毎年3月に国土交通省より公表される地価公示の発表が2018年3月27日にありました。
公表された地価公示を基に、2017年1月以降の1年間の地価の状況を見ながら、これまでの土地価格の傾向と今後の見通しを見ていきたいと思います。
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1. 土地の価格は一物四価
今回、公表された地価公示はいったいどのようなものなのか、少しお話しましょう。土地の価格には1つの土地で4つの価格があると言われています。
① 地価公示価格
② 相続税評価額(路線価)
③ 固定資産税評価額
④ 実勢価格(時価)
1-1. 地価公示価格とは?
その1つが地価公示価格で、公共用地の買収や補償の基準とされ不動産取引の目安になります。毎年3月に国土交通省から公表され、全国で約2万6千箇所の地点で1月1日現在の価格を鑑定評価して決定しています。
特に、この地価公示価格は他の土地の指標の基準ともなるため、不動産取引に係わる場合にはその状況をよく見ておく必要があります。
そのほかの3つの価格については以下の通りです。
1-2. 相続税評価額(路線価)
相続税の課税の基準となる価格で、地価公示価格の概ね8割の水準とされています。毎年7月に国税庁が公表し、その年の1月1日時点での路線価を発表しています。
1-3. 固定資産税評価額
概ね地価公示価格の7割程度に設定されており、固定資産税等の税額の算出になるものとして市町村(23区は都)が基準年度の4月に公表しており、評価額は3年に一度、評価替えがあります。
1-4. 実勢価格(時価)
いわゆる市場の価格、いわゆる一般に売買される金額を指し、株価同様に土地の相場が変動して高騰したり下落したりするものです。一般的には売買の金額と言うことがわかりやすく、地価公示価格の100~110%程度が通常と言われています。
このように、土地の価格は国や地方自治体、市場関係者などでその価値を評価しているために1つではなく4つの価格が存在しているのです。
なかでも、地価公示価格は他の3つの価格の基準になっていますので、地価公示価格次第で不動産市況が高騰したり、下落する可能性は大いにあると言えるでしょう。
こうした4価の指標に加えて、基準地価というものがあります。
基準地価(都道府県基準地標準価格)について
この指標は毎年9月に都道府県から公表され、全国で約2万3千箇所あまりの地点を対象として、その年の7月1日時点の価格を発表しています。
土地の価格には1つの価格ではなく、それぞれの指標があり、その意義や利用方法が異なりますが、それで支障や混乱することはありません。
実勢価格が適切かどうかを見極めるには、地価公示価格をはじめとする公的な地価指標をよく見ておく必要があるでしょう。
2. 2018年の地価公示の結果を探る
では、ここで2018年の地価公示を見ていきましょう。
概ねの内容は次のようなものです。
全国平均
住宅地の平均変動率が昨年の横ばいから10年ぶりに上昇。商業地は3年連続の上昇、工業地は2年連続の上昇となっており、上昇基調が強い傾向。
三大都市圏
住宅地、商業地、工業地とも各圏域で上昇。
地方圏
住宅地の下落幅は縮小傾向が続き、商業地、工業地では26年ぶりに上昇。
すべての用途でも下落の域を抜けて横ばいになっており、全国的は地価の回復が進展していると言えます。
次に、それぞれの圏域別に見ていきましょう。
2-1. 三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)
この圏域の住宅地はすべて上昇しており、東京、名古屋圏は5年連続の上昇、大阪圏は横ばいからわずかながらの上昇となりました。これは、全国的にも雇用・所得環境の改善が続き、利便性の高い地域を中心に地価の回復が進んでいることが言えます。
商業地についてはすべての圏域で5年連続上昇、なかでも大阪圏の上昇率がもっとも高くなっています。この傾向は、外国人観光客をはじめとする国内外から各都市を訪れる人が増加し、主要都市の中心地周辺で店舗やホテル等の進出意欲が強い傾向にあります。
工業地についても同様に上昇しており、東京圏は5年連続、大阪・名古屋圏は3年連続の上昇となっています。特に、ネット通販の普及等もあり、道路アクセスの良い物流施設を建設できる場所には需要が旺盛であり、総じて堅調に推移しています。
2-2. 地方圏(札幌・仙台・広島・福岡の地方四市)
続いて地方圏に目を向けてみましょう。各市とも住宅地、商業地は上昇となっています。
なかでも商業地は住宅地よりも上昇率が高い傾向にあり、札幌や福岡では外国人観光客の増加等を背景とした店舗・ホテル等の需要が堅調です。
四市の中では福岡市が各用途で比較的上昇率が高く、その周辺地の春日市、大野城市、太宰府市なども需要が堅調で高い上昇率を示しています。
2-3. その他の市町村
上昇傾向が強い市町村は以下の通りです。
山形市・宇都宮市・新潟市・高松市・那覇市・鳥取県日吉津村・熊本県益城町
こうした地方都市の地価上昇は、その理由の1つとしては駅周辺の再開発事業や国内外の観光客の増加を背景とする店舗・ホテル等の需要が存在しているためと言えるでしょう。
2-4. 特徴的な地価上昇が見られたところ
