキリしています。土地活用の場合は、オーナーがご自分で施工会社などを選択しています。区分所有や一棟を購入した場合でも、新築であれば施工会社の記述があり、販売説明会でも施工会社・施工管理会社の一覧を確認できます。
中古の場合、建築は何年何十年の前のことですので、施工に関した問題が起きても、責任の追及の使用がない可能性があります。手元に当時の会社一覧があったとしても、中にはすでに廃業・倒産しているケースもあります。
特にマンション投資・経営の場合は、施工に関した問題が起きた場合、そのことが原因で退去が続く、損害賠償の問題などが起きる可能性もありえます。ほとんどの施工会社はしっかりとした工事をしていますが、万が一、レアケースに当たった場合は、オーナーにとっては大きな経営リスクとなります。そのようなリスクを未然に防ぐためには、施工会社の確認ができることは非常に重要といえます。
2-6.メンテナンス費用が抑えられる
新品のマンションは設備も最新ですから、突然、故障や不具合が生じる可能性は低いと言えます。また、すべての設備のメーカー保証期間内ですので、問題があってもすぐに新品と交換してもらえます。このようなことから、マンションの新築物件は、修繕などのメンテナンス費用が低くなります。
中古物件を購入する場合、前の入居者がいるままでオーナーチェンジをすることもあり、居室の状態がわからないままで、経営スタートすることもあります。しかし、新築であれば、経営開始前に居室の状態を点検できますので、賃貸に出してから大きな問題が発覚するケースも少なくなります。
2-7.節税対策に使える
土地活用・不動産投資のどちらでも使える節税方法に「減価償却」と「相続税」があります。たとえば、鉄筋コンクリート造マンションには47年という法的に決められた耐用年数があり、それが減価償却期間になります。マンション価格を47年で割って、毎年「減価償却費」という経費として計上することができます。
仮に4億7千万円の建築費または購入費だった場合には、毎年1,000万円※を経費計上できることになりますので、減価償却には大きな節税効果が期待できます。中古マンション経営をした場合、法定耐用年数の47年から築年数を差し引いた年数分しか償却期間が残りませんので、節税が期待できる期間も短くなってしまいます。※定額法を用いた場合
相続税では、所有する現金がマンションという不動産に代わっている時点で、現金よりも相続税の評価額が下がります。人に貸しているマンションは、さらに評価が下がりますので、相続税額をさらに減額させる効果があります。
土地活用でマンション経営をする方は、土地に人に貸すための建物が建っていますので住宅用地の特例などが適用され、毎年の固定資産税と都市計画税が、更地で所有していたときと比べると最大で1/6にまで抑えられます。
2-8.売却しやすい
不動産投資や土地活用を開始後、マンションを手放さなければならないときにも、新築でスタートしたマンションは売却がしやすく、不動産投資物件の中では流動性が良いと言えます。
新築でスタートしたマンションは、建物設備ともに残存年数が多く、他の経年劣化が激しく、メンテナンス費用の問題が多い中古マンションと比較すると、買い手にとっては良好な物件です。仮に売却希望額を相場よりも高く設定しても、その後のメンテナンス費用や、家賃設定などを鑑みると、投資家にとっても納得のいく価格である傾向があります。
経営を始めたマンションは長期に経営が続けられることが最良の選択ですが、もし、途中で売却をする可能性があるのであれば、新築でスタートしておく方が良いと言えます。
3.マンション経営を新築物件でする4つのデメリット【一棟・区分共通】
土地活用と不動産投資に共通した、新築でマンション経営をスタートするデメリットをまとめています。
1. 初期費用が高い 2. 利回りは低めになる 3.家賃下落率が高い 4. 経営データがない |
3-1.初期費用が高い
ここでいう初期費用とは、マンションを建築や購入のためにかかる金額のことです。新築マンション経営では、新しく建物を取得しなければなりませんので、相続で引き継ぐ方や、中古マンションを購入して経営を始める方と比較すると、どうしても初期費用がかかります。
ただし、新築物件はその建物と設備のすべてが新品であり、物品としての残存価値がまるまるある状態からのスタートになりますので、金融機関から見ると担保力に優れた物件となり、融資自体はスムーズになる傾向があります。
3-2.利回りは低めになる
