不動産を相続したら最初にやるべきこと|手続き6ステップと放置リスク
不動産を相続した際、「何から始めればいいのか」と戸惑う方は少なくありません。
本記事では、不動産相続の全体像を正しく把握し、期限を守って手続きをスムーズに進めるための「初動の6ステップ」と、相続した不動産を放置するリスクをわかりやすく解説します。
この記事を読むと、
- 不動産の相続後に行う手続きの流れ
- 相続手続きの重要ポイント
- 相続した不動産を放置することで起こるリスク
といったことがわかります。
1.不動産を相続したらまずやること【全体の流れを6ステップで解説】
不動産相続は、預貯金や金融資産の相続とは異なり、物件の価値を正確に把握することが難しいうえ、不動産登記をはじめとする法的な手続きが厳格に定められています。
ここでは、相続発生直後から完了までに行うべき6つの主要なステップについて、実務上のポイントを交えながら時系列で解説していきます。
- 遺言書の有無を確かめる
- 相続人を確定する
- 相続財産を確定して財産目録を作成する
- 遺産分割協議を行う
- 相続した不動産の相続登記を行う
- 相続税の申告・納付をする
ステップ1・遺言書の有無を確かめる
まず最初に行うべきことは、故人(被相続人)が遺言書を遺しているかどうかの確認です。
遺言書は、故人の最後の意思表示であり、強い法的効力があります。そのため、自宅の金庫や仏壇、机の引き出しなど、思い当たる場所を探して、遺言書の有無を確認する必要があります。
しかし、近年は、遺言書の保管場所が多様化しています。もし手元に見当たらない場合は、公証役場で作成された「公正証書遺言」であれば、全国の公証役場が共有する検索システムを利用することで、最寄りの窓口から有無の照会が可能です。
また、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」を利用しているケースもあります。
この場合は、法務局に対して「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することで、有無を確実に把握できます。
法務局に預けられていない自筆の遺言書が封印された状態で見つかった場合は、細心の注意が必要です。見つかった遺言書を家庭裁判所外で勝手に開封することは法律で禁じられており、必ず裁判所で「検認」の手続きを行わなければなりません。
検認とは、遺言書の形状や内容を明確にし、後日の偽造・変造を防止するための証拠保全手続きです。このステップを怠ると、のちの不動産登記手続きに支障をきたすだけでなく、過料の対象となることもあるため、慎重な対応が求められます。
ステップ2・相続人を確定する
次に、法律で定められた相続人が誰であるかを確定させる必要があります。
誰が相続する権利を持っているのかを公的に証明できなければ、不動産の名義変更などの手続きを進めることができません。
相続人の確定作業において重要なのが、被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍をすべて収集することです。
これは、故人の生涯におけるすべての身分関係を明らかにし、過去の婚姻関係による子どもや、認知した子ども、養子縁組の有無など、家族が知らない相続人の存在を把握するためです。
2024年3月から「広域交付制度」が始まり、被相続人の本籍地に関係なく、最寄りの自治体の窓口で戸籍・除籍・改製原戸籍をまとめて取得できるようになりました。ただし、電子化される前の戸籍・除籍は対象外のため、従来どおり本籍地へ個別に請求する必要があり、取得に時間がかかることを覚えておきましょう。
ステップ3・相続財産を確定して財産目録を作成する
次に行うべきは、「何を引き継ぐのか」を明確にするための財産調査です。
不動産相続においては、対象となる土地や建物を漏れなく特定し、価値を正確に算出することが不可欠です。
まずは手元にある固定資産税の納税通知書を確認することから始めますが、非課税の私道や共有持分となっている道路などは記載されていないケースもあるため注意が必要です。市区町村役場で「名寄帳」を取得し、故人がその自治体内で所有していたすべての不動産を網羅的に把握しましょう。
不動産の相続税評価額は、土地と建物で異なります。
土地の評価方法には、主に都市部で用いられる「路線価方式」と、それ以外の地域(郊外・農村部・離島など)で用いられる「倍率方式」の2種類があります。
路線価方式では、道路ごとに設定された1平米あたりの単価に土地の面積を掛けて評価額を計算します。一方の倍率方式は、市町村が定めた固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出します。
重要なのは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借入金、未払いの税金などの負債(マイナスの財産)も正確に把握する必要がある点です。負債の総額が資産の総額を上回る場合、相続財産の実質的な評価はマイナスとなり、相続放棄を検討すべき状況となる可能性もあるため、早期の判断が求められます。
ステップ4・遺産分割協議を行う
遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、引き継ぐべき財産をどう分けるのかを相続人間で話し合います。
これが、遺産分割協議です。不動産は現金のように1円単位で分けられないため、この協議が相続手続きにおける最大の難所となりがちです。
話し合いがまとまり、相続人全員の合意が得られたら、その内容を公的に証明する遺産分割協議書を作成します。この協議書には相続人全員の署名と実印での捺印が必要で、一人でも欠ければ不動産の名義変更手続きを進められません。
相続財産の分け方には、大きく分けて3つの手法があります。
| 財産の分割方法 | 内容 |
|---|---|
| 現物分割 | 不動産をそのままの形で分ける方法 土地の場合は、必要に応じて分筆(1つの土地を法的に複数に分ける手続き)を行い、それぞれの相続人が単独で所有する |
| 換価分割 | 不動産を売却して現金化し、その代金を相続人で分ける方法 |
| 代償分割 | 特定の相続人が単独で相続する代わりに、ほかの相続人へ代償金(現金)などを支払って公平に清算する方法 |
どの方法を選ぶかは、該当の不動産に誰が住み続けるのか、あるいは、活用や売却を予定しているかといった、将来的な方針によって決まります。
また、換価分割と代償分割のためには、相続税評価額とは別に、実際の市場で取引される価格(実勢価格/時価)を把握する必要があります。
ステップ5・相続した不動産の相続登記を行う
遺産分割協議によって不動産の取得者が決まったら、法務局で速やかに相続登記を行います。
相続登記とは、不動産の名義を故人から相続人へと変更する手続きです。
相続登記は、不動産の所有者が亡くなった際に、相続人へ名義変更するための所有権移転登記の一種です。相続人は登記によって利益を得る「権利者」であるため、以前は法律上の義務はなく、申請しなくても罰則はありませんでした。
しかし、所有者の特定が困難となる「所有者不明土地問題」の深刻化を背景に、2024年4月1日以降、相続登記は法律上の義務となりました。
具体的には、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならず、正当な理由なく申請を怠った場合、法務局からの催告を経て、10万円以下の過料が科される可能性があります。
ステップ6:相続税の申告・納付をする
締めくくりのステップが、税務署への相続税の申告と納付です。
相続税は、遺産の総額(課税価格)が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額を超える場合に課税されます。
相続人が2人の場合:
遺産総額が、3000万+600万×2人=4,200万円未満であれば課税されない
「相続税は富裕層だけが払うもの」と誤解していると、思わぬ負担に直面する可能性があります。
特に都市部に不動産を所有している場合、土地の評価額が高額になりやすく、遺産の総額が基礎控除額を上回ってしまうケースが少なくありません。
また、相続税の申告には「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」という厳しい期限が設けられています。
この期限を過ぎると、延滞税や加算税といった重いペナルティが課されるため、計画的に準備することが重要です。
不動産の相続においては、「小規模宅地等の特例」のように、一定の要件を満たせば評価額を最大80%も減額できる強力な特例が存在します。
ただし、特例の適用によって納税額がゼロになる場合であっても、特例の適用を受けるためには税務署への申告が必須な点には注意が必要です。
10か月という期間は、遺産分割協議が難航すればあっという間に過ぎてしまいます。
不動産は現金とは異なり、そのままでは納税資金として充当できないため、申告期限から逆算して早めに税理士などの専門家に相談し、特例適用の判断や納税資金の確保などを着実に進めましょう。
2.相続した不動産を放置すると起こる4つのリスク
相続した不動産について、「いつかやればよい」と手続きを先延ばしにすると、金銭的・法的なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
主に以下の4つ点については、事前に注意しておかないといけません。
- 相続登記に関するリスク
- 期限に関するリスク
- 特定空き家に指定されるリスク
- 権利関係が複雑になるリスク
相続登記に関するリスク
不動産の名義を故人のままにしておくことは、相続人に大きな不利益を招く重大なリスクとなります。
過料の対象になる
前述したとおり、相続登記の義務化によって、「不動産を取得したことを知った日から3年以内」に申請を行わなかった相続人に対して罰則が科されるようになりました。法務局からの催告を受けてもなお放置し続けた場合、10万円以下の過料が科されるリスクがあります。
不動産の売却や担保設定ができない
法律上の所有者が故人のままだと、対象の不動産を売ることも、ローンの担保に入れることもできません。
不動産売買契約や銀行融資の審査では、必ず最新の登記事項証明書で所有者を確認するため、相続登記が完了していない物件は取引の対象外となります。