今回の地価公示の公表で特徴的な地価上昇があったところをみて行きたいと思います。
最高価格地等の地価動向
東京銀座地区(価格順位全国1位)
店舗需要が旺盛な場所であり、店舗賃料も堅調なため相変わらず地価上昇が見られています。
東京赤坂地区(住宅地価格全国1位)
昨年は千代田区の番町地区が1位でしたが、今回は赤坂地区が1位となりました。マンション需要が旺盛な場所で地価が大きく上昇した地区で初めて全国住宅地価1位となりました。
大阪心斎橋地区(価格順位大阪圏1位)
昨年は梅田地区が1位でしたが、オフィス需要堅調にも関わらず店舗の賃料収入ほど大幅な増加が見込めない点から、地価上昇はゆるやかになりました。梅田地区に代わる心斎橋地区は現地に行くとよくわかりますが、外国人観光客ばかりのエリアです。そんな外国人観光客の増大で物販等の収益性の高い店舗、出店需要が強い点から地価が大きく上昇しました。
再開発事業の進展等における地価動向
福井駅周辺
再開発ビルの開業、北陸新幹線の延伸を見据えた開発も進んでいるため地価上昇しました。
長崎駅周辺
クルーズ船の寄港による市内への観光客増加や県庁舎の移転や九州新幹線の延伸を見据えての開発が進んでいるため地価上昇しました。
観光・リゾート需要による地価動向
北海道スキーリゾート地の倶知安町(住宅地、商業地地価上昇率全国1位)
ニセコ観光圏の倶知安町は外国人観光客増加に伴う店舗、別荘地需要やリゾート施設従業員等の宿舎需要が旺盛で多くの要因から地価上昇しました。住宅地で33.3%、商業地で35.6%の上昇という大幅な数値になっています。
岐阜県高山市の歴史的町並み地区
奈良市の旧市街地地区
沖縄県石垣市、宮古島市の離島地区
いずれも国内外の観光客増加でその地区の店舗需要が旺盛なエリアで地価上昇しました。
物流施設の需要による地価動向
茨城県五霞町
圏央道沿線の物流施設需要により地価上昇しました。
京都府久御山町
新名神高速道沿線の物流施設需要により地価上昇しました。
沖縄県豊見城市(工業地地価上昇率全国1位)
国道バイパス沿線の物流施設需要、利便性の向上により地価上昇しました。地価上昇率が27.4%という大幅な伸びになっています。
3. 2018年の地価公示から見える不動産需給
今回の地価公示を見ると、住宅地は低金利の経済環境から需要が下支えされ利便性の高い地域を中心に地価が上昇し回復が進んでいます。また、商業地においてはやはりインバウンド需要※が大きく影響しており、店舗、ホテル等の進出意欲が旺盛な観光地等で大きく地価上昇しました。
※インバウンド需要とは、いわゆる外国人観光客が好んで出向く日本の観光地等で店舗やホテル等の需要が旺盛な地域で地価上昇につながっている状況を指します。例えば、大阪の心斎橋地区や北海道のニセコ地区などがそれに該当します。
住宅地同様に低金利の経済環境から良好な資金調達が可能なため、法人投資家による不動産投資意欲が強く商業地地価は総じて上昇しました。工業地に関しては、インターネット通販の普及から物流拠点の需要が旺盛で道路アクセスの良い場所においては総じて地価上昇しました。
また地方圏での状況は、住宅地は下落傾向を続けていますが、下落幅は縮小傾向にありわずかな下落となっています。一方、商業地は今回、上昇に転じ上昇幅も1%弱になっていますが、なかでも地方四市は上昇幅5%前後で昨年よりも拡大し、三大都市圏の平均よりも大きく上回っています。
こうして見ていくと、よくオリンピック需要による地価上昇と言われがちですが、この地価公示の状況を見ると、現状の日本経済を反映しての不動産需給に応じて地価上昇が起きていると言えます。バブル期のように地価が大きく上昇するということはないものの、横ばいもしくは微増という流れになっていますので、ここ数年は引き続きこうした傾向は続くと思われます。
また、大都市圏と地方圏の二極化にはありますが、地方圏でも特定のエリアでの上昇が目立つ傾向にあります。今まで注目されなかったエリアでも、突然のインバウンド需要で地価上昇が起きるという現象があります。
4. 地価公示から見える不動産価格の今後の傾向
今まで2018年公表の地価公示をみてきましたが、今後の不動産価格はどのようになるのでしょうか。過去の傾向を踏まえながら、今後の不動産需給やその価格を考えてみましょう。
4-1. 不動産業界の2019年問題
2013年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した推計によると、日本の世帯総数は2019年に5,307万世帯となってピークを迎え、16年後の2035年には4,956万世帯にまで減少すると推計されています。
この予測から、2019年で日本の世帯数がピークアウトし減少に向かうことで、それ以降の住宅市場は減少し、価格も下落するのでは?という点が懸念されています。
こうした背景は不動産業界の「2019年問題」と呼ばれています。皆さんもご承知の通り、日本の人口は減少し始めており、今後の世帯減少も含めると現状のような住宅供給が続くと家余りの時代になります。
そうなれば、不動産価格は必然的に下落につながります。現に空き家問題を見れば、将来の日本の住宅事情は空き家だらけという格好になりかねません。