新築マンションは、建物としてもその物件価値が最高値の状態にあるため、値段が高いという特徴があります。その結果、ローンの返済額も大きくなるため、利回りは低めです。利回りとは、投資した金額に対して、どのくらいの見返りがあるかを数字で表したもので、もっともシンプルな計算式は「年間家賃収入÷物件価格×100」(表面利回り)になります。新築と中古で、利回りを比較してみました。
新築の区分マンション例 |
中古の区分マンション例 |
---|---|
●マンション価格3,000万円 ●新築プレミア1室10万円で賃貸 ・年間収入 10×12カ月=120万円 ・利回り4%=120万円÷3,000万円×100 |
●マンション価格1500万円 ●相場家賃1室8万円で賃貸 ・年間収入 8×12カ月=96万円 ・利回り6.4%=96万円÷1,500万円×100 |
マンション経営に限らず、不動産の新築は中古に比べると高額になるため、どうしても利回りが低くなります。新築価格で家賃設定を高くできても、ローンの返済額が大きく、さらに空室リスクがあると、想定よりも利回りが低くなる可能性もあります。
このようなことも想定したうえで、返済計画を立て、安定した経営ができるようにシミュレーションをしてください。またどんな新築物件でも、新築は最初の1年、築浅と呼ばれるのは3~5年目くらいまでで、そのあとは一般的な中古の物件となります。あまり新築価格を高くするなどにはこだわらず、相場に準じた家賃で、入居者に気に入って長く更新してもらえるような経営を意識することで、利回りの低さをカバーできます。
3-3.家賃下落率が高い
新築でマンション経営がスタートすると、そのほかの状態でスタートするよりも、家賃の下落率は高くなります。以下のグラフは、新築相場家賃10万円の家賃(青)を、2割増しプレミア価格12万円(赤)で出した場合の、家賃下落推移のサンプルです。
【船井総合研究所の資料を参考に編集部まとめ】
新築の法的規定は未入居・1年目ですので、相場より2万上乗せしたプレミアム価格12万円にしても、募集ができます。この場合、新築1年目で誰も入居者がつかなくても、2年目以降は「新築」規定から外れて相場家賃に戻りますので、家賃は一気に下がることになります。
青い線はもともとの相場家賃である10万円をサンプルに、30年間の家賃推移を表したものです。賃料は3年で約2.5%、5年で約4.5%と下がっていきますが、どこかで突然大きく下がるというよりは、毎年少しずつ減っていく傾向があります。
このことから、新築=下落率が高いのではなく、新築プレミアム価格をつけていた場合は、中古物件だと認識される2年目以降には、必ず大きく価格が下がるタイミングが来る、と理解しておく方が良いと言えます。中古のマンションを購入して経営を始めた場合は、どれだけリノベーションをかけても、相場家賃に沿うしかありませんので、新築と比較すれば下落率は、よりなだらかになります。
ただし、プレミアム価格で入居者が付いた場合には、その方が退去するまではプレミアム価格のままで賃料支払いがされますので、住み心地を整えて更新してもらえるようにすることで、次の入居者に代わるまでは価格維持が可能です。
3-4.経営データがない
新築マンションは、そのマンションにおける統計データがゼロですので、経営をする上で参考にする基本データがありません。中古のマンションは、新築から今日までの家賃・入退去者・トラブル事例・経費などのデータがあるため、この先に起きるトラブルや経費などのシミュレーションもしやすいと言えます。
新築マンションは、建物設備は新品で問題が起きにくいのですが、入居者に関したデータが全くないため、今後、どのようなタイミングで入退去がある、どのようなタイプの方がつきやすいなどの、サンプルがなく、経営シミュレーションが立てにくいという特徴があります。
このようなデータ不足をカバーするには、エリアのマーケティング調査が役に立ちます。経営結果に直結することですので、ご自身で調査をするよりも、不動産投資と土地活用のプロのデータを役立てる方が良いと言えます。
土地活用でプロのデータを参考にするときには、NTTデータグループの運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。一回の入力で最大10社にまで一度にプラン請求ができます。
気になる土地活用プランや、マンション経営プランがみつかったら現地調査に来てもらい、より現実的なプランを作ってもらいます。そのようなプランには、ハウスメーカーや建築会社が持つ独自のマーケティングデータや、過去の事例になどが参考にしてあるため、マンション経営に役立つアドバイスがたくさん含まれています。
