2017年12月に決定した与党税制改正大綱を基に、今回の税制改正では個人に対しての増税が相次ぎ、その一方で企業向けの減税措置が多く盛り込まれ、年間約2,800億円の増税になると言われています。
首相官邸主導の政策決定が現政権ならではの税制改正となっており、不動産関連ではタワーマンションの固定資産税の課税方法の変更や相続税に関係する内容が盛り込まれています。
ここでは特に不動産や相続に関連する税制改正をご紹介していきましょう。
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1. 2017年の税制改正は不動産・相続に影響を及ぼすもの
今回の税制改正に伴って、不動産や相続に関する影響があるかどうかを見てみましょう。
影響を及ぼすもの
- タワーマンションに係る課税の見直し
- 国外に不動産を所有している人が対象。相続税等の納税義務の範囲の見直し
- 広い土地を所有している人が影響する相続税と贈与税の変更
- 小規模宅地等の評価減の特例
- 相続登記未了土地問題の解消のために、時限措置で登録免許税免除
1-1. タワーマンションに係る課税の見直し
タワーマンションでは高層階と低層階の税負担が取引価格の傾向とは関係なく、不公平感がささやかれていましたが、2018年1月1日時点で新たに課税対象となるタワーマンションからは新しい計算方法で固定資産税が課税されます。
ただし、2017年4月1日以前の売買契約物件では従来通りの計算方法になります。この改正では建築基準法上の超高層建築物で高さ60M超の建物のうち、住戸が複数の階にあるものを居住用超高層建築物といい、これに該当する建物が対象になります。
こうした建物では今までは床面積が同じであればどこの階の税額も同じとされていましたが、高層階は増税、低層階は減税されることになります。
そこで、改正後の固定資産税の計算方法で計算すると、該当する建物の中央階を基準に高層階の所有者は税負担が増え、低層階の所有者は税負担が減る格好で、概ね、1階上がるごとに約0.25%税額が増加するという内容です。
併せて、都市計画税、不動産取得税も同様の改正が行われており、高層階は税負担が今までよりも多くなります。
1-2. 国外に不動産を持っている人が対象。相続税等の納税義務の範囲の見直し
2018年4月1日以後の相続等から適用となりますが、相続開始または贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない人等が、国内に住所を有さなくなったとき、以前の15年以内において国内に住所を有していた期間が10年を超える被相続人または贈与者から、相続もしくは遺贈、贈与による国外財産については相続税、贈与税を課さないことになりました。
言い換えると、国内に住所がなく(10年以内に住所有で短期滞在の外国人以外のもの)、被相続人あるいは贈与者からの、外国籍の外国居住者への国外財産の相続、あるいは贈与は課税対象外という内容です(ただし、贈与に関しては別途但し書き有り)。
1-3. 広い土地を所有している人が影響する相続税と贈与税の変更
今までは広大地の評価という名目で財産評価基本通達がなされており、これは形状が加味されず面積に比例して自動的に減額されていくため、実勢の取引価格を大幅に下回る相続税評価額となっていました。
つまり、時価と相続税評価が一致していないということで、地主をメインとした富裕層の節税策に利用されていました。
しかし、今回の改正で、2018年1月1日以降、地積規模の大きな宅地という名目に変わり、対象地積や適用対象外の区分・地区の限定などの細かい規定ができました。
税回避行為を防ぐという意味合いも含めて、今まで広大地といわれていた規定内容が実勢に近くなりました。
1-4. 小規模宅地等の評価減の特例
今回の改正で法の趣旨に合わない、行き過ぎた節税を回避するようになります。なかでも、軽減割合が80%もある「特定居住用宅地等」に関しては、いわゆる「家なき子要件」が追加され厳しくなりました。
「家なき子」とは、「亡くなった人が、配偶者も同居していた相続人もおらず、かつ3年以上、自分の持家に住んでいなかった場合に親族が相続しても、実家の相続税評価を80%割引します」というものです。簡単に言えば、両親と別居していても実家の評価は8割値引きにするというものです。
今までの家なき子の要件は、相続開始時点で過去3年間、自己または配偶者所有の家屋に居住していないことが条件としてありました。
そのため、自己の家屋を他人に賃貸し、自分は賃貸マンションに住んで家なき子として小規模宅地等の特例を受けていた場合や、自己または配偶者所有の家屋に居住していないようにするために、両親や義父母に近い親族所有や関連会社所有の家に住んで、家なき子の要件をクリアしていたケースがありましたが、改正後はこうしたケースでは家なき子としては外されることになり、特例が適用されなくなります。
追加された点は、過去3年間、3親等内親族または、特殊関係法人(資産管理会社など)所有の家屋に居住していないこと、過去にマイホームを所有したことがないこと(過去3年以内に貸付事業用とした宅地等を貸付事業用宅地等から除外)の要件が追加され、2018年4月1日以後の相続等から適用になります。
つまり、この特例は相続財産の軽減割合が大きく、節税効果大であったために見直しされることになりました。
1-5. 相続登記未了土地問題の解消のために、時限措置で登録免許税免除
社会問題ともなっている相続登記未了土地問題は、3年間の時限措置を設けて登記促進を税制面からも支援しましょうというものです。
相続登記未了土地というのは、相続が発生しても相続人に所有権が変更されない土地を指し、この世に存在しない人が土地を所有している格好です。登記をするかしないかは任意なために、相続が発生しても登記はそのままという事態が起きています。
こうした状況を打開するため、相続が発生した場合には登記をすることを推進する方策の1つになっています。もともと不動産取得税はかかりませんから、登録免許税がかかるのがイヤで登記していない人にとっては、登記するにはいい機会かと思います。免除期間は2021年3月31日までの登記分です。
1-6. その他の不動産等に関係する税制の継続項目について
以下のような項目は引き続き継続される内容になります。
- 土地に係る固定資産税等の負担調整措置の2年延長
- 不動産取得税の軽減措置の3年延長
- 登録免許税の軽減措置の2年延長
- 居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の2年延長
- 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の2年延長
- 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の2年延長
- 不動産譲渡に関する契約書等に係る印紙税の軽減措置の2年延長
不動産や相続に係る税制改正の概要をお伝えしましたが、税制を逆手に取って行き過ぎた節税をするような行為の是正や土地の未登記問題など、時勢を反映した改正内容になっています。
2. 税制の改正における今後の見通し
今回、税制改正で見送られた項目には、タワーマンションの評価見直し、遺言控除の500万円を設ける、海外中古不動産の耐用年数の見直し、退職所得控除見直し、などがあります。
こうした項目は近々には改正内容として上がる可能性があります。例えば、タワ―マンションは相続税軽減の手段として利用されており、租税回避行為としてある事案が話題になりました。そうした背景から、税制改正で評価の見直しが改正項目になるとも言われていましたが、今回は見送られました。
ただ、今後も如実に租税回避の手立てとしてタワーマンションが利用される場合には即座に評価見直しということになるでしょう。
まとめ
不動産や相続に係わる今回の税制改正では、不公平感があったタワーマンションの固定資産税の見直しをはじめ、相続税軽減のため税法を逆手に取った節税を防ぐための改正項目が見られました。
また、空き家問題などの時勢に関連して登記を率先して行うように減税をするなどの項目もありました。
今後の税制改正としては、時勢を反映しての改正項目や租税回避行為を安易にさせないようにしていくという流れにはなるでしょう。
(2019/10/1追記:本記事の掲載内容は、公開日(2018年10月12日)時点での情報になります。)
この記事を監修│専門家プロフィール

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- 寺岡 孝
- 不動産コンサルタント
アネシスプランニング株式会社 代表取締役
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。
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