「実家を売りたい」と思ってから慌てて相続登記を始めると、登記手続きに数か月かかり、売却のタイミングを逃すといった機会損失が発生するおそれがあります。
期限に関するリスク
相続に関連する手続きの中には、「知ってから○か月以内」という期限が設けられているものが多くあります。
相続放棄・限定承認ができない
被相続人に多額の借金があることがわかった場合、相続を一切拒否する相続放棄という選択肢を選ぶこともできます。
ただし、この手続きを行うには、「自分に相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所に申し立てなければなりません。
この期間を過ぎてしまうと、原則としてプラスもマイナスもすべて引き継ぐ「単純承認」をしたと見なされ、予期せぬ借金まで抱える可能性もあります。不動産の調査に時間を取られ、放棄の期限を過ぎてしまう事態は避けなければなりません。
相続税の延滞税や加算税がかかる
相続登記だけでなく、相続税の申告にも期限があり、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日」から10か月以内です。この期限を1日でも過ぎてしまうと、本来の税額に加えて延滞税(利息のような税金)がかかります。
さらに、申告しないまま税務署の指摘を受けた場合は、無申告加算税などの重いペナルティが課され、本来払う必要のなかった多額の出費を強いられます。不動産はすぐに現金化できないため、納税資金の準備も含めて、申告期限から逆算したスケジュールを立てることが不可欠です。
特定空き家に指定されるリスク
管理が行き届かない空き家は、自治体から「特定空き家」として指定される可能性があります。特定空き家に指定されると、経済的なダメージにつながるおそれがあります。
固定資産税が高くなる
土地や建物を所有していると固定資産税が発生しますが、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税が最大6分の1に軽減されます。
しかし、管理不足のため倒壊の恐れがある等の理由で自治体によって「特定空き家」に指定され、改善勧告に従わなかった場合、この特例が解除されてしまいます。
結果として、翌年から固定資産税が一気に数倍(最大6倍)に跳ね上がり、家計を圧迫することになります。こうしたリスクを避けるためには、住む予定のない不動産であっても最低限の管理を続けるか、早期に手放す判断を下す必要があります。
過料の対象になる
特定空き家の指定を受けてもなお自治体からの改善命令を無視し続けると、50万円以下の過料が科されることがあります。
さらに、壁の崩落などで周囲に危険が及ぶおそれがあると判断された場合は、自治体が強制的に建物を解体する行政代執行が実施されることもあります。
行政代執行による解体費用は高額になることが多く、その全額が相続人に請求されます。放置することで、実家などの不動産が、家族の資産を圧迫する大きな負債へと転じる可能性もあるのです。
権利関係が複雑になるリスク
時間が経過するほど、相続人の死亡や家族関係の変化により、本来シンプルだったはずの相続が次第に複雑化していきます。こうした状況になると、話し合いが進みにくくなります。
共有名義状態は合意形成が難しい
遺産分割が決まらないからといって、将来的な活用方針を明確にしないまま、安易に相続人全員の共有名義にすることはおすすめできません。共有状態の不動産を売却したり分筆したりするには、共有者全員の同意が必要になるためです。
例えば、相続当初はきょうだい仲が良くても、時間が経つにつれて意見の相違や金銭的な事情による対立が生じることは珍しくありません。一人でも反対すると手続きが進まなくなり、最終的には裁判で争うような深刻な事態に発展するリスクもあります。
2次相続が発生する
相続登記をしないまま数年、数十年と放置している間に相続人が亡くなることで発生する相続を、2次相続(数次相続)と呼びます。2次相続が起きると、亡くなった相続人の子どもや配偶者が新たに相続人となり、関係者が雪だるま式に増えていきます。
その結果、まったく面識のない親戚や、遠方に住む会ったこともない人たちと遺産分割の交渉をせざるを得なくなり、話し合いが極めて困難になります。相続問題は、「世代をまたぐ」前に解決することが鉄則です。
まとめ
不動産相続は、初動の現状把握と期限の遵守が成功のカギとなります。遺言書の確認からはじまり、戸籍の収集、財産の調査、そして遺産分割協議へと続く一連のステップは、どれも欠かすことのできない重要なプロセスです。
相続手続きの放置による金銭的・法的なリスクは、年々大きくなっています。特に2024年に開始された相続登記の義務化は、これまでの「なんとかなるだろう」という考えでは通用しない仕組みへと変わりました。大切な家族が遺してくれた資産を、トラブルではなく、未来につながる確かな財産として引き継ぐために、一歩ずつ着実に手続きを進めていきましょう。
「自分の場合はどうすればよいのか」「専門家の意見を聞きたい」と思ったら、一人で抱え込まず、プロの力を借りることをおすすめします。
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