4.新築物件の一棟建と区分所有 8つのマンション経営リスク比較
マンション経営には一棟建てのマンションで経営する方法と、区分マンションを所有して経営する方法とがあります。本章では、2つの経営リスクを比較に加え、環境変化や社会情勢の急激な変化に対抗するための、経営体力を比べています。
一棟建 |
リスク内容 |
区分所有 |
---|---|---|
- |
1.空室リスク |
高 |
中 |
2.家賃下落リスク |
中~高 |
中 |
3.家賃滞納リスク |
高 |
高 |
4.修繕管理リスク |
中 |
低 |
5.金利上昇 |
低~中 |
中 |
6.災害リスク |
中 |
低 |
7.周辺環境の変化 |
- |
中 |
8.社会環境の変化 |
低 |
4-1.空室リスク 区分所有がリスク高め
空室リスクは、空室の発生によって賃料収入がゼロになるリスクです。マンション建築や購入の際、多くの方はローンを組みますが、その返済は賃料収入から支払われます。物件からの賃料収入がなくなることで、ローン返済に支障が出るのが空室リスクです。
一棟建てのマンションは戸数が多いため、空室リスクが低めです。たとえば30室ある場合、1室空いたことに対するリスクは1/30にすぎませんので、他室の賃料でカバーできます。区分所有で1室しか所有していない場合、1室の空室が大きな影響を与えます。そのため区分所有の場合は、土地条件が良く空室の起きにくい物件を優先的に選ぶようにしてください。
4-2.家賃下落リスク 区分所有がリスク高め
一棟建てでも区分所有でも、新築マンション物件としての家賃下落リスクは、ほぼ同じです。どちらも、新築プレミアム価格をつけてしまうことで、新築ではなくなる2年目からの下落幅が大きくなります。
ただし、一棟マンションの場合は、オーナーの裁量で全室を新築プレミアム価格に設定できますが、区分所有の場合は、他のオーナーの物件が相場家賃であった場合、ご自分の部屋だけをプレミアム価格にすることによって、割高感が演出されてしまい、結果的に空室リスクを招く可能性があります。
また、マンションが経年してきたときにも、他のオーナーが早くから賃料を下げてきた場合、それが建物の相場家賃となってしまう可能性があります。複数のオーナーがいる区分所有マンションならではのリスクといえます。
4-3.家賃滞納リスク 区分所有がリスク高め
家賃滞納がまねく経営上のリスクは、家賃収入が入ってこないことによるローン返済に影響が出ることと、次の入居者を募集できないというダブルのリスクがあります。ローン返済への影響は、1項の空室リスク同様、居室数の多い一棟マンションの方がリスクは少なくなります。
滞納をしている方が退去してくれるまでは、次の入居者を募集できないというリスクに関しては、一棟でも区分でも、ほぼ同程度です。契約内容にもよりますが、一般的に家賃滞納が3カ月継続した場合には、オーナー側(不動産管理会社)から退去勧告ができます。その間、不動産管理会社からは督促が続いています。
退去勧告をしても入居者が従わない場合には、法的な措置を取るために弁護士などを通じて、退去条件の交渉をするなどの期間が追加される可能性もあります。一番短く対処できても、3カ月もの待機期間がありますので、部屋数が少なく、他物件の家賃でカバーをしにくい、区分所有の方が実質的なリスクが大きいと言えます。
4-4.修繕管理リスク 一棟マンションがリスク高め
新築物件でマンション経営をする場合、設備などの法定耐用年数や、メーカーの保証期間内の場合は、一棟マンションも区分マンションも、リスクはほぼ同じです。建物や設備の劣化が始まる築年数である5~10年くらいになると、物件数が多い一棟マンションは、メンテナンス費用も多くかかることになります。
区分マンションの場合、メンテナンス費用が原因で収支バランスが取れなくなった場合には、大規模なリフォームやリノベーションをする、売却して築年の浅いものに買い替えるなど、経営判断にフットワークの軽さがあります。一棟マンションの場合は、一棟で売却をする必要があるため流動性の問題があり、リノベーションなどにも莫大な金額が必要となるため、経営リスクも高くなります。
4-5.金利上昇 ほぼ同じだが区分の方がリスク高め
金利上昇リスクとは、金融機関からの利率が変わることにより、毎月の返済額が変わるリスクのことです。同じ金融機関から借りていることを前提にすれば、一棟・区分とも、リスク度合いは同じです。