4-2. 今後、予測されること
人口減少や世帯減少に伴ってすべての不動産価格が下落するとは限りません。地価公示でも見られるように、有効需要のあるエリアでは当然ながら不動産価格は横ばい、もしくは上昇ということが言えます。
過疎化や空洞化によるエリアではどうしても価格下落は起きますが、人気のある街や住みたい街にランクインする場所、あるいは都心の駅近エリアでは価格下落は起きにくいと考えます。
つまり、その地域に有効需要があれば当然、物件の売りや買い、貸し借りが発生します。しかしながら、需要が希薄であればその価格は下落に転じ、最悪、売れない、貸せないという状況になります。
4-3. インバウンド需要は継続するか
地価公示の商業地で上昇率の全国トップ10に京都市内の3地点がランクインしています。言わずと知れた観光都市の京都市ですが、訪日外国人の宿泊施設の建築ラッシュが続いています。
京都新聞の報道によれば、2016年度末の市内総客室数は3万3,387室で15年度末から1年で約4千室も増加しています。こうした増加傾向は今年以降も続き、20年度には約4万2千室となる見通しです。
京都市が宿泊施設不足の解消に必要と試算した数値の約3万室を大きく上回っており「お宿バブル」と言われている京都市にも不透明感が漂っています。
こうしてみると、お宿バブルもそろそろ淘汰の時代に入りさらなる地価上昇が起きるとは考えにくい時期に来ています。つまり、今までの地価上昇の多くはこうしたインバウンド需要によるものが多く、いったん観光需要が一巡してしまうと、厳しくなります。
例えば、景気後退局面には採算が悪化するというリスクが存在します。したがって、インバウンド需要にはいずれ衰退するというリスクを考慮しておくべきです。
5. 今後の不動産の売買タイミング及び活用方法
これまで、地価公示を踏まえて不動産の状況をみてきましたが、では、不動産はいつ売ったり買ったりしたらいいのでしょうか?
「売り時は市況が高値、買い時は市況が安値」
当然ながら、不動産を売りたいとなればだれもが高値で売却したいものです。そうなると、やはり不動産価格が上昇傾向にある時期に売るというのがいいでしょう。
先ほども述べましたが、不動産には有効需要がないと売りも買いも成立しません。いくら自分が不動産を売りたいと思っていても、買う人がいないのでは売れないということです。
ですから、買いたい人が大勢いれば、高くても欲しいということで高値でも売れるということになります。例えば、地価公示をみて上昇傾向にあるエリアであれば、売り時ということになります。
逆に買い時はいつかと言えば、みなさん当然ながら安く買いたいので、市況が安値の時に買うというのが1つの選択肢にはなります。
ただ、有効需要が旺盛で買いたいという人が大勢いるエリアでは、市況もなかなか安くはなりませんので、その点は難しいかもしれません。また、不動産を所有している場合の活用にはその不動産を賃貸として貸し出すということも視野にいれておくべきでしょう。
賃貸として土地や建物を貸し出す場合、たとえばアパートやマンションといった居住用の賃貸から店舗など事業用の賃貸、あるいは駐車場にするなど、その有効活用は千差万別です。加えて、有効重要のあるもので、その場所に適したもので活用することが重要でしょう。
いずれにしても、不動産価格は色々な要素から価格上昇や下落が起きますので、信頼のおける建築会社や専門家の意見を参考にしながら、売り時や買い時、あるいは活用方法などの見極めをすべきでしょう。
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まとめ
これまで、地価公示を踏まえながら不動産価格の動向をみてきました。過去のような不動産バブルが起きないとはいえ、やはり、価格上昇が続けばいずれその調整局面を迎え、価格下落に陥る可能性はあります。
2020年のオリンピックを境に不動産価格が下落するとも言われていますが、株同様に利益確定に不動産投資家が動くようになれば、売りが売りを呼ぶことになります。
したがって、この1,2年は不動産市況では目を離さないで注視しておく時期です。
この記事を監修│専門家プロフィール

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- 寺岡 孝
- 不動産コンサルタント
アネシスプランニング株式会社 代表取締役
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。
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この記事の編集者
「土地活用お役立ちガイド」編集部
アパート経営などの土地活用専門情報メディア「土地活用お役立ちガイド」編集部です。土地活用をこれから始める方に向けて、アパート建築費、税金・費用、土地活用の流れなどの情報をわかりやすくお伝えします。掲載記事は不動産鑑定士・宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修を行っています。
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