利息が上がるときには、どの金融機関でも一斉に上がりますので、その時になったらより利率の低い金融機関で借り換えるか、同じ銀行内でローンの組みなおしをするなど、経営負担にならないような対策が打てます。
ただし、金利上昇によって変化するマンション経営の利回りに関しては、物件ごとに価格差が生まれる可能性の高い、一棟マンションの方がリスクは低くなります。一棟マンションには、東南・南向き・夜景がみえるなど、入居者にとって物件メリットになる条件がついた部屋があり、このような部屋に関しては、新築期間が終わった後でも、賃料設定が高めのままで経営が続けられる傾向があります。
そのため、さまざまな賃料設定で総合的に経営のバランスがとれる選択肢があるという意味では、一棟マンションの方がリスクは少な目です。区分マンションの場合、上がった金利がそのまま利回りに反映されてしまいますので、経営安定化のための選択肢は少ないと言えます。
4-6.災害リスク 一棟マンションのリスクが高い
不動産はその特性上、災害の中でも特に地震と火事に弱いという特徴があります。建物が災害に合う可能性という意味では、一棟も区分もリスクは同じです。ただし、災害にみまわれた時点からの復旧という意味では、一棟マンションにリスクがあります。
一棟マンションで火事が起きた場合、その建物全体に、火・煙・水の被害が及びます。被害のあった物件の復旧はもちろんですが、被害レベルに関係なく、建物と設備すべての点検と修理修繕、すべての居室の点検と原状回復が必須になります。
復旧にかかった費用の多くは保険でカバーできますが、その期間は貸出ができなくなる部屋もあり、ケースによっては退去が発生するなど、空室リスクに直結します。売却は可能ですが、災害トラブルのあった一棟マンションは「事故物件扱い」になりますので、買いたたかれる可能性が高いと言えます。
地震の場合も火災とほぼ同じですが、建物に回復できない傾斜・倒壊がある場合は、区分でも一棟でも取り壊しになります。
それ以外の復旧が可能なトラブルの場合には、区分マンションはオーナーの責任があるのは、基本的に契約書にある所有部分だけです。建物全体で起きたトラブルのうち、共有部分に関しては区分オーナーの持ち分のみを負担し、個人所有物件に関しては、オーナーが原状回復をする義務があります。ご自分が区分所有している物件に大きな被害や問題がない場合には、早期にその物件を売却してしまうことも可能です。
このように、災害で受けるダメージが同じであっても、オーナーとしてカバーしなければならない責任範囲が大きいのは、一棟マンションになるため、必然的に一棟マンションにリスクがあります。
4-7.周辺環境の変化 一棟マンションのリスクが高い
地震大国である日本は、災害時の被害や犯罪を最小に食い止めるため、老朽化した建物を建て替え、人とモノの安全な流れを確保できるように、都市開発を積極的に進めています。たとえば、2020年に予定されていた東京オリンピックに合わせ、招致が決まった時から、猛烈なスピードで駅構内や市街地の整備が進んだことは、記憶に新しいと思います。
このような都市開発は、もともと自治体ごとにある開発計画と合わせて、10~20年単位の長さで計画が進行していきます。そのため、法定耐用年数が47年もある新築マンション物件の経営は、経営期間中に、エリアの再開発などが起きる可能性が高くなります。
もちろん、所有物件にとって良く変われば問題はありませんが、駅・街・道路などのデザインが変わる、大手企業や大学などが出入りするなどで人の流れが変わり、マンション経営に影響を与る可能性もあります。
このようなネガティブな変化に対し、区分マンションは売却してより良い環境の物件に買い替えるなどができますが、一棟マンションの場合は、その動きも鈍くなる傾向があります。自治体の市街化計画などは、経営開始前の段階である程度の予測がつきますが、時代とともに起きる大きな変化の波には、タイミングによっては対応しきれないこともあります。
4-8.社会環境の変化 一棟マンションのリスクが高い
社会環境そのものが変わることによって、マンション経営にリスクが生じることがあります。近年では、コロナ禍によるステイホーム(自宅待機)により、急速に広がったテレワークという仕事スタイルが、マンション経営に影響を与えています。
いままでのマンションでは、普通の生活音に対する防音対策ができていれば問題ありませんでしたが、ネット会議や電話の声、24時間室内にいるという生活音が「音の問題」としてトラブルの種になりました。アフターコロナの現在でも、テレワークを中心とした働き方は現在進行中です。
このようなことを参考にして、物件を今とこれからの生活様式に合ったものに随時アップデートできる機能を持たせることは、マンション経営を長期間安定して続けていくために大切な要素といえます。
たとえば、可変式の間取りにすることで、ワンルームを1DK・1LDKとして使えるようにしておけば、社会情勢や社会環境、さらには個人のライフスタイルの変化に関係なく、長く住み続けることができます。しかし、このようなプラスアルファの構造を持たせるには、設計の段階から考えておく必要があり、追加費用もかかります。
区分マンションの場合は、所有する部屋にのみ追加施工すればよいのですが、一棟マンションの場合は、設計から組み込んでおかないと、入居中と空室がバラバラに存在しているため、部屋ごとの追加工事の手間が必要になり、そのこと自体が経営リスクにつながりやすくなります。
区分・一棟とも、時代に合わなくなった物件は、エリア内で自然淘汰されてしまう可能性がありますので、新築物件を建てる・買うときには、先々のことも考えたうえで、よく比較検討をしてください。
5.新築物件でのマンション経営で注意すべき5つのこと
一棟、区分に関係なく、新築物件でのマンション経営をするならば、注意しておくべきことを5つにまとめています。
1.立地条件にこだわる 2.マーケティングを徹底する 3.借入額を極力減らす 4.管理会社を厳選する 5.信頼と実績のあるパートナー企業と一緒にすすめていく |
5-1.立地条件にこだわる
土地条件は後から個人の力で変えることができないタイプの条件です。賃貸経営における良い土地条件とは、駅から近く生活便利な場所のことです。特に、区分所有の不動産投資をする方、土地活用でワンルームマンション経営を検討している方は、入居者ターゲットが単身者になりますので、立地の良さは必須条件になります。
立地の良さとは、駅に近くて生活便利であること以外にも、入居者から見た立地の良さも考慮しておく必要があります。たとえば、主要ターミナル駅まで1時間以内、各駅停車駅でも最寄り駅が複数ある、通勤通学先が近くにあるなども含まれます。立地条件が合わない場合は、新築で設備が良くても入居者が集まりにくく、経営に苦労する可能性が高くなります。
5-2.エリアマーケティングを徹底する
エリアマーケティングとはマンション経営を予定している、地域全体の市場調査のことです。賃貸経営においては、地域で求められている賃貸物件と入居者の傾向をつかむことが目的です。エリアに住んでいる方々のライフスタイル、周辺の産業、交通機関の乗り入れ、土地柄などの総合的なデータから、「この地域にはこういう人物が住む傾向がある」というイメージ像を想定し、それをベースに、間取り設計やデザイン、賃料、販促方法などを考えていきます。
このようなエリアマーケティングは個人でもできます。たとえば、該当エリアにある大きい商業施設はすべて、詳細なエリアマーケティングをしてから出店していますので、これからマンション経営をする予定があるエリアのお店や物件を見て歩くことは、「地域密着型」のマーケティング調査になります。
はじめてのマンション経営、はじめてのマーケティングであっても、ご自分が感じたことは入居者候補の方も感じることですので、後でかならず役に立ちます。しかし、個人でできる調査には限りがありますし、すべての情報を網羅できるわけではありません。ご自分の実地体験には、プロによる調査結果を合わせて総合的な情報にすることで、より良いマンション経営への判断につながります。
プロによるマーケティングは、土地活用の場合は、NTTデータグループの「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご利用いただくことにより、土地活用と不動産経営のプロである、ハウスメーカーや建築会社からマンション建築プラン、マンション経営プランなどを複数入手できます。
それらのプランには、各社が調査済のエリアマーケティングデータや、独自データを合わせた確度の高い調査結果が反映されています。
5-3.借入額を極力減らす
金融機関から見ると、新築マンション物件は、担保としての価値が高くなるため、安心な融資対象といえます。そのため、ローンを組む際の自己資金が少な目でも、スムーズに進んでしまうケースがあります。
自己資金が少なく融資を受けられるのは、一見大きなメリットのように見えますが、実際には借りる金額が大きいので、利息も返済額も増えることになります。万が一、空室リスクが発生した場合には、ローン返済負担が重くなる可能性があります。自己資金は総額の2~3割程度をめやすに、無理のない範囲で多めに用意するようにしてください。
土地活用でマンション経営をはじめる場合は、はじめから土地を満額で担保にとってマンション建築費の融資をすることになるため、自己資金が少なくても融資が進む傾向があります。この場合は、毎月の返済額負担などをシミュレーション計算したうえで、無理のない範囲の自己資金額を決めてください。
5-4.管理会社を厳選する
新築のマンションは、管理に関してもデータがないため、入居者や建物の情報もこれから蓄積されていきます。そのため、頼りになるのは不動産管理会社の管理ノウハウになりますので、管理会社選びが、マンション経営を左右することになります。
不動産管理会社はなるべくたくさんの会社候補から比較検討するようにし、紹介やハウスメーカーなどの関連会社であっても、必ずご自分で比較をしてから決めるようにしてください。
不動産管理には、賃貸にかかわる業務を担当する賃貸管理と、マンション建物と敷地内を管理する建物管理があります。不動産管理会社には、賃貸・建物の両方を受け持っている会社と、どちらかに特化した会社があります。どちらも専門性の高い業務であるため、プランを比較する場合には、賃貸と建物の管理は分けて考えておく方が、マンション経営における失敗を回避しやすくなります。
最初にお世話になるのは、入居者募集などをする賃貸管理部門です。マンション経営のプランが進行し始めたら、まずは賃貸管理をお願いできる会社を探しておいてください。不動産管理会社も、複数のプランを一度の入力でプラン請求できる、NTTデータグループが運営する「賃貸経営HOME4U」が便利です。
建物管理に関しては、マンション経営がスタートした後から探すのでも十分間に合います。また、賃貸・建物ともに、期待しているような仕事をしてもらえなかった場合には、契約中であっても他社への乗り換えができ、違約金なども発生しません※。「ちょっとここは………」と感じたら、遠慮なくもっと良い管理会社へと変更してください。そのためにも、管理会社の候補は2~3社リストを持っている方が安心です。
【参照:賃貸経営HOME4U】※契約内容をご確認ください。
5-5.信頼と実績のあるパートナー企業と一緒にすすめていく
はじめての土地活用、はじめての不動産投資では、わからないことや知らないことがありすぎて、不安になるものです。誰かに相談しながらできれば心強いですが、誰を頼りにすればよいかもわからないことの方が多いと言えます。
自分で勉強をしておき、基礎的な知識はあった方が良いのですが、独学で進めるよりも、不動産と土地活用のプロに相談をしながら、二人三脚で歩く方がマンション経営の成功に近づきやすくなります。
はじめての土地活用や不動産投資で、新築マンション物件からスタートしたいとお考えの際には、最初に相談をした企業や担当者選びがとても重要です。はじめに信頼と実績のある、頼りになるパートナー企業や、知見のある担当者とめぐり会えれば、正しい情報を的確に教わりながら、ご自分の条件の中での最適解も出しやすくなります。
そのようなパートナー選びは、なるべくたくさんの会社候補から、慎重に一社を選びだすところから始まります。その際には、NTTデータグループが運営する「HOME4U 土地活用」の一括プラン請求をご活用ください。
一回の入力で最大10社にまで、一度にプラン請求ができますので、信頼性の高い企業候補を比較できます。気になる会社やプランがあれば、現地調査に来てもらうことで、より現実味の高いプランが出来上がっていきます。
まとめ
マンション経営を新築物件でスタートしようとお考えの方向けに、新築マンションならではのメリット・デメリットなどをまとめました。新築物件は資産価値が高いため、融資はスムーズになる可能性があることがわかりました。
また、新築家賃には「プレミアム価格」がついているため、相場よりも高い家賃であっても、入居者がつくこともわかりました。しかし、すべての新築マンションで同じようなプレミア価格になるわけではないことや、はじめから相場家賃で経営する可能性があることもわかりました。
土地活用・不動産投資に関係なく、新築マンションならではの特徴をよく理解したうえで、マンション経営をすすめていってください。
電話でもプラン請求をお受けします。「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、お電話